Reincarnation 〜TOKYO輪廻〜

心符

文字の大きさ
上 下
11 / 22

10. 秘密

しおりを挟む
~千代田区~

11:50
京極ビル7階。
プロジェクト室の電話が鳴る。

「はい、安斎です、総監」
緊急事態の発令後、ビルに戻った安斎。

「京極教授は?」

「まだ来ていません。駐車場に車はあるんですが…おかしいですね。滝川博士も体調が悪いって、ここには戻らず、帰宅しました」

「そうか…もしみえたら電話する様、伝えてくれ。君も無理しないで、気をつけてな」

「はい、ありがとうございます。では」

電話を切り、今回の一連の事件データの再確認を始める。
(みごとな手口だわ…輪廻か…)

精神医学の境界線。
その分析に辿り着いた者はまだいない。



~警視庁対策本部~

終わりの見えない悪夢の連鎖に、捜査員達の疲労も精神も限界に達していた。

そんな中での今日の非常事態は、警察のみならず、東京都の1400万人に大きな衝撃を与えた。

今朝までは、連続殺人事件も一つの話題としか感じていなかった。
その殺人鬼が、不意に真昼の日常の中に現れ、無差別に大勢の人を襲ったのである。

はけ口のない恐怖は、他人ごとではない不安をあおり、警察への批判は、期待に変わった。

すがる希望は、他になく、命懸けで殺人鬼達を止める姿が報道されたのである。


「皆さんご苦労。昴、報告を頼む」
苦し気に富士本が指示する。

「千代田区を中心に、突然複数の通り魔が出現。逮捕者5名、他12名はその場で死亡。被害は……一般人20名死亡、31名が重軽傷。警官8名が死亡、11名が重軽傷です」

「17名の殺人鬼は、全員あの行方不明リストに載っている、元受刑者です」

ラブが告げる。

捜査員達の頭に、驚きと絶望感が渦巻く。
衣服には、その壮絶さを物語る血痕が付着し、傷を負っている者も少なくない。

「リストは…確か73名だったな。まだ、あんな奴らがいると言うことか…」

「富士本さん、残りの全員ではないと思いますが、間違いはないかと。千代田区にある、京極ビルへの捜査令状をお願いします」

ラブのみならず、京極教授の失踪もあり、誰もがその疑いを抱いていた。

「そう言えば…」

「どうしました咲さん?」
紗夜が、その心に蟠《わだかま》る不思議な真理を察知した。

「信じて貰えるかは分かんないけど…七海は、運命の繋がりが見えていたのよ。だから、私を何度か救おうとして……」

七海の最後の安らかな顔、そして抱いた腕の感触が蘇る。

「聞いたことはあります。世の中には、数字や何かの波長を感知して、その運命の繋がりが見える者がいるって。確か、海外ドラマにも取り上げられて、見た時はゾクっとしました」

「昴様のおっしゃる通り、実証された例もございます。決まって天才的な頭脳を持ち、若年層に見られるようでございます」

「七海は…何度も私を助けようとしてくれてた。私がその声を信じていれば、死なずに済んだのに…」

「咲さん、私も七海さんがあなたを止めようとする声を聞きました。きっと見えていたんだと思います。すべての物事を逆に辿れば、沢山の人や出来事の偶然の導きだと分かります。彼女は、その何処かに干渉し、変えようとしたのかも知れません」

ラブは七海の存在に、異次元的なものを感じていたのである。

「…最後に、七海が教えてくれました。7年前、私が彼女の想いを叶えたと」

「7年前と言えば確か…」

「はい、富士本部長と、まだ弁護士だった私が名古屋で出会った、あの時よ。私はあの日、七海に会っていたのよ」

裁判に向かう途中で、偶然的に出会った少女を思い出していた。

「咲様に頼まれ、調べてみました」
突然、アイが話に割り込んだ。

「七海様の実のお母様は、小さな頃に不運な交通事故で亡くなっており、7年前の名古屋の同じ場所で、七海様のお父様も同じ様な事故で亡くなっておりました。そしてその事故で、お母様をひき逃げしていた犯人も命を落としております」

「私はその出来事にきっと関与していた。七海が大きく運命を変えて、その記憶を消したみたいなの。それから、今回のシリアルキラーも止めようとしてくれいた。でも出来ず、操られてると言い残した…」

こんなに静かな咲は珍しい。
七海の死が、咲の心に大きな悲しみを残したことが、そしてその辛さが分かる。
大切な仲間として。



アイと、入って来た豊川がその沈黙を破った。

「今回の殺人鬼の血液から、同じものが検出されたぜ!」

「やはり、薬物の影響でしたか」
撃たれても、平気で立ち上がったあの光景が思い出され、ゾクッとする昴。

豊川が、映像に映す。

「なんなのですかこれは?」

世界最高頭脳が、その異様さに驚く。

「これは、普通の薬物じゃねぇ。細菌の一種かとも思ったが、血液を与えるとこれだ」

緑色をした球体が赤血球を取り込み、黄色い輝きを放ち、激しく動き回る。

「光の三原色反応…しかし、そんなことが体内で起きるなんてありえないわ」

「もし、生きた体内にこいつがいたら、交感神経が活性化し、副腎髄質が分泌するアドレナリンが異常な速さで増加しちまう。そして、人の許容領域を超えちまうかもしれねぇ」

「痛みも死も感じない極限状態になる…」

「そういうことだ、ラブさん」
豊川のその声に、含みを感じた。

「もしかて、あの殺人鬼達は…こいつに?」

「痛みや恐怖は、人そのものが感じる訳ではございません。あくまで脳が判断して初めて感じるものでございます」

「その極限状態って、こいつが脳を支配するってことね!」

その意味を理解したラブ。

「そうだ、まぁ…今日の殺人鬼達は、その領域にまでは達していなかった様だがな」

「そんな薬物が大量に使われたら、今日の騒ぎどころではなくなるわね」

「咲さんよぅ。薬物ってのは2種類あってな、外部から入るドラッグって奴と、体内で生じるものがある」

「そうね、アドレナリン自体がいい例ね。あれこそ体内で生まれる薬物の際たるものですわ」

「どの殺人鬼にも、こんな劇薬を注入された痕跡はねぇ。飲んだり吸ったりで入り込めるものでもない」

そこで豊川の勢いが下がる。

「どうしたらこんなものが体内に生まれるか?それが大きな問題ってことね」

「付け加えとくが、あの2人のシリアルキラーは、完全に支配されてた様だ。信じられねぇが、アイツらの脳はまともに機能できる状態じゃなかった。言わば、脳死状態と同じだ」

得体の知れないモノ。
怪異の世界への入り口が開こうとしていた。


「皆様、そろそろよろしいでしょうか?」


~中央区~

築地にある小さな廃ビル。
その周りを私服の警察が包囲していた。

緑川洋子の捜索公開から、多くの情報が寄せられていた。

信憑性に欠けるものがほとんどであったが、それらを整理して分析し、アイとT2が出した答えがこのビルであった。

「夜になると、人の呻き声が聞こえるってありましたけど…雰囲気ありますよね」

「ば~か、幽霊探しに来たんじゃないのよ。なにビビってんのよ」

正面の入り口に着く2人。

「…………」

「早く開けなさいよ、昴」

「僕ですか?」

「男でしょ!私まだこれだし」
肩から吊った腕をアピールする咲。

ドアノブに手を伸ばす昴。

「バカ!」「うわっあ💦」

「手袋、手袋!」

「な、なんだもう、脅かさないで下さいよ」

手袋をはめ、ドアを引く。

「キィーィ…」

耳障りな音がより雰囲気を醸《かも》し出す。
(固いな)
そう思った昴が力を込めて引いた。

「バンッ!」「キゃあー❗️」

ドアが外れて倒れた。

「いててて、あれ?さ…咲さん…💧」

外れたドアが頭に当たった昴。
瞬間移動並みの速さで、警官のいる場所まで戻っている咲。

かなりのビビリであった。

「な、何だ、壊しちゃダメじゃないの」
白々しく戻ってくる咲。

「怖いなら怖いって素直に言えば…あ、いえ、なんでもないです💦」

「さっさと行きなさいよ!」

(幽霊より怖いんだから、全く)

咲の手招きで、警官達が突入し、一階のフロアを捜索する。

「昴」咲の視線の先をみる。

「この足跡はヒールですね」

足跡を追って2階へ上がる。



その頃。
ラブは、隣の高いビルの屋上にヘリで下りた。
幾つかの衛生アンテナを壊して💦

(あらら、またヴェロニカに怒られるわ)

ワイヤーを使い、廃ビルの屋上に着く。

「さて、行きますか」
ドアノブに手をかけた。…………
ビクともしない。

(まっ、そりょそうよね💧)




紗夜は、逆隣りのビルにある非常階段を登り、複数の思念が絡まっている、3階の窓から中を覗いた。

(なにこれ?大変!)

(下がって!)

紗夜の『声』を聞いたラブが、屋上から交互にビルの壁を蹴りながら一気に降りて来た。

「ガシャーん」

その勢いのまま、紗夜が見ていた窓を割って飛び込んだ。

「これは!なんてことを…」

近くにあった板を隣のビルの非常階段へ渡す。

紗夜が入ると同時に、音に驚いた昴と咲が上がって来た。

「何よこれ?」

警官隊が他の階を捜索に行く。

「昴、救急車を10台!」

綺麗に掃除されたフロアに、10台のベッドが並び、全てに人がいた。

「筋弛緩剤で、動きを封じてるんだわ」
ゴミ箱の中から多数の注射器と、薬の瓶が見つかった。

中には、両足を固定器具で固定されているものもいた。

「恐らく犯人が折ったのね」

さまざまな薬の容器や袋があり、点滴が繋がれていた。

顔に包帯を巻かれている者もいて、火傷の一部が覗いていた。

警官隊が戻って来た。

「他の階には異常ありません」

「ちっ!留守か」悔しがる咲。

救急車のサイレンが近づいて来る。
「もうここには戻って来ないわね」


(アイ、念のために監視衛星でスキャンを)

TERRAテラの専用衛星🛰を使用して、熱源スキャンを行う。

(他に人は見当たりません)

「嫌な匂いね、早く出ましょ」

救急車が次々に到着し、全員を近くにある日本最大級の総合病院へ搬送したのであった。

「紗夜、昴、ここの捜査は彼らに任せて、行くわよ京極ビルへ!」

「はい、いよいよですね、ラブさんは?」

外れることのない、嫌な予感がした。

「分かったわ、向かいます」




~千代田区~

15:00
黒光の外装が一際目立つ15階建ての京極ビル。
昴の運転で、紗夜、咲が地下1階の駐車場に到着した。

「あれが、京極の車ね」

エレベーターに一番近い場所に専用スペースがあり、1台の黒い高級車が停まっていた。

そこに少し遅れて、豊川の車が来た。
ヴェロニカと鑑識班の2人が降りる。

「まずは車を、紗夜と昴は先に行って」

「はい」

咲がくるまのドアに手をかける。

「あら?開いてるわ」

豊川も助手席を開ける。

「んん? おい」部下を呼ぶ。

「どうかしたの?」

「この匂いは、何かの薬品だな」

「薬品の芳香剤?趣味悪ぅ」

豊川が、助手席の足マットを調べさせる。
部下が、アタッシュケースから機器や薬品を取り出して、それにあたる。

「部長、これを見てください」

「なんか分かった?他にはな~にもないわ」

部下が示した計器の数値を見る豊川。
TERRAコーポレーションが開発した小型分析器で、ほとんどの薬物を分析できる優れ物。

「キクサキゾラムにエチゾラム、まだあるな」

「日本語で言ってくれるかな?」

「これらはみんな、強い安定剤に使用される成分だ。像でも秒で眠るぜ」

会話はイヤホン型通信機でビル内の全員に通じていた。

「紗夜、何だか知らないけど、気をつけて」

「分かりました」

「確か…砂川様の話では、彼は23:00頃に車で帰って来たと言ってらっしゃいました。京極様はすぐに自宅へお帰りになるつもりだったのでしょう」

「もしくは…荷物があってタッチキーが押せなかったかだな。おい、指紋と髪の毛くらい採取しとけ。あぁ、後はドライブレコーダーのデータもな!」

エレベーターへ向かう3人。


紗夜と昴は、7階で降りた。
ドアが開くと安斎が待っていた。

「何事ですか?皆さんお揃いで」

「京極教授の捜査に来ました。何か連絡は?」

「依然としてありません。捜索って、教授を疑ってるのですか?」

「捜査内容は明かせませんが、誘拐と殺人共謀の容疑で任意同行してもらいます」

「そんな!警察との共同プロジェクトのリーダーですよ、令状はあるんですか?」

「ここにありますわ」

追いついたヴェロニカが、タブレットPCに送られて来た令状を見せる。

「プロジェクトだとしても、違法なやり方は許せないのよ!教授の部屋はどこなの❗️」

攻める咲。

「…15階が教授の研究フロアです」
観念した様子で安斎が告げる。

「エレベーターには10階しか無かったわよ?」

「京極教授の専用エレベーターです」
安斎が指さす。

「行くわよ!」

「捜査協力、ありがとうございます」
紗夜が近づいて礼を述べ、エレベーターへ。

「あっ、でも…」

エレベーターが閉まった。

「専用エレベーターとはね」

「怪しいですね」

「咲さん、彼女は全く動揺してませんでした」
近づいて、それを確かめた紗夜。

「心を読んだのね。共犯?」

「いえ、あれは彼女も教授を怪しんでいた様に感じました」

「おいおい、何の話ししてんだ?」
紗夜の能力をまだ知らない豊川。

エレベーターが開く。

「どれどれ、ん?あら?何よこれ?」

「咲さんあれ」昴が指さす。

「生体認証」紗夜が呟く。

「大丈夫、任せて」

TERRAテラに戻ったラブの声がした。

「このビルは外部と完全遮断されて…」

咲が言い終わる前に、ドアが開いた。
ビルの制御システムに侵入したAIアイが、強制的にロックを解除したのである。

「ま、まぁいっか、昴、ヴェロニカさん、任せるわ。よろしく」

技術資料や並んだIT機器は、専門外である。

「凄い設備…」

いつの間にか、安斎が入ってきていた。

「安斎さん達もここには?」

「はい。研究設備のある10階迄は入れますが、11階から上の教授専用フロアへは許可して貰えませんでした」

「まぁ、業界で言えば競合相手ですからね。仕方ないでしょう」

昴が呟く。

「咲さん、アイが確認したところでは、そこのデータに、事件に関係性があるものは見あたりません」

「ハッキングは違法です」
必死で調べていた昴には面白くない。

「まぁまぁ、堅いこと言わないのよ、捜査協力ってことでいいじゃない」

「ありがとうございます、咲さん」

「あてが外れたかぁ…怪しいと思ったんだけどなぁ~」

状況を観察していた富士本の頬を、冷や汗が流れ落ちていた💦



咲、紗夜、昴、豊川、ヴェロニカ。
無言でエレベーターに乗り込む。

このまま何も得られず帰れば、令状を取った富士本が苦しい立場となる。

駐車場へのボタンを押しあぐねている豊川。

(……ん?)

恐らくいつもの様に、昴であれば気付けなかった違和感。

たまたま、部屋から出てこない安斎を連れに、昴が戻ったため、豊川がそこに立った。

「妙だな…」

内ポケットから指紋採取キットを取り出す。

「そんなの持ち歩いてるんですか💦」

「当たり前だ」

いやいや💧

「ボタンに京極の指紋があっても当たり前よ、何を今さら」

豊川が気付いたのは、地下1階の下。
特殊なテープを貼り、しっかり押さえて慎重に剥がす。

剥がし終えた時。

「えっ?」

エレベーターが下降を始めた。
地下1階では止まらない。

「何なの?」

エレベーターが止まり、ドアが開いた。
真っ暗な空間が広がる。

「地下3階くらいですね」

入り口にいた昴が、一歩を踏み出す。
その瞬間明かりがつき、通路の突き当たりにドアが見えた。

「そこは、ビルの総合システムにはないわ」
ラブの驚きの声が聞こえた。

ドアの横に、番号のないボタンが並んでいた。

「これは……おどきください」

ヴェロニカがボタンの前に立つ。

「シリウスの神盤」

「何なの?」

「シリウスって確か、おおいぬ座や冬の大三角形の星ですよね」

「ええ、地球から見えている恒星でもっとも明るい星。大きさは太陽の約2倍」

「それがどうしたって言うのよ?」

「古代エジプトでは、太陽暦の始まりの星。別名は沢山あって「イシスの星」「ナイルの星」「天狼星」とも呼ばれて、崇《あが》められたり不吉な星と言われたり、様々でございます」

「精神の配列…ですね」

「さすが精神医学の安斎様、京極様も精神工学の権威。脳の精神的な信号系統ポイントを天盤に見立てて、脳の中枢から上向きに見て並べると、この配置になるのでございます」

「その中心にあるのがシリウスと呼ばれる精神伝達の始点。シリウスが脳の中枢の左にあれば弱性、右にあれば強性と分析します」

「よくわかんねぇが、開けれんのか?」

悩む安斎とヴェロニカ。

「弱い精神の解放と考えれば、中、左、上。強い精神の解放と考えれば、中、右、上」

「あの京極が、弱気になるとは思えませんよ」
イラつく昴。

「押してみて、違ったらやり直せばいいんじゃないの?」

この時、紗夜は異様なモノを感じていた。
様々なモノが絡まり合い、定まらない。
ただ、全て悪に満ちていた。

(…まさか!)

「待って❗️」

「えっ?」昴が押し終えていた。

ドアは開かない。

(何なの、この異様なモノ……恐怖?)

「大丈夫、紗夜?」
紗夜の真っ青な顔に気づいた咲。

「開いた!」

逆を試した昴であった。

その瞬間。
紗夜の頭に邪悪な思念が溢れた。

「逃げて❗️」

真っ暗なドアの向こうから、何かが来る。
(複数…いや、大勢❗️)
咲もその恐怖の意味に気付いた。

「エレベーターへ、急いで❗️」

走って乗り込んだ時、最初の1人が現れた。

「早く早く、閉まれ!」

次々と溢れ出て、迫り来る殺意に満ちた顔。
閉まったドアにぶつかる音。

エレベーターが上がり始めた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

幽霊探偵 白峰霊

七鳳
ミステリー
• 目撃情報なし • 連絡手段なし • ただし、依頼すれば必ず事件を解決してくれる 都市伝説のように語られるこの探偵——白峰 霊(しらみね れい)。 依頼人も犯人も、「彼は幽霊である」と信じてしまう。 「証拠? あるよ。僕が幽霊であり、君が僕を生きていると証明できないこと。それこそが証拠だ。」 今日も彼は「幽霊探偵」という看板を掲げながら、巧妙な話術と論理で、人々を“幽霊が事件を解決している”と思い込ませる。

カフェ・ノクターンの吸血鬼探偵 ~夜を統べる者は紅茶を嗜む~

メイナ
ミステリー
——夜の帳が降りるとき、静かに目を覚ます探偵がいる。 その男、ノア・アルカード。 彼は 吸血鬼(ヴァンパイア)にして、カフェ『ノクターン』のオーナー兼探偵。 深夜のカフェに訪れるのは、悩みを抱えた者たち——そして、時には「異形の者たち」。 「あなたの望みは? 夜の探偵が叶えてさしあげましょう」 神秘の紅茶を嗜みながら、闇の事件を解き明かす。 無邪気な黒猫獣人の少女 ラム を助手に、今日もまた、静かに事件の幕が上がる——。 🦇 「吸血鬼×探偵×カフェ」ミステリアスで少しビターな物語、開幕!

ARIA(アリア)

残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……

夜の動物園の異変 ~見えない来園者~

メイナ
ミステリー
夜の動物園で起こる不可解な事件。 飼育員・えまは「動物の声を聞く力」を持っていた。 ある夜、動物たちが一斉に怯え、こう囁いた—— 「そこに、"何か"がいる……。」 科学者・水原透子と共に、"見えざる来園者"の正体を探る。 これは幽霊なのか、それとも——?

最後の灯り

つづり
ミステリー
フリーライターの『私』は「霧が濃くなると人が消える」という伝説を追って、北陸の山奥にある村を訪れる――。

秘められた遺志

しまおか
ミステリー
亡くなった顧客が残した謎のメモ。彼は一体何を託したかったのか!?富裕層専門の資産運用管理アドバイザーの三郷が、顧客の高岳から依頼されていた遺品整理を進める中、不審物を発見。また書斎を探ると暗号めいたメモ魔で見つかり推理していた所、不審物があると通報を受けた顔見知りであるS県警の松ケ根と吉良が訪れ、連行されてしまう。三郷は逮捕されてしまうのか?それとも松ケ根達が問題の真相を無事暴くことができるのか!?

リモート刑事 笹本翔

雨垂 一滴
ミステリー
 『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。  主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。  それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。  物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。  翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?  翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!

伏線回収の夏

影山姫子
ミステリー
ある年の夏。俺は15年ぶりにT県N市にある古い屋敷を訪れた。某大学の芸術学部でクラスメイトだった岡滝利奈の招きだった。かつての同級生の不審死。消えた犯人。屋敷のアトリエにナイフで刻まれた無数のXの傷。利奈はそのなぞを、ミステリー作家であるこの俺に推理してほしいというのだ。俺、利奈、桐山優也、十文字省吾、新山亜沙美、須藤真利亜の六人は、大学時代にこの屋敷で共に芸術の創作に打ち込んだ仲間だった。グループの中に犯人はいるのか? 脳裏によみがえる青春時代の熱気、裏切り、そして別れ。懐かしくも苦い思い出をたどりながら事件の真相に近づく俺に、衝撃のラストが待ち受けていた。 《あなたはすべての伏線を回収することができますか?》

処理中です...