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9. 鮮血の街
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~千代田区~
10:00。
東京メトロの半蔵門駅に電車が入って来る。
何気に並んで待つ大勢の人々。
完全に停車する前から、その異変に気付いた。
逃げ惑う乗客が次々と日本刀で斬られている。
鮮血が窓へ散り、赤く垂れていく。
あり得ない状況に、動くことさえ忘れる。
ドアが開き、悲鳴が聞こえてやっと、危機感を察知した脳が、逃げろと指示を発した。
「ぎゃぁ…ぅあぁ…助けてぇ…逃げろ!」
まさに地獄絵図そのものであった。
血に飢えた狂人が、悦楽の笑みで斬る。
「と、止まれ!」
その声など無意味。
たくさんの人の中を走り回り、振り回す刃《やいば》に触れたものが景色に赤を加えていく。
走る大人にぶつかり子供が転ぶ。
振り下ろす刀の手元が、床を滑り込んできたラブの左足で止まる。
彼がそれに気づいた時には、ラブの強烈な右脚の蹴りが顔面を捉えていた。
カウンターの一撃で意識が飛び、追いついた警察官が刀を奪い、取り押さえた。
(この顔…)
一度目に入ったものは精細に記憶する。
これも彼女の特殊能力の一つ。
考えている暇はない。
「救急車を!後はお願いします」
倒れたバイクを起こし、線路へ飛び込む。
フルスロットルで次の九段坂へ向かう。
ライトが見えた瞬間の判断で、車線を変える。
1秒に満たない間にすれ違う。
(いったい何が…)
その頃、紗夜と昴は有楽町にいた。
通り魔は、ナイフで無差別に数人を斬りつけ、人気のカフェへ逃げ込んだ。
店内から聞こえる沢山の悲鳴。
ブラインドを下ろし、明かりが消えた。
悲鳴や呻き声は止まない。
「紗夜さん、突入しましょう!」
「シッ!黙って!」
目を閉じて、犯人に集中する。
紗夜は幼い頃に悲劇に見舞われ、数年前まで盲目の時を過ごした。
そんな中で、人の心や心理を読む能力を身につけ、盲目の心理分析官として刑事になった。
(雑念が多すぎる…)
その時、1人の女性客が無謀な賭けに出た。
一瞬の隙をついて入り口へ走る。
直ぐに後を追う血に飢えた思念。
「パン❗️」
それに向かって、ためらわずに1発。
「ドタ…ガッ…」
「ええい!」
「ガシャーン!」
穴の空いた大きな窓へ飛び込む昴。
「ててッ、えっ?」
「へッへへ…」
胸から血を流しながら、ナイフを振りかざす。
「パン❗️」
「ドサッ…」
2発目は男の頭を、横に貫通していた。
やっとドアを開けて女性客が出てきた。
「昴、大丈夫⁉️」
「は、はい、何とか…」
倒れた男を見つめる紗夜。
(どうしてこんなに…)
考えてる暇はない。
「昴、ここは任せて、行くわよ!」
(胸を横から撃たれてたのに……まさか!)
昴も続く。
「紗夜です。薬物使用の可能性あり。確保より止めることを優先してください!」
その指示は、イヤホン型通信機で本部の全捜査官に伝わった。
「えっ?…う、うわぁ💦」
地下鉄への階段から、バイクが飛び出した。
「ごめんね~」
(アイ!)
(正面のオフィスビル2階です)
(正面って…)
道路を挟んだ正面のビルの2階に、左から走る男が見えた。
その視界の左隅にバス。
車が走る3車線道路へ、直交フルスロットル!
見事にすり抜け、中央分離帯でジャンプ。
走ってきたバスの屋根から、ビルへ突っ込む。
「ガシャーン!」
前輪着地と同時に急ブレーキをかけ、体を思い切りひねる。
「ガンッ❗️」
浮いた後部が回転し、左からきた対象を叩き飛ばした。
デスクの縁に頭をぶつけた男の首が、不自然に折れ曲がっている。
(アイ!)
(正面200m先の銀行に2人)
直ぐに階段を走り降りて、玄関の自動ドアを横滑りで突き破り、歩道へ出た。
銀行の看板を確認し、クラクションを鳴らしながら歩道を走る。
途中、倒れた警官の横でバイクを降りる。
「大丈夫ですか?」
腹部に出血が見られた。
服をめくり、押さえようとする手を払う。
(溢れる出血はない)
「大丈夫。死なないわ」
警官の肌着を破り、丸めて傷口に当てる。
「押さえてて」
来ていた長袖のシャツを脱ぐ。
警官の目が左胸の下のホルスターに気付く。
シャツを警官の腰に回し、その両袖で抑えた手の上からきつく縛る。
「グッ!」
このまま、救急車を待ってて。
警官のホルスターが開いているのを、見逃しはしない。
(アイ!)
(了解です)アイが救急車を呼ぶ。
バイクを走らせ、銀行の手前で右に膨らみ、そのままガラス張りの銀行へ突っ込む。
「グガッシャーン!」
バイクを蹴って宙に舞う。
2人を視認。
「バシュバシュ!」
1人が銃を向けるより早く、2人の額に穴が空いていた。
カウンターに着地…のつもりが滑って消える。
「痛って~💦…いいカウンターね」
「だ、大丈夫ですか…」
そっと店員が覗き込む。
「大丈夫、みんなは怪我はない?」
きく側かきかれる側か微妙である💧
(アイ)
ラブだと知った人達が、スマホで写真を撮る。
ついつい出てしまうVサイン💦
(新宿の白山組へ。富士本さんが苦戦中です)
(了解)
男性が2人でバイクを引いて来た。
「ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ。助かりました」
「改修費用は、TERRAコーポレーションへ請求ください。じゃあね」
「気をつけて!」
みんなが必死で壊れた自動ドアを開けていた。
その隙間を抜けて、道路へ復帰した。
(今の2人も確か…)
~新宿 白山組事務所~
2階にある事務所と、外の警察の銃撃戦が繰り広げられていた。
富士本の携帯が鳴る。
「ラブです。逃げ込んだのは大柄のヤツね?」
「どうしてそれを?」
「例のリストに、白山組のそいつがいました」
「何だと!」
「もう着きます…えっ⁉️」
ラブのバイクの前にダンプカーが割込んだ。
「富士本さん、逃げて!」
ダンプに気づいて慌てて逃げる。
「グァッシャーンッ❗️」
ダンプは、そのまま白山組に突っ込んだ!
「行けー!」
荷台から、数人が2階へ入って行く。
銃声が重なる。
長身の男が見えた。
そこへ、飛鳥神が飛び込む。
「うりゃぁあー❗️」
「グッガシーンッ❗️」
全体重を乗せた、渾身の一撃が顔面を捉えた。
鼻はもちろん頬骨、上顎が砕ける。
が、倒れず、拳銃を神に向けた。
(なに⁉️)驚く神。
そこへラブがダンプの荷台からバイクで飛び込み、巨体を壁にめり込ませた。
「な、なんなんだ今のは?ゾンビかよ」
「アドレナリンを高める薬物だと思うわ」
他の雑魚は飛鳥組の精鋭により壊滅していた。
「さすがね~助かったわ」
「人手が足りないかと思ってな。ちょうど目障りな組でもあったし」
「お~い、大丈夫か?」
「あっ、忘れてた💦」
「はい、片付きました、他は?」
「終わった様だ、後は所轄に任せて、本部へ戻ろう」
「了解です。神、サンキュー!」
「おぅ、お互い様だ。 おまえら、マスコミが来る前に退散だ。じゃあな」
2階から、飛鳥組が帰って行く。
(これで…終わったのだろうか)
ラブの不安は消えない。
それどころか、増していたのであった。
10:00。
東京メトロの半蔵門駅に電車が入って来る。
何気に並んで待つ大勢の人々。
完全に停車する前から、その異変に気付いた。
逃げ惑う乗客が次々と日本刀で斬られている。
鮮血が窓へ散り、赤く垂れていく。
あり得ない状況に、動くことさえ忘れる。
ドアが開き、悲鳴が聞こえてやっと、危機感を察知した脳が、逃げろと指示を発した。
「ぎゃぁ…ぅあぁ…助けてぇ…逃げろ!」
まさに地獄絵図そのものであった。
血に飢えた狂人が、悦楽の笑みで斬る。
「と、止まれ!」
その声など無意味。
たくさんの人の中を走り回り、振り回す刃《やいば》に触れたものが景色に赤を加えていく。
走る大人にぶつかり子供が転ぶ。
振り下ろす刀の手元が、床を滑り込んできたラブの左足で止まる。
彼がそれに気づいた時には、ラブの強烈な右脚の蹴りが顔面を捉えていた。
カウンターの一撃で意識が飛び、追いついた警察官が刀を奪い、取り押さえた。
(この顔…)
一度目に入ったものは精細に記憶する。
これも彼女の特殊能力の一つ。
考えている暇はない。
「救急車を!後はお願いします」
倒れたバイクを起こし、線路へ飛び込む。
フルスロットルで次の九段坂へ向かう。
ライトが見えた瞬間の判断で、車線を変える。
1秒に満たない間にすれ違う。
(いったい何が…)
その頃、紗夜と昴は有楽町にいた。
通り魔は、ナイフで無差別に数人を斬りつけ、人気のカフェへ逃げ込んだ。
店内から聞こえる沢山の悲鳴。
ブラインドを下ろし、明かりが消えた。
悲鳴や呻き声は止まない。
「紗夜さん、突入しましょう!」
「シッ!黙って!」
目を閉じて、犯人に集中する。
紗夜は幼い頃に悲劇に見舞われ、数年前まで盲目の時を過ごした。
そんな中で、人の心や心理を読む能力を身につけ、盲目の心理分析官として刑事になった。
(雑念が多すぎる…)
その時、1人の女性客が無謀な賭けに出た。
一瞬の隙をついて入り口へ走る。
直ぐに後を追う血に飢えた思念。
「パン❗️」
それに向かって、ためらわずに1発。
「ドタ…ガッ…」
「ええい!」
「ガシャーン!」
穴の空いた大きな窓へ飛び込む昴。
「ててッ、えっ?」
「へッへへ…」
胸から血を流しながら、ナイフを振りかざす。
「パン❗️」
「ドサッ…」
2発目は男の頭を、横に貫通していた。
やっとドアを開けて女性客が出てきた。
「昴、大丈夫⁉️」
「は、はい、何とか…」
倒れた男を見つめる紗夜。
(どうしてこんなに…)
考えてる暇はない。
「昴、ここは任せて、行くわよ!」
(胸を横から撃たれてたのに……まさか!)
昴も続く。
「紗夜です。薬物使用の可能性あり。確保より止めることを優先してください!」
その指示は、イヤホン型通信機で本部の全捜査官に伝わった。
「えっ?…う、うわぁ💦」
地下鉄への階段から、バイクが飛び出した。
「ごめんね~」
(アイ!)
(正面のオフィスビル2階です)
(正面って…)
道路を挟んだ正面のビルの2階に、左から走る男が見えた。
その視界の左隅にバス。
車が走る3車線道路へ、直交フルスロットル!
見事にすり抜け、中央分離帯でジャンプ。
走ってきたバスの屋根から、ビルへ突っ込む。
「ガシャーン!」
前輪着地と同時に急ブレーキをかけ、体を思い切りひねる。
「ガンッ❗️」
浮いた後部が回転し、左からきた対象を叩き飛ばした。
デスクの縁に頭をぶつけた男の首が、不自然に折れ曲がっている。
(アイ!)
(正面200m先の銀行に2人)
直ぐに階段を走り降りて、玄関の自動ドアを横滑りで突き破り、歩道へ出た。
銀行の看板を確認し、クラクションを鳴らしながら歩道を走る。
途中、倒れた警官の横でバイクを降りる。
「大丈夫ですか?」
腹部に出血が見られた。
服をめくり、押さえようとする手を払う。
(溢れる出血はない)
「大丈夫。死なないわ」
警官の肌着を破り、丸めて傷口に当てる。
「押さえてて」
来ていた長袖のシャツを脱ぐ。
警官の目が左胸の下のホルスターに気付く。
シャツを警官の腰に回し、その両袖で抑えた手の上からきつく縛る。
「グッ!」
このまま、救急車を待ってて。
警官のホルスターが開いているのを、見逃しはしない。
(アイ!)
(了解です)アイが救急車を呼ぶ。
バイクを走らせ、銀行の手前で右に膨らみ、そのままガラス張りの銀行へ突っ込む。
「グガッシャーン!」
バイクを蹴って宙に舞う。
2人を視認。
「バシュバシュ!」
1人が銃を向けるより早く、2人の額に穴が空いていた。
カウンターに着地…のつもりが滑って消える。
「痛って~💦…いいカウンターね」
「だ、大丈夫ですか…」
そっと店員が覗き込む。
「大丈夫、みんなは怪我はない?」
きく側かきかれる側か微妙である💧
(アイ)
ラブだと知った人達が、スマホで写真を撮る。
ついつい出てしまうVサイン💦
(新宿の白山組へ。富士本さんが苦戦中です)
(了解)
男性が2人でバイクを引いて来た。
「ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ。助かりました」
「改修費用は、TERRAコーポレーションへ請求ください。じゃあね」
「気をつけて!」
みんなが必死で壊れた自動ドアを開けていた。
その隙間を抜けて、道路へ復帰した。
(今の2人も確か…)
~新宿 白山組事務所~
2階にある事務所と、外の警察の銃撃戦が繰り広げられていた。
富士本の携帯が鳴る。
「ラブです。逃げ込んだのは大柄のヤツね?」
「どうしてそれを?」
「例のリストに、白山組のそいつがいました」
「何だと!」
「もう着きます…えっ⁉️」
ラブのバイクの前にダンプカーが割込んだ。
「富士本さん、逃げて!」
ダンプに気づいて慌てて逃げる。
「グァッシャーンッ❗️」
ダンプは、そのまま白山組に突っ込んだ!
「行けー!」
荷台から、数人が2階へ入って行く。
銃声が重なる。
長身の男が見えた。
そこへ、飛鳥神が飛び込む。
「うりゃぁあー❗️」
「グッガシーンッ❗️」
全体重を乗せた、渾身の一撃が顔面を捉えた。
鼻はもちろん頬骨、上顎が砕ける。
が、倒れず、拳銃を神に向けた。
(なに⁉️)驚く神。
そこへラブがダンプの荷台からバイクで飛び込み、巨体を壁にめり込ませた。
「な、なんなんだ今のは?ゾンビかよ」
「アドレナリンを高める薬物だと思うわ」
他の雑魚は飛鳥組の精鋭により壊滅していた。
「さすがね~助かったわ」
「人手が足りないかと思ってな。ちょうど目障りな組でもあったし」
「お~い、大丈夫か?」
「あっ、忘れてた💦」
「はい、片付きました、他は?」
「終わった様だ、後は所轄に任せて、本部へ戻ろう」
「了解です。神、サンキュー!」
「おぅ、お互い様だ。 おまえら、マスコミが来る前に退散だ。じゃあな」
2階から、飛鳥組が帰って行く。
(これで…終わったのだろうか)
ラブの不安は消えない。
それどころか、増していたのであった。
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