倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

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第八章

286 城のダンジョン ④

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 砦の迷路エリアも、問題なく作動したようだ。ここでは、この大陸にはいないモンスターを解放している。

 大部分はザコモンスターだが、自爆ネズミは意外と役に立った。


 種族:自爆ネズミ
 種族特性
【自爆】

 エクストラ
【人工モンスター】


 こいつはツクロダの作ったEランクのモンスターだが、種族特性の自爆の威力はCランク冒険者でも当たり所が悪ければ倒せる威力がある。

 また四か所に分散しているのでそこまで数はいないが、その部分はペストモスキートとゾンビモスキートで補った感じだ。

 
 種族:ペストモスキート
 種族特性
【吸血】【疫病攻撃】
【疫病耐性(小)】

 種族:ゾンビモスキート
 種族特性
【闇属性適性】【生命探知】【吸血】
【疫病攻撃】【疫病耐性(小)】
【身体能力上昇(小)】


 疫病耐性や俺のように病気無効を持つ者は少なく、意外と有効な攻撃となった。

 モスキートはどちらも単体では弱いが、一瞬の隙をついて疫病を注入することに長けている。

 まあ注入するのと同時に大きな隙になっていて倒されてはいたが、十分にその役割を果たしていた。

 そうして疫病状態になった者は大きく弱体化するので、格下のモンスターにやられることも多々あるのである。

 加えてなんとかそれで先に行っても、Cランクモンスターは当然として、Bランクのロックゴーレムやリザードシュトラウスとも遭遇する感じだ。

 結果として、思った以上に多くの冒険者たちが脱落していった。減れば儲けものと思っていたので、これは嬉しい誤算である。

 そして冒険者たちが砦の迷路を突破した時には、最初と比べてその数がおよそ半分くらいになっていた。

 しかし見た感じ、脱落したのは弱い者が大半な気がする。

 まあそれについては予想通りなので、問題はない。むしろ、ここまで減ったことの方が驚きだ。

 俺が考えている以上に、勇者勢力は烏合の衆なのかもしれない。

 そう思いながら、地下通路の方にも意識を向ける。

 地下通路では、現在ゲシュタルトズンプフが召喚したマッドウォーリアーだけではなく、別のモンスターも襲い掛かっていた。

 そのモンスターたちが、こいつらになる。


【Dランク】
 ・ゾンビフロッグ 10体
 ・ゾンビヴェルス 30体
 ・レイス 130体

【Cランク】
 ・マッドウォーリアー 300体
 ・ゾンビアリゲーター  200体
 ・ビックボーンクレイフッシュ 100体
 ・ハイレイス 30体
 ・ゾンビシャーク 50体

 合計850体


 ちなみにハイレイスは、視界確保用に20体は温存している。それとマッドウォーリアーは、俺がカード化している個体も放出していた。

 またサイズの大きいモンスター用に、定期的に広場のような場所も設けてある。

 そして冒険者たちも良い感じに分散をしていたので、既にかなりの人数が倒されていた。

 現在残っているのは落下した場所に留まっている者と、高ランク冒険者たちがほとんどである。

 流石にCランクのモンスターたちでは、倒しきれなかったみたいだ。腰まで泥沼に浸かっている状態で、よくやるものである。

 しかし良い感じに消耗させることは出来ているので、こちらも予定通りだ。
 
 このまま行けば、地下通路に落ちた冒険者たちの殲滅せんめつも近いだろう。

 今のところゲシュタルトズンプフにもまだ気づいていなさそうだし、もうしばらく様子見だな。

 逆に泥沼がこういう特殊なものだと思い込んでいるからか、ゲシュタルトズンプフだと気がつくことはもしかしたら最後までないかもしれない。

 俺はそう思いながら、再び旗を目指す冒険者たちに意識を向ける。

 こちらもそろそろ、合流地点・・・・につきそうだ。そして旗を守る守護者の元にも、しばらくすれば辿り着くだろう。

 ちなみにせっかく減らしたのに合流させるのを不思議に思うかもしれないが、減らしたのは元々人数調整をするためである。元の数では、多すぎたのだ。

 情報収集をした結果、どれくらいやって来るかはある程度予想ができていたので、調整はそこまで難しくなかった。

 それと守護者がいるボスエリアは元々四つだったが、現在では二つに減らしている。それも関係しており、冒険者たちを合流させることにしていた。

 ちなみに守護者のボスエリアを二つに減らした理由は、コスト面や配置する者の選定に加えて、作戦など様々な面からそうしている。

 そしてここで上位冒険者をどれだけ減らせるかが、この先の鍵になるだろう。そのために施したアレが、上手くはまることを祈るばかりだ。

 俺はもうすぐ訪れる守護者と冒険者たちの戦いに、どこかワクワクしながら、その時を待つのだった。

 ◆ ◆ ◆

 おっす! オラの名前はモブメッツ! 今のところは順調に、道中を進んでいる。

 けど進むにつれて道がシンプルになり、一本道になっていった。

 何だか誘導されている気もするが、ここしか道が無いので進むしかない。

 冒険者の中には、道を間違えているのではないかという言葉も出たが、先頭を走っているAランクパーティが止まらないので、ついていくしかなかった。

 そうしてしばらく進んでいると、驚くことに他のチームと合流してしまう。いったいこれは、どういう事だろうか?

 どうやら合流したのはCチームらしく、オラたちと同じように落とし穴の罠や砦の迷路を超えてきたらしい。

 これによって本格的に道を間違えたのではないかと、それぞれの代表が話し合った。

 しかし他に道は無く一本道のため、結局は進むことになる。

 けど何組かは別の道を探す部隊も作られて、戻っていく。

 正直オラもそちらに加わりたかったが、パーティ単位で選出されたので、ソロのオラに入る余地はなかった。

 正直最初の時と比べて、今では嫌な予感しかしない。なのでこのダンジョンから逃げ出したい気持ちが強くなっていた。

 しかしそんなことを思っている間に、合流したAとCのチームは、先へと進み始める。

 もちろん罠かもしれないという意見もあったらしいけど、早く旗を手に入れることが何よりも優先された結果、その意見は無視されることになった。

 本当に、これでいいのだろうか? なんだか、胸騒ぎがする。

 人が多すぎて間違っていても、数が多いからその意見が通ってしまったような、そんな危うさを感じた。

 けど勇者様が待っていることも事実であり、なるべく急がなければいけない気持ちも理解できる。

 なによりAランクや、Bランクの冒険者たちが多くいることもあって、どのような敵が現れてもどうにかなるような、安心感があるのも事実だった。

 はぁ、これはオラの悪い癖だな。悪い想像ばかりして、仲間の足並みを乱してしまう。

 オラがソロなのも以前この悪癖のせいで、大きな利益を逃してしまったからだ。
 
 結局あの時も考え過ぎだったわけだし、きっと今回もオラの考え過ぎだろう。

 けど念のため、少し後ろの方に下がっておくことにする。け、決しておくした訳じゃな、ないぞ!

 誰に言い訳しているのか分からないけど、オラはそうして比較的安全な場所まで下がった。

 そうしてしばらく経った頃、それは現れる。

「で、でけえ」
「闘技場か?」
「たぶん、あの中に守護者がいるにちがいない!」
「おお、いよいよか!」

 巨大な闘技場を前に、周囲の冒険者たちが盛り上がる。この光景に、オラも高揚した気持ちが抑えきれなかった。

「すげえ」

 そう呟いていると、皆がこの闘技場へと駆け込んでいく。

「っ! オラも急がないと!」

 これだけ人数、チームが合流しておよそ1,500人ほどいるんだ。急がないと、活躍する機会を失ってしまう。

 そう思い、オラも駆けだした。

 いったい、どんな守護者なんだろうか? 情報では、D~Cランクみたいらしいけど。

 いくら守護者とはいえ、この数では一瞬で片が付きそうだなと、オラはどこか楽観視してしまう。

 そして闘技場へと入ると、その中央には守護者がいた。どうやら倒される前に、一目くらいは見ることができそうである。

「えっと、スケルトンナイトが……三体?」

 オラの視界に入ったのは、Cランクのモンスターである、スケルトンナイトが三体だった。

 冒険者1,500人VSスケルトンナイト3体。

 これでは、すぐに戦いが終わってしまう。どうにか一撃でも加えないと!

 すると当然オラと同じことを思ったのか、周囲の冒険者たちも駆けだしていく。

 けれどもやはり、一番速いのはAランク冒険者である。

 あ、あれはAランクパーティ『至宝の虹』の斥候、デオッチンさん! くっ、やっぱり速い!

 デオッチンさんが、一体のスケルトンナイトにスキルを発動させて襲い掛かる。

「ひゃっはー! 一番乗り――うびゃらば!?」
「えっ……??」

 けどそのとき、あり得ないことが起きた。

「うそ……だろ?」

 あのデオッチンさんが、スケルトンナイトの剣に両断されて、真っ二つになってしまったのである。

 なんとAランク冒険者が、Cランクモンスターに一撃でやられてしまった。

「な。何が起きた!?」
「あ、あの最速のデオッチンが!?」
「流石にありえないだろ!」
「お前ら落ち着け、スケルトンナイトに見えて、本当は別のモンスターかもしれない!」
「そ、そうだ! そうに違いねえ! だ、誰か鑑定が得意なやつ! 鑑定をしてくれ!」

 そうした声がそこら中で上がり、誰かが鑑定を発動する。これで、正体がみやぶれるはずだ。

 けど、その結果分かったのは、更なる謎を呼ぶものだった。

「さ、三体とも、スケルトンナイトです! け、けど三体とも、名前を持つネームドです! 
 それと二体は守護者ということに対して、一体はなぜか階層守護者になっています! わ、わけがわかりません!」

 そんな情報が、オラの耳にも届く。

 ネ、ネームド!? 一般的に見かけるネームドは、過去に使役されていた個体が野に放たれた場合が多いけど、中には高い知能を持ち、自身で名をつけたりする場合がある。

 他には上位の存在が配下に名付けることもあった。つまりこの場合だと、どう考えても魔王が関わっているはずである。けど、問題はそこではない。

「結局強さ的には、Aランク冒険者を倒せるほどなのか? それを早く教えろ!」

 誰かが、そう声を上げる。

「は、はい! 普通のスケルトンナイトよりは強いですが、良くてせいぜいBランクに届くかどうかです!」
「くっ、つまりこいつらの異常な強さは、他にあるということか! おい! この闘技場内を探せ! 何か仕掛けがあるかもしれない!」

 その言葉を聞いて、オラもそれには同意した。流石にAランク冒険者を倒したモンスターとは、戦えるはずがない。

 なのでオラは、闘技場の観客席によじ登り、何かないかと探し始める。

 その間は、AランクとBランク冒険者が、慎重にスケルトンナイトたちの相手をするみたいだ。

 は、早く見つけないと!

 オラは焦る気持ちの中、他の冒険者たちと仕掛けがないか探し回る。

 けどそんな時、それを阻む存在が現れ始めた。

「そ、そんな……」

 なんと現れたのは、1,000体を超えるアンデッドモンスターの群れ。

 それも中には、うわさになっていたBランクの巨大なスケルトン、ガシャドクロというモンスターまでいる。

 ただでさえAランク冒険者を倒す異常なスケルトンナイトがいるのに、これはない。

「ダ、ダンジョンなら、出すモンスターの順番を少しは守ってくれよ!」

 つい、そんな愚痴をこぼしてしまう。普通のダンジョンなら、最奥付近に出てくるような難易度だった。

 オ、オラ……生きてここを出られるのだろうか……。

 そんな絶望の中、闘技場での戦いが始まる。

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