倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

文字の大きさ
上 下
278 / 320
第七章

267 ルルリアの新たな姿

しおりを挟む
 まず大きさは、あまり変わらない。巨大なままだ。

 上半身が人で、下半身が魚、いや蛇のように長いのも変わりない。

 また腕が左右に二本ずつ、合計四本あるのも同様である。

 しかしそれ以外の部分では、大きな変化があった。

 始めにアンデッド系特有の灰色っぽい肌の色が、明るいペールオレンジになっている。いわゆる日本では、肌色と呼ばれていた色だ。

 その肌が腐っていたり、欠損していることも当然ない。

 加えて下半身の鱗は明るい青色であり、まるでサファイアのように輝いていた。

 ウエーブかかった髪も、同様に青く美しい光沢こうたくを生み出している。

 またそのひとみも、優しく慈愛じあいあふれるような碧眼へきがんをしていた。

 そこには、理性が確実に宿っている。暴走しているようには全く見えない。

 更に口元にあった牙も無くなり、つやのあるくちびるを描いていた。

 それにより瞳と合わせることで、女神のような微笑みを彷彿ほうふつとさせる。

 以前の邪神のような禍々まがまがしさは、一切感じられない。

 あとは額に生えていた角が、おとぎ話に出てくるようなユニコーンの角のように、金色で神々しさをかもし出していた。

 何か癒しの力のようなものが、あるような気がしてしまう。

 そして最後に一番の変化は、背中に純白の翼が生えていることだろうか。

 まるで天使の翼のようであり、とても大きい。

 おそらく、空を飛ぶことも可能だろう。

 こうして部分部分でも凄いが、全体としては神聖な存在に見えることもあり、迫力がある。

 俺は好奇心が抑えきれず、その能力を確認してみた。


 種族:リヴァイス・オブ・セイレーン(ルルリア)
 種族特性
【水属性適性】【水光聖音属性耐性(大)】
【魔音師】【神覚しんかく聖肉せいにく】【救いの聖霊】
【救いの歌声】【ブレッシングソング】
【セイントノヴァ】【恵みの雨】【ソナー】
巨躯恵体きょくめぐたい】【状態異常耐性(大)】
【高速飛行】【超再生】【悪性審判】

 エクストラ
【ダンジョンボス】
【セイクリッドモンスター】

 スキル
【歌上手】【泳ぎ上手】【剣適性】
【スラッシュ】【サークルスラッシュ】
【ウォーターシールド】【レインニードル】
【ウォーターランス】【上級鑑定妨害】


 これは、凄くないか? 以前より、確実に強くなっている気がする。

 種族名も『リヴァイド・オブ・コラプス』から、『リヴァイス・オブ・セイレーン』に変わっていた。

 そして何よりも驚いたのは、エクストラの『コラプスモンスター』が無くなったことだろう。

 これにより、種族特性に『自己崩壊』も無くなった。

 つまり何が言いたいのかというと、個の崩壊も無くなり、暴走もしないということである。

 なので俺は、色々とスキル効果が気になっているのを抑えて、ルルリアへと声をかけることにした。

「ルルリア、生まれ変わった気分はどうだ?」

 俺がそう言うとルルリアは涙を流し始め、二つの両手を祈るように組むと、うるんだ声色で絞り出すかのように、言葉を口にし始める。

「は、はい。これ以上ないほどに、満ち足りています」
「それは、何よりだ」

 どうやら、崩壊した個も蘇ったみたいだ。

 それをルルリアから、強く感じ取った。
 
 これならもう、大丈夫そうだな。ルルリアの精神がおびやかされることは、もうないだろう。

 俺はこの結果に、大変満足をした。

 するとルルリアが、続けてこう口にする。

「我が主様あるじさま。いえ、我がよ。私ルルリアは、ジン様に救われたこの命、肉体と精神が滅ぶその日まで、ジン様に捧げることを誓います!
 愚かな海賊とその元凶、ジン様にあだなす全ての者を討ち滅ぼしましょう! そしてジン様の素晴らしさを、全世界に知らしめるべきです!」

 何というかルルリアの俺を見る目が、信仰対象に向けられるものに酷似している気がした。
 
 あのような地獄の日々から救い出し、不可能だと思われていた崩壊の状態もくつがえしたことで、何か信仰的な考えが生まれてしまったのかもしれない。

 ま、まあ。ゲヘナデモクレスの時のように反逆されるよりかは、全然マシだと思うことにしよう。

 それに今は進化した高揚感で、思わずそう言っているだけに過ぎないかもしれない。

 時間が経てば、多少は落ち着くだろう。落ち着くよな?

 とりあえず、ルルリアが今後も俺の配下として頑張ってくれそうなので、良しとしよう。

 おそらく現状では、俺の配下の中で最強の存在だと思われる。

 Sランクでちゃんと忠誠を誓ってくれる配下は、初めてだ。

 ゲヘナデモクレスは一応俺のカードのモンスターだが、現状ではまだ配下ではないからな。

 それにこの大陸での戦いで、ルルリアは確実に役に立つだろう。

 ランクもそうだが、属性相性が適している。

 たぶんスキルの中に光・癒・聖の属性適性が、内包されている気がした。

 もちろん闇と冥が弱点になっていると思われるが、ルルリアの耐久面はおそらく高い。

 それにそうした弱点属性の攻撃は、他の配下たちが対処すればいいだろう。

 様々な強力な配下を召喚できるのが、俺の強みだ。

 これは赤い煙やゲヘナデモクレスとの戦いの時が、今から楽しみだな。

 おそらくルルリアが加わったことで、ゲヘナデモクレスとの勝率もかなり上昇した気がする。

 あとはその日に向けて、可能な限り練度を上げていくしかない。

 それと話は戻るが、やはりというべきかルルリアは、海賊には相当恨みがあるみたいだ。

 既にレッドアイは地獄に送ったようなものだが、それ以外の全ての海賊に対しても、恨みを向けている気がする。

 これはレッドアイをカード化しなかったのは、正解だった。

 もしレッドアイをカード化していたら、確実に面倒なことになっていただろう。

 最悪の場合、配下同士で殺し合いが発生していたかもしれない。

 まあ死んでも復活するが、俺の精神衛生上よくはないだろう。

 配下たちの仲が悪いと、それはそれで億劫おっくうになる。

 それなのに殺したいほど憎しみを向けるとなると、もう最悪だ。

 であればどちらか一方を選んで、もう一方をカード化しないのが正解だろう。

 俺はルルリアかレッドアイを選ぶとしたら、当然ルルリアを選ぶ。

 能力と性格を考慮すると、あきらかにルルリアの方が良いだろう。

 それと今後カード化するのならば、こうした配下同士の関係も考えながら、カード化することもしなければならない。

 だとすれば赤い煙を倒したあと、どうするかということになる。

 う~む。倒したら、絶対欲しいよな。

 しかし女王も俺の配下に加わる予定だし、ルルリアも赤い煙には当然恨みがある。

 難しい問題だ。とりあえずは一度カード化してから、どうするかを考えよう。

 俺はそう思いつつ、一旦それについては頭の隅へと追いやった。

 そしてルルリアの精神が無事だと確認ができたので、次に気になっていたスキルの効果を確認をすることにした。

 だがその前に、ルルリアの言葉に返事をしておこう。

「そうか、敵がいた時には力を借りると思うから、その時はよろしく頼む。それと知らしめなくていい。別に俺は自分のしたいことをしているだけだ。それと、ステータスのスキル効果を見させてもらうぞ」
「承知いたしました。ジン様の敵は、私が全てを滅ぼします! そしてなんと慎み深いことでしょう。ですが、ジン様の素晴らしさは、きっと人々の心に届くはずです!
 そしてジン様の思うようにしてくださいませ。私の全てはジン様のものです。体の隅々まで、どうぞご覧ください!」

 凄く食い気味に言うルルリアは、その体の大きさもあって、大変迫力があった。

 何だか今後に少々不安を覚えるが、今は気にしないでおこう。

 そう思いながら、俺はルルリアのスキルの効果を確認するのだった。

しおりを挟む
感想 75

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。

夜兎ましろ
ファンタジー
 高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。  ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。  バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。

俺だけ永久リジェネな件 〜パーティーを追放されたポーション生成師の俺、ポーションがぶ飲みで得た無限回復スキルを何故かみんなに狙われてます!〜

早見羽流
ファンタジー
ポーション生成師のリックは、回復魔法使いのアリシアがパーティーに加入したことで、役たたずだと追放されてしまう。 食い物に困って余ったポーションを飲みまくっていたら、気づくとHPが自動で回復する「リジェネレーション」というユニークスキルを発現した! しかし、そんな便利なスキルが放っておかれるわけもなく、はぐれ者の魔女、孤高の天才幼女、マッドサイエンティスト、魔女狩り集団、最強の仮面騎士、深窓の令嬢、王族、謎の巨乳魔術師、エルフetc、ヤバい奴らに狙われることに……。挙句の果てには人助けのために、危険な組織と対決することになって……? 「俺はただ平和に暮らしたいだけなんだぁぁぁぁぁ!!!」 そんなリックの叫びも虚しく、王国中を巻き込んだ動乱に巻き込まれていく。 無双あり、ざまぁあり、ハーレムあり、戦闘あり、友情も恋愛もありのドタバタファンタジー!

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

処理中です...