倒したモンスターをカード化!~二重取りスキルで報酬倍増! デミゴッドが行く異世界旅~

乃神レンガ

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第七章

248 船のダンジョン ⑤

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 迷路を進んでいると、やはりと言うべきかモンスターが現れる。

「ヴぁあ」
「カタカタ」
「またこいつらか……」

 しかし現れるのは、またしてもパイレーツスケルトンとパイレーツゾンビだった。

「ゴッブア!」
「にゃぁん!」
「きゅぃ!」
「ざ~こ♡」

 それを慣れた手つきで、ホブンたちが倒していく。

 ついでに罠に関しても、クモドクロが見つけては解除していった。

 ちなみにこいつらをカード化しても、迷路の構造は知らないみたいである。

 やはり、意図して情報を与えられていない気がした。

 コスト削減のためだろうか? まあどのみち、ゾンビモスキートを大量に放ったので、見つけるのも時間の問題だろう。

 分からなくても、そこまで支障はない。

 それに水位の上りもゆっくりだし、もしもの時は呼吸の指輪がある。

 
 名称:呼吸の指輪
 説明
 ・装備中、呼吸不可能な場合酸素を生成して呼吸を可能にする。またその場合、外部からの吸入を防ぐ。
 ・この指輪は時間経過と共に修復されていく。


 ただそうなると問題なのは、指輪をどちらか外す必要があることだ。

 守護者の指輪は何かあったときに不味いので、外せない。

 だとすれば必然的に、ゲヘナデモクレスから渡された紫黒しこくの指輪
を外すことになる。

 しかし何となくだが、この指輪を外すのは止めた方がいい気がした。

 俺の直感が、ものすごい警報を鳴らしている。

 もし外したら、ゲヘナデモクレスの機嫌を損ねるということだろうか?

 だとすれば、呼吸の指輪を使わずに攻略を目指すべきだろう。

 それと紫黒しこくの指輪だが、改めて効果を確認したとき、ある耐性に目が行った。


 名称:紫黒しこくの指輪
 説明
 ・使用することで、三回だけゲヘナデモクレスを召喚することができる。(残り2)
 ・装備することで、次の能力を得る。 
 【即死無効】【闇冥耐性(大)】
 ・この指輪は以下の能力を持つ。
 【ジン以外の装備及び使用の不可】【自動修復】【サイズ調整】
 ・この指輪は製作者が死亡、または能力を解除したとき失われる。


 見れば分かる通り、【闇冥耐性(大)】とあったのである。

 少し忘れていたが、この指輪は上位属性である冥属性にも対応しているのだ。

 何となくこの指輪はゲヘナデモクレスの属性と関係している気がするので、大きなヒントを得たことになる。

 つまりゲヘナデモクレスは、冥属性持ちの可能性が高かった。

 しかしだとすれば、ゲヘナデモクレスは自身の不利になる指輪を俺に渡したことになる。

 これは、渡した当時はそれでも余裕だと思っていたのだろうか?

 まさかその点について、何も考えていなかったという事はないだろう。

 それに決戦の時は、流石にゲヘナデモクレスもこの指輪を解除するかもしれない。

 なのでその時は、この指輪は無い物として考えたほうが良いと思われる。

 また冥属性は魔王が持つ属性だと本に書かれていたが、例外もあるということだろう。

 赤い煙が言ったことが事実なら、魔王はイレギュラーモンスターから生まれるらしいしな。

 それに俺自身も、勇者と聖女が持つ聖属性を身に着けている。

 なのでこの二つの属性は、あくまでも魔王や勇者、聖女以外が持つことが稀なのだろう。

 そんなことを考えつつ、俺たちは探索を続ける。

 するとそんな時、ようやく新種のモンスターと遭遇した。

 半透明で足が無く、青白い存在。ザ・幽霊という印象を受けるモンスター。

 子供くらいのサイズであり、顔は〇二つと▽一つというシンプルな表情だった。

 〇 〇
  ▽

 俺は早速、鑑定を飛ばす。


 種族:レイス
 種族特性
【生命探知】【闇属性適性】【闇属性耐性(小)】
【シャドーニードル】【ドレインタッチ】
【物理無効】【魔法弱体(大)】


 ふむ。面白い種族特性をしているな。

 特に物理無効が面白い。

 試しにホブンに殴らせてみるが、攻撃がすり抜けた。

 身体の中に魔石も見えるが、その部分にも当たらない。

 不思議なモンスターだ。

 しかしその代わりに、魔法に対しては物凄く弱いらしい。

 アンクにシャドーニードルを打ち込ませると、弾けるようにして簡単に倒せてしまった。

 そして床の水に、ポチャリと音を立てて魔石が落ちる。

 先ほどとは違い、倒すと魔石は実体化するようだ。

 実際に手に取ってみると、何の変哲もない魔石である。

 俺はそう思いつつも、カード化を行った。

 魔石があれば、問題なくカード化できるみたいである。

「よし、レイス。ゲットだ」
「にゃんにゃにゃん!」

 声を上げると、レフもそれに続いた。

 さて、強さ的には、Dランクだろうか?

 弱点があるものの、物理が効かないのは面白い。

 それなりに、数を揃えておきたいところだ。

 俺はそう思いながら、探索を再開する。

 ただレイスはレア枠なのか、中々現れない。

 しかし全くいないという訳ではなく、何度か遭遇した。

 するとその時、何を思ったのかアロマがレイスに向けてヒールを発動する。

「きゅぃい!」
「!!!???」

 結果驚くことに、レイスが消滅した。

 残されたのは、魔石だけである。

「これは、どういうことだ?」

 魔法が弱点過ぎて、ヒールも効いたということだろうか?

 それとも、アンデッド系はヒールが弱点だったのかもしれない。

 アンデッド系であるサンは普通に回復していたし、そういうものかと思っていた。

 しかしサンはよく考えれば光属性適性を持っているし、もしかしたら例外だったのかもしれない。

 これは、一度確認してみたほうが良いな。

 今更ながらそのことに気がつき、俺は少し試してみることにした。

 だがやって来るアンデッド海賊には、効果が無い。

 いや、ダメージを与えた後に行うと、普段よりは回復力が落ちているものの、発動はしている。

 アンデッドによっては、ヒールの効果が変わるということだろうか?

 なので試しにランク別に召喚して、ヒールの効果を確認してみた。

 その結果、次のことが判明する。


 ・Fスケルトン
 →ダメージを少し受ける。

 ・Eゾンビ
 →回復自体しない。

 ・Dゾンビフロッグ
 →僅かに回復。
 体感回復力25%くらい。 

 ・Cスケルトンナイト
 →回復力半減。

 ・Bガシャドクロ
 →多少回復効果が減少するが、おおむね回復。
 体感回復力75%くらい。
 寝かせるように召喚することで、何とか通路に出せた。

 ・Aボーンドラゴン
 →場所が狭すぎて試せず。
 おそらくは減少なく、普通に回復すると思われる。


 アンデッド系はランクが低いと、ヒールの効きが悪くなることがよく分かった。

 唯一Fランクのスケルトンはダメージを受けるみたいだが、たかが知れている。

 おそらくヒールで倒すより、何か鈍器のようなもので殴った方が早い。

 ヒールで倒すのは、効率が悪すぎるだろう。

 これが中級や上級の回復魔法であった場合、どうなるかは現状不明だ。

 もしかしたら、ダメージを与えられるランク幅が広がるのかもしれない。

 ちなみにこんな悠長に実験をしているのには、理由がある。

 そう、既にゾンビモスキートが、ゴールを発見していたからだ。

 なのでこうして、余裕を持っているのである。

 とりあえずレイスを確保しつつ、アロマに戦闘経験を積ませよう。

 アロマにとっては、ある意味ボーナスタイムだ。

 そう思い、俺たちはレイスを探し続けた。

 また俺はレイスを見ていて、あることに気がつく。

 なんかレイスって、あの赤い煙と似ていないか?

 足が無く、幽霊のような姿。シルエット的には非常に酷似している。

 もしかすると、赤い煙はレイス系のモンスターなのか?

 だとすれば、一つ試してみたいことがあるな。

 なので俺はリーフェを召喚すると、レイスに幻属性魔法を発動させる。

「え~い! フィアー!」
「!!!?????」

 すると案の定効果は抜群で、レイスが一か所に縮こまったり逃げ出したりし始めた。

 リーフェ的にはかなり手を抜いて発動したらしいが、面白いくらい楽に通ってしまうと言う。

 これは、確定かもしれないな。

 赤い煙は魔王らしいし、流石に魔法が弱点であることは克服こくふくしている可能性がある。

 また物理攻撃は、意味をなさないのだろう。

 器であるアルハイドがいたからこそ、物理干渉ができていたのかもしれない。
 
 ちなみにストレージに収納しているアルハイドだが、現状出してはいなかった。

 あれは幻の世界の出来事だったので、出した瞬間に消える予感がしたのだ。

 これは直感のスキルも働いているので、ほぼ間違いないだろう。

 なのでアルハイドの体をどうすることもできず、ストレージで眠らせておくしか今はできない。

 それにしても、思わぬところで重要なヒントを得られた。

 しかしこんなヒントを、あの赤い煙が残しておくものだろうか?

 同時に俺は、そう思ってしまう。

 だがあの赤い煙は、スリルとエンターテインメントを好んでいるやつでもあった。

 だとすれば、わざと見逃しているのかもしれない。

 それか、逆にそれを罠としている可能性もある。

 レイスと同系統だと思って戦うのは、危険かもしれないな。

 幻属性が弱点なのは変わらないと思うが、あの赤い煙は過去の存在でもある。

 であればもしかして、今の赤い煙は幻属性も克服しているのか?

 これは、全く油断ができそうにはない。

 そう思いながら、俺はリーフェをカードに戻す。

 リーフェはもう出番が終了なのかと文句を言っていたが、現状では過剰戦力なので必要ない。

 それよりも、ここでアロマの経験を積ませることの方が重要だ。

 今赤い煙のことを考えてもらちが明かないし、狩に集中しよう。

「アロマ、ここは頑張りどころだぞ」
「きゅぃ!」

 そう言って、俺は気合を入れた。

 またその後に狩りを続ける過程で、アロマは俺が抱きかかえている。

 理由は、水位が俺の腰あたりまで来ているからだ。

 ちなみにレフは元の姿に戻ることで、沈むことを回避している。

 他にクモドクロは、器用に壁を足場にして歩いていた。

 おそらく天井にへばりついても、落ちることはないだろう。

 アンクは飛んでいるし、ホブンも俺と同じで問題はない。

 しかしまあ、狩はこの辺が限界だろう。

 流石にここまでくると行動がしづらいため、狩はここまでとしておいた。

 ちなみにゴール地点にあるドアは、一度召喚転移で向かって開けておいたので問題ない。

 それとドアの先へは、水が何故か流れていかなかった。

 ドアを使っての水抜きは、できないということだろう。

 レイスのカードも切りよく三十枚集まったし、十分な結果だ。

 そして再び召喚転移でドアの前に移動すると、このエリアにいるゾンビモスキートたちをカードに戻す。

 さてと、これで浸水迷路エリアはクリアだな。

 このエリアでもうすることはないので、俺たちはそのまま次へと進むのだった。

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