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第六章
214 沼地のダンジョン ⑫
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まずロックゴーレムを、二段重ねで計十体を前面に召喚する。
種族:ロックゴーレム
種族特性
【地属性適性】【地属性耐性(中)】
【ストーンバレット】【硬化】【再生】
【物理耐性(中)】
横五、縦二という感じだ。
そこに続けて、アシッドスライムを三十匹呼び出す。
種族:アシッドスライム
種族特性
【強酸】【酸弾】【分裂】
【再生】【酸耐性(大)】
アシッドスライムは、ゴーレムの正面に纏わりつくようにして展開させた。
そうして最後はホブンにシールドを発動させ、トーンの後ろに俺たちは隠れる。
僅かな瞬間に意思疎通が完了するのは、俺たちの強みだろう。
「――!!!!」
そして、キャリアンイーターの一斉射撃が行われた。
ガトリング砲のように、アシッドショットが放たれる。
いくら酸耐性(大)があるとはいえ、アシッドスライムはDランクのモンスターだ。
何度も直撃していくと、次第にやられていく。
またロックゴーレムも硬化と再生で凌いでいるが、そう長くは耐えられそうにはない。
キャリアンイーターはかなりの魔力量を保持しているのか、攻撃は一向に止む気配が無かった。
このままでは、じり貧だ。
そう、このままではな。
「やれ」
「ギャオオオン!!」
「――!??」
俺の言葉に反応して、キャリアンイーターの背後から漆黒の炎が放たれる。
それはキャリアンイーターの体を、瞬く間に燃やしていく。
やはり植物系のモンスターには、炎が良く効くな。
俺は思わず、笑みを浮かべた。
漆黒の炎、ダークフレイムを放ったのは、もちろんボーンドラゴンだ。
ロックゴーレムとアシッドスライムを召喚した時に、こっそりこいつも呼び出していたのである。
種族:ボーンドラゴン
種族特性
【火闇属性適性】【火闇属性耐性(大)】【生命感知】
【ファイアボール】【シャドーネイル】【ダークフレイム】
【顎《あぎと》強化(大)】【物理耐性(中)】【威圧】
【生魔ドレイン】【再生】【飛行】
エクストラ
【ダンジョンボス】
スキル
【自然魔力回復量上昇(中)】【骨食い】
【ダークフィールド】【瘴気生成】
存在感があり、普通なら召喚したことに気がつかれてもおかしくはない。
だが、キャリアンイーターが持つのは、生命感知と腐肉感知の二種類だ。
アンデッドで腐肉のないボーンドラゴンであれば、気がつかれないのではないかと、そう判断をした。
その結果ことは上手く行き、無防備な背後から強力な一撃をお見舞いすることが出来たという訳である。
あまりの炎の勢いに、キャリアンイーターの攻撃も止む。
「今だ。行くぞ!」
このチャンスを逃すはずは無く、役目を終えたロックゴーレムとアシッドスライムをカードに戻すと、俺は配下たちに総攻撃を命じる。
「にゃぁ!」
「ゴッブア!」
「ギギギ!」
「うきぃ!」
「ギャギャギャ!」
「ガァ!」
それぞれが得意技を放ち、ダメージを与えていく。
「きゅぃい!」
「えいえ~い!」
またアロマが回復魔法で仲間たちを支え、リーフェがダメ元なのかフィアーを放つ。
「!???」
するとここまで追い詰められたからか、なんとキャリアンイーターにもフィアーが通る。
動きが鈍くなり、闇雲に蔓を伸ばしては振り回し始めた。
「ふっ!」
それを俺が的確に斬り飛ばしていき、配下への被害を抑える。
「カタカタッ!」
更にロットキャリアをある程度狩り終えたルトナイたちが、こちらへやってきた。
「よし、ルトナイたちも攻撃に参加してくれ」
「カタカタッ!!」
俺の言葉を聞いて、ルトナイと率いているアンデッド軍団も一斉に攻撃し始める。
それにより斬撃や弓矢、魔法などが飛び交い、正に怪獣討伐大作戦のように戦いが激化していく。
「ギャオオオン!」
ボーンドラゴンも上空からファイアボールを上手く撃ちこみ、キャリアンイーターを燃やし続ける。
そして次第にキャリアンイーターも弱っていき、とどめの一撃が配下から放たれた。
「うきぃい!」
「!!!???」
最後の一撃を放ったのは、ジョンである。
バーストモードに切り替えた魔導ライフル銃による、強力な一撃だった。
それによりキャリアンイーターは。完全に活動を停止して倒れる。
俺たちの勝利だった。
想像以上に、しぶとい相手だったな。
これだけの総攻撃を受けて、ここまで倒れないとは……。
耐久の面だけで言えば、確実にAランク以上の力を有していただろう。
そんな中ボスらしからぬ強さを持ったキャリアンイーターを倒したことに、俺は思わず笑みをこぼす。
「お前たち、よくやった!」
俺は配下たちに、ねぎらいの言葉を送った。
そして早速、カード化を開始する。
俺の手にはキャリアンイーターはもちろんのこと、ロットキャリアのカードも集まった。
「キャリアンイーター。ゲットだ!」
「にゃにゃん!」
強力なカードを手にした俺は、いつものようにそう声を上げる。
レフや配下たちも、それに喜んでいた。
そうして残ったのは、エリアボスを倒したことによって現れた宝箱のみである。
斥候ゾンビに開けさせて、中身を確認した。
「ん? これは……土か?」
宝箱には、ぎっしりと土が入っている。
もしかして、ハズレか?
そう思いつつも、とりあえず鑑定を発動した。
名称:生命の土
説明
どのような環境の土地でも、植物を育成できる。
またこの土を使って育てられた植物は、その性能や品質を向上させる。
なるほど。植物の育成に適した貴重な土のようだ。
そういえばキャリアンイーターには、肥料生成というスキルがあったな。
だからこの周囲には、植物が豊富に生えているのだろう。
ロットキャリアも、この肥料を目当てに腐肉を運んでいたのかもしれない。
だとすればこの地面にある土も、かなり良い物なのだろう。
まあ何かに使えるかもしれないし、宝箱の土と合わせてストレージに収納しておくことにする。
それと何となくこの生命の土の使い道は、近いうちに来るかもしれない。
この荒廃した世界でも、緑が再生する可能性がある。
また植える植物といえば、ユグドラシルの種があったはずだ。
それと組み合わせることで、凄い結果が起きるかもしれない。
俺はそう思いつつ、生命の土と周囲の土をストレージへと収納した。
さて、これで中層の攻略も完了したな。
けど一つだけ、まだ気がかりなことがある。
それは、スワンプマンについてだ。
数が少なく、人が死ぬ瞬間を待っている存在。
であれば、俺の近くにいてもおかしくはない。
なのでスワンプマンを探すために、何羽かアサシンクロウを放っていた。
その結果近くの岩場の陰から、今もこちらを覗いている個体を発見する。
俺がキャリアンイーターに負けるのを、待っていたのだろう。
召喚転移でここに移動した事を考えると、そのスワンプマンは元々この近くにいたことが分かる。
エリアボスの近くなら、冒険者などが死亡する可能性が高いと判断していたのかもしれない。
そんなスワンプマンであるが、見た目は人型をした茶色い泥のモンスターだった。
希少なモンスターであるこいつを、ここで逃がすわけにはいかない。
俺はスワンプマンへとアサシンクロウを急接近させると、同時に召喚転移で移動する。
「!!??」
流石にスワンプマンも俺の移動に気がつくが、その時にはもう遅い。
レフたちも連れてきたので、逃げることは不可能だ。
そんなスワンプマンに、鑑定を放つ。
種族:スワンプマン
種族特性
備考
【生命探知】【地雷属性適性】
【地雷属性耐性(小)】【ストーン】
【サンダー】【再生】【隠密】【成り代わり】
意外にも、雷属性を持っていた。
だがそれよりも目を引くのは、やはり【成り代わり】というスキルだろう。
その効果は、以下のようなものだった。
名称:成り代わり
効果
死後十分以内の対象に発動可能。
発動することで、その人物に成り代わることができる。
記憶やスキル、肉体も全てその人物と同じになる。
その代わり元々の記憶や、スキル等をすべて失う。
なるほど。これでギーギルの謎も、全て解けた。
やはり、ギーギルはスワンプマンに成り代わられたのだろう。
しかしスワンプマンだった頃の記憶は無くなるので、ギーギルとして生きることになる。
当然自分がスワンプマンという事に、最初は気がつかない。
だがダンジョンのモンスターという事に変わりなく、その誓約は受ける。
けれどもギーギルの話を聞く限り、その誓約は完璧ではない。
成り代わったスワンプマンは、ダンジョンにとってはバグのような存在なのだろう。
だからエリアの移動もできるし、ダンジョンのモンスターを倒すこともできる。
そして、ギルンという子供も作ることができた。
俺も女王にダンジョンについて色々と聞かされていなければ、答えに辿り着くまでもう少し時間がかかったかもしれない。
果たしてギーギルは、ギーギル本人といえるのだろうか? それとも、スワンプマンか? もしかしたら、そのどちらでもない可能性もある。
難しい問題だ。
けれども、俺にとって出会ったギーギルこそがギーギルであるので、気にする必要はない。
それよりも今は、コイツをさっさと倒してしまおう。
「!!???」
結果として、俺はスワンプマンのカードを手に入れた。
スワンプマン自体は、そこまで戦闘能力が高くはない。
ランクとしてはCだと思うが、それはスキルの特殊性によるところが大きいだろう。
このスワンプマンは使い方次第では、凄いことになるな。
ギーギルがダンジョンの誓約を受けるのならば、俺のカード召喚術の支配も継続される可能性がある。
であれば、倒した人物をスワンプマンに成り代わらせる事によって、そのまま配下にできるということだ。
しかし問題は記憶や性格がその者になるので、使える場面が限られる。
敵対した人物を手に入れても、面倒なだけだろう。
おそらく嫌々命令を聞きながら、悪態をつく可能性もあった。
また成り代われば、スワンプマンは二度と元には戻らないかもしれない。
であれば成り代わりを使う場面は、ここぞという時に限るだろう。
保険としてあと何枚か欲しいが、スワンプマンは数が少ないらしい。
実際中層を探索していたが、見つけたのはコイツだけである。
であれば深層を探索している間に、スワンプマンを探させよう。
そしてダンジョンの攻略後に、見つけた個体を狩っていけばいい。
だがそこまでして成果がゼロだったら、流石に少し考えよう。
また今から探し続けても、時間が膨大にかかる気がする。
けれども少しくらいは、直接俺たちの手で探してもいいかもしれない。
なのでキャリアンイーターの実験をしつつ、同時進行でスワンプマンを探そうと思う。
俺はそう判断を下すと、何体かを残して配下たちをカードに戻していく。
すると戻したカードの内一枚が、なんと光り輝いていた。
これは間違いなく、進化の兆しである。
予想していたよりも、早い進化だ。
その光っているカード、ジョンのカードを見て、俺はそう思うのだった。
____________________
実はこのスワンプマンで、カード化ナンバーが100を突破しました。
(ネームドで1枠ナンバーを使っています)
まさかここまでモンスターをカード化できるとは、当初は考えてもいませんでした。
次は、151匹を目指したいですね。(笑)
種族:ロックゴーレム
種族特性
【地属性適性】【地属性耐性(中)】
【ストーンバレット】【硬化】【再生】
【物理耐性(中)】
横五、縦二という感じだ。
そこに続けて、アシッドスライムを三十匹呼び出す。
種族:アシッドスライム
種族特性
【強酸】【酸弾】【分裂】
【再生】【酸耐性(大)】
アシッドスライムは、ゴーレムの正面に纏わりつくようにして展開させた。
そうして最後はホブンにシールドを発動させ、トーンの後ろに俺たちは隠れる。
僅かな瞬間に意思疎通が完了するのは、俺たちの強みだろう。
「――!!!!」
そして、キャリアンイーターの一斉射撃が行われた。
ガトリング砲のように、アシッドショットが放たれる。
いくら酸耐性(大)があるとはいえ、アシッドスライムはDランクのモンスターだ。
何度も直撃していくと、次第にやられていく。
またロックゴーレムも硬化と再生で凌いでいるが、そう長くは耐えられそうにはない。
キャリアンイーターはかなりの魔力量を保持しているのか、攻撃は一向に止む気配が無かった。
このままでは、じり貧だ。
そう、このままではな。
「やれ」
「ギャオオオン!!」
「――!??」
俺の言葉に反応して、キャリアンイーターの背後から漆黒の炎が放たれる。
それはキャリアンイーターの体を、瞬く間に燃やしていく。
やはり植物系のモンスターには、炎が良く効くな。
俺は思わず、笑みを浮かべた。
漆黒の炎、ダークフレイムを放ったのは、もちろんボーンドラゴンだ。
ロックゴーレムとアシッドスライムを召喚した時に、こっそりこいつも呼び出していたのである。
種族:ボーンドラゴン
種族特性
【火闇属性適性】【火闇属性耐性(大)】【生命感知】
【ファイアボール】【シャドーネイル】【ダークフレイム】
【顎《あぎと》強化(大)】【物理耐性(中)】【威圧】
【生魔ドレイン】【再生】【飛行】
エクストラ
【ダンジョンボス】
スキル
【自然魔力回復量上昇(中)】【骨食い】
【ダークフィールド】【瘴気生成】
存在感があり、普通なら召喚したことに気がつかれてもおかしくはない。
だが、キャリアンイーターが持つのは、生命感知と腐肉感知の二種類だ。
アンデッドで腐肉のないボーンドラゴンであれば、気がつかれないのではないかと、そう判断をした。
その結果ことは上手く行き、無防備な背後から強力な一撃をお見舞いすることが出来たという訳である。
あまりの炎の勢いに、キャリアンイーターの攻撃も止む。
「今だ。行くぞ!」
このチャンスを逃すはずは無く、役目を終えたロックゴーレムとアシッドスライムをカードに戻すと、俺は配下たちに総攻撃を命じる。
「にゃぁ!」
「ゴッブア!」
「ギギギ!」
「うきぃ!」
「ギャギャギャ!」
「ガァ!」
それぞれが得意技を放ち、ダメージを与えていく。
「きゅぃい!」
「えいえ~い!」
またアロマが回復魔法で仲間たちを支え、リーフェがダメ元なのかフィアーを放つ。
「!???」
するとここまで追い詰められたからか、なんとキャリアンイーターにもフィアーが通る。
動きが鈍くなり、闇雲に蔓を伸ばしては振り回し始めた。
「ふっ!」
それを俺が的確に斬り飛ばしていき、配下への被害を抑える。
「カタカタッ!」
更にロットキャリアをある程度狩り終えたルトナイたちが、こちらへやってきた。
「よし、ルトナイたちも攻撃に参加してくれ」
「カタカタッ!!」
俺の言葉を聞いて、ルトナイと率いているアンデッド軍団も一斉に攻撃し始める。
それにより斬撃や弓矢、魔法などが飛び交い、正に怪獣討伐大作戦のように戦いが激化していく。
「ギャオオオン!」
ボーンドラゴンも上空からファイアボールを上手く撃ちこみ、キャリアンイーターを燃やし続ける。
そして次第にキャリアンイーターも弱っていき、とどめの一撃が配下から放たれた。
「うきぃい!」
「!!!???」
最後の一撃を放ったのは、ジョンである。
バーストモードに切り替えた魔導ライフル銃による、強力な一撃だった。
それによりキャリアンイーターは。完全に活動を停止して倒れる。
俺たちの勝利だった。
想像以上に、しぶとい相手だったな。
これだけの総攻撃を受けて、ここまで倒れないとは……。
耐久の面だけで言えば、確実にAランク以上の力を有していただろう。
そんな中ボスらしからぬ強さを持ったキャリアンイーターを倒したことに、俺は思わず笑みをこぼす。
「お前たち、よくやった!」
俺は配下たちに、ねぎらいの言葉を送った。
そして早速、カード化を開始する。
俺の手にはキャリアンイーターはもちろんのこと、ロットキャリアのカードも集まった。
「キャリアンイーター。ゲットだ!」
「にゃにゃん!」
強力なカードを手にした俺は、いつものようにそう声を上げる。
レフや配下たちも、それに喜んでいた。
そうして残ったのは、エリアボスを倒したことによって現れた宝箱のみである。
斥候ゾンビに開けさせて、中身を確認した。
「ん? これは……土か?」
宝箱には、ぎっしりと土が入っている。
もしかして、ハズレか?
そう思いつつも、とりあえず鑑定を発動した。
名称:生命の土
説明
どのような環境の土地でも、植物を育成できる。
またこの土を使って育てられた植物は、その性能や品質を向上させる。
なるほど。植物の育成に適した貴重な土のようだ。
そういえばキャリアンイーターには、肥料生成というスキルがあったな。
だからこの周囲には、植物が豊富に生えているのだろう。
ロットキャリアも、この肥料を目当てに腐肉を運んでいたのかもしれない。
だとすればこの地面にある土も、かなり良い物なのだろう。
まあ何かに使えるかもしれないし、宝箱の土と合わせてストレージに収納しておくことにする。
それと何となくこの生命の土の使い道は、近いうちに来るかもしれない。
この荒廃した世界でも、緑が再生する可能性がある。
また植える植物といえば、ユグドラシルの種があったはずだ。
それと組み合わせることで、凄い結果が起きるかもしれない。
俺はそう思いつつ、生命の土と周囲の土をストレージへと収納した。
さて、これで中層の攻略も完了したな。
けど一つだけ、まだ気がかりなことがある。
それは、スワンプマンについてだ。
数が少なく、人が死ぬ瞬間を待っている存在。
であれば、俺の近くにいてもおかしくはない。
なのでスワンプマンを探すために、何羽かアサシンクロウを放っていた。
その結果近くの岩場の陰から、今もこちらを覗いている個体を発見する。
俺がキャリアンイーターに負けるのを、待っていたのだろう。
召喚転移でここに移動した事を考えると、そのスワンプマンは元々この近くにいたことが分かる。
エリアボスの近くなら、冒険者などが死亡する可能性が高いと判断していたのかもしれない。
そんなスワンプマンであるが、見た目は人型をした茶色い泥のモンスターだった。
希少なモンスターであるこいつを、ここで逃がすわけにはいかない。
俺はスワンプマンへとアサシンクロウを急接近させると、同時に召喚転移で移動する。
「!!??」
流石にスワンプマンも俺の移動に気がつくが、その時にはもう遅い。
レフたちも連れてきたので、逃げることは不可能だ。
そんなスワンプマンに、鑑定を放つ。
種族:スワンプマン
種族特性
備考
【生命探知】【地雷属性適性】
【地雷属性耐性(小)】【ストーン】
【サンダー】【再生】【隠密】【成り代わり】
意外にも、雷属性を持っていた。
だがそれよりも目を引くのは、やはり【成り代わり】というスキルだろう。
その効果は、以下のようなものだった。
名称:成り代わり
効果
死後十分以内の対象に発動可能。
発動することで、その人物に成り代わることができる。
記憶やスキル、肉体も全てその人物と同じになる。
その代わり元々の記憶や、スキル等をすべて失う。
なるほど。これでギーギルの謎も、全て解けた。
やはり、ギーギルはスワンプマンに成り代わられたのだろう。
しかしスワンプマンだった頃の記憶は無くなるので、ギーギルとして生きることになる。
当然自分がスワンプマンという事に、最初は気がつかない。
だがダンジョンのモンスターという事に変わりなく、その誓約は受ける。
けれどもギーギルの話を聞く限り、その誓約は完璧ではない。
成り代わったスワンプマンは、ダンジョンにとってはバグのような存在なのだろう。
だからエリアの移動もできるし、ダンジョンのモンスターを倒すこともできる。
そして、ギルンという子供も作ることができた。
俺も女王にダンジョンについて色々と聞かされていなければ、答えに辿り着くまでもう少し時間がかかったかもしれない。
果たしてギーギルは、ギーギル本人といえるのだろうか? それとも、スワンプマンか? もしかしたら、そのどちらでもない可能性もある。
難しい問題だ。
けれども、俺にとって出会ったギーギルこそがギーギルであるので、気にする必要はない。
それよりも今は、コイツをさっさと倒してしまおう。
「!!???」
結果として、俺はスワンプマンのカードを手に入れた。
スワンプマン自体は、そこまで戦闘能力が高くはない。
ランクとしてはCだと思うが、それはスキルの特殊性によるところが大きいだろう。
このスワンプマンは使い方次第では、凄いことになるな。
ギーギルがダンジョンの誓約を受けるのならば、俺のカード召喚術の支配も継続される可能性がある。
であれば、倒した人物をスワンプマンに成り代わらせる事によって、そのまま配下にできるということだ。
しかし問題は記憶や性格がその者になるので、使える場面が限られる。
敵対した人物を手に入れても、面倒なだけだろう。
おそらく嫌々命令を聞きながら、悪態をつく可能性もあった。
また成り代われば、スワンプマンは二度と元には戻らないかもしれない。
であれば成り代わりを使う場面は、ここぞという時に限るだろう。
保険としてあと何枚か欲しいが、スワンプマンは数が少ないらしい。
実際中層を探索していたが、見つけたのはコイツだけである。
であれば深層を探索している間に、スワンプマンを探させよう。
そしてダンジョンの攻略後に、見つけた個体を狩っていけばいい。
だがそこまでして成果がゼロだったら、流石に少し考えよう。
また今から探し続けても、時間が膨大にかかる気がする。
けれども少しくらいは、直接俺たちの手で探してもいいかもしれない。
なのでキャリアンイーターの実験をしつつ、同時進行でスワンプマンを探そうと思う。
俺はそう判断を下すと、何体かを残して配下たちをカードに戻していく。
すると戻したカードの内一枚が、なんと光り輝いていた。
これは間違いなく、進化の兆しである。
予想していたよりも、早い進化だ。
その光っているカード、ジョンのカードを見て、俺はそう思うのだった。
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実はこのスワンプマンで、カード化ナンバーが100を突破しました。
(ネームドで1枠ナンバーを使っています)
まさかここまでモンスターをカード化できるとは、当初は考えてもいませんでした。
次は、151匹を目指したいですね。(笑)
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※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
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