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鍛練篇

第14話・僕の偉能力・偉人転身

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「本が光ってる!」
アイザック・ニュートンは依然として宙に浮いた状態だ。
「二回目か、これも。でもあの時とは違う。」
歴坊は、光出した歴史辞書を手に取る。
「これが俺達……”以心伝心”の”偉能力”だ!!」
光は、歴坊を包み込み、歴坊の髪の線の色が青から、赤へと変化する。

「(思う存分、暴れてやろうぜ。)」
歴坊に坂本龍馬の声が届く。
「あぁ。強くなった僕を見て下さい!」
歴坊は両足を蹴り上げ、ニュートンの方へ高く跳び上がった。
「高く跳び上がったけど、僕は”無重力状態”。届かないよ、君の体じゃ。」
ニュートンの言う通り、歴坊は、ニュートンの所まで届かず、地面に着地する。
「高みの見物も嫌いだから、そろそろ降りるよ。」
ニュートンはそう言うと、静かに地面に着地した。

「”ニュートンの法則・速度変換”!!」
すると、大きな音をたて、ニュートンの後ろに空気の波が出来て、その空気の波は、勢いよくニュートンを押し始め、歴坊に迫ってくる。
「また隠し玉?でも、大丈夫だ。俺たちの”偉能力”は!!」
そう言うと、勢いよく迫ってくるニュートンの前に両手で耐える体制を歴坊はとる。
「馬鹿な!?流石に鍛えたっからって耐える事など出来ない!!」

歴坊は静かに深呼吸する。
「”偉能力・維新回天”!!」
二人は激しくぶつかり合った。
「ぐぅおぅぅぉぉぉ!!」
「はぁあぁぁぁぁぁ!!」

ニュートンを押していた空気の波は、歴坊の肉体にてエネルギー変換し始める。
「馬鹿な!?耐えれる筈など……」
やがてニュートンを押していた空気の波は、消えてしまった。
「今だ!!」
歴坊はすぐさま、ニュートンの腹へ一撃をお見舞いしようとするが、ニュートンは、軽く後ろへ跳んで避けた。
「”無重力(ゼロ・グラビティ)”!!」
ニュートンは宙に浮き、一息した。

「それが君の隠し玉だね。油断すると不味いね。」
ニュートンは、宙に浮いている状態のため、安堵の表情だ。
「また宙に浮いたか……」
でもさっきとは歴坊は違っていた。再び、歴坊は両足を蹴り上げ、ニュートンの方へ高く跳び上がった。
「同じ事をしてても……」
が、あっという間に歴坊の体はニュートンの至近距離に迫る。
「まさか……僕の”偉能力”のエネルギーを歴坊君の身体のエネルギーに変換させた!?」
ニュートンは驚きつつ、咄嗟の判断で無重力状態を解き、地面に着地する。 

「あれが歴坊君の”偉能力”……」
歴坊は、ニュートンが急に地面に着地したため、歴坊は体のバランスを崩し、地面に体を打ち付けた。その時、地面に大きく亀裂が入り、軽く地震を起こした。
「まだ、パワーが溜まっていたのか……歴坊君?大丈夫?」
ニュートンは思わず心配になり、歴坊に声を掛けた。
「大丈夫です。まだやれます!」
地面に体を打ち付けたにも関わらず、歴坊の体はほぼ無傷だった。

「ハハハハハ……!!」
闘技場はニュートンの笑い声で包まれた。
「えっ?何か可笑しいですか?」
歴坊は、あっけらかんとしてニュートンに聞く。
「いや……違うんだ。合格だ!」
「合格?」
「さぁ、ヒストのメンバーとして、頑張りたまえ!」

「本当に予想外しかないよ、歴坊君。」
歴坊とニュートンは、二人ともベットに横になっていた。
「その……戦いはまだ終わって無いですよ?」
「言ったでしょ?合格って。それにお互い偉能力を解いてるし。」
歴坊は無意識に偉能力を解いており、坂本龍馬の声も聞こえなくなっていた。
「君は充分強くなったよ。鍛えていなかっら、僕の空気の波も耐えきれなかった。これからは、現場でさらに強くなるんだ。」
しかし、歴坊はまだ悩みがあった。

「光った時しか能力発動しないんです。いつ光るか分からないんです。自由に使えないんです。」
歴坊は頭を悩ます中、ニュートンはリンゴを噛じり、笑顔を見せる。
「一つ変わった事は無いかい?」
「変わった事ですか?」
歴坊は体あちこち、見たり触ったりするが、何も変わってない。
「本だよ。本。」
ニュートンの言う通り、歴史辞書をよく見ると栞が挟まれていた事歴坊は気づいた。
「”栞”?”栞”挟みましたか?」
ニュートンは顔を横に振った。
「一体なんで?」

歴坊は歴史辞書の”栞”が挟んでいたページを開いた。
「坂本龍馬……」
そのページは、坂本龍馬の情報が書かれていた。
「そうか、この”栞”が?」
ニュートンはリンゴを噛じり、笑顔を見せた。 
「もしかしたら、その”栞”が君の”偉能力発動の鍵”になるかもね。」
その”栞”は、坂本龍馬直筆と思われるサインが書かれていた。



「お世話になりました。また来ますね。」
歴坊達は、オンボロ研究所の入口前にて別れの時間となっていた。
「強くなって帰ってきたな。見れば分かるぞ、歴坊君。」
歴坊の迎いには秘密組織ヒストのメンバーである平賀源内が来ていた。
「源内さん。お久しぶりです。えーお久しぶりです。」
「えっ?ニュートンさん?様子が可笑しいですけど?」
ニュートンは源内の目の前では変人になっていた。
「私は変人ですよ。ですよね、歴坊君?」
ニュートンの思わぬパスに歴坊は困ってしまった。

「最後に一つ良いだろうか?うん。良いに違いない。」
ニュートンは後ろへ上半身倒れさせ、すぐ、体勢を戻した。
「なんでしょう?」
ニュートンはリンゴを噛じり、笑顔を見せた。
「君の”偉能力名”はなんだい?」
「僕の”偉能力名”……」
歴坊は深く考え、答えを出した。
「”以心伝心”の”偉能力”……」
風が吹き、歴坊の髪がなびく。
「”偉人転身”です!!」



「またこうして、こんな形で再びお前の顔を見るとはな。」
武蔵坊弁慶は、とある一人の男に会っていた。
「呼んでも来ないと思ってたぜ。」
その男は鼻に絆創膏、首元には卍の字が記されていた。
「まぁ、少し考えた。こん前は、子供がいたし、上手く話せなかったけどよ。」
男は不気味な笑みを浮かべる。
「”弟”みたいに遊んでいいか?」
その質問に弁慶は怒りを表す。
「冗談に聞こえないな。どうなるか分かってるんだろうな!?」
男は未だ不気味な笑みを浮かべている。
「熱くなんなよ。それに実際、ガチでお前とやり合うつもりは無い。」
弁慶は怒りをヒートアップする。
「無かった事にすんなよ!!”源頼朝”!!」
真夜中の満月、また新たな戦いが始まろうとしていた。
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