偉人転身~偉人が一つの時代に生きる世界で~

ねしちご。

文字の大きさ
6 / 17
ようこそ偉人世界篇

第5話・偉能力

しおりを挟む
 ナイチンゲールは今度は冷たいお茶を入れ直し、武蔵坊弁慶は話を始めた。
「ここは偉人が一つの時代に生きる世界だ。」
「はい、そこは前の話で聞きました。」
「初見の人もいるだろ。こんなヘンテコな話。」
「あまりふざけないで下さい。それに第一話からボケ過ぎです。後々シリアスになるのに。」
「そういうフラグ立てようとするな!」
と弁慶と歴坊の話が完全にズレていると
「うるせぇーー!!」
積んであったダンボールから一人のおじさんが現れた。

「ひぃえゃあぁぁぁ!!」
歴坊が驚き、コンセントの線につまづき、転んでしまった。
「すまない。この歳で言葉遣いが悪かったな。」
「ねぇ。源じいからあの話をしてよ。」
ナイチンゲールはおじさんに”異能力”について急かすように頼み込んだ。
「俺の出番が……セリフ量合わせに入ったか……」
するとみんな弁慶の顔を真顔で見つめた。
「いいぞ、ジジイ。話して。」「ジジイじゃない。私の名前はそう、”平賀源内”。その人である。」「どの人?」
「ゲール……そこは話を合わせて……」
するとナイチンゲールは源内に向けて正座して頭を下げた。
「ははぁ。平賀源内様~」
「うむ。」
源内は満更でもないようだ。

「”異能力”は”偉人”のみが使える特別な能力の事だ。」
「凄いです!源内さん!」
やはり満更でもないようだ。
「例えば……弁慶は歴坊君に1度能力を見せた事があるようだな。」「確かにな。」
歴坊はなんのことか分からずにいたが、ナイチンゲールが弁慶のモノマネらしく、手で前をかざすポーズをとるとすぐ歴坊は理解した。
「変なバリアのやつですね。」「変な……」
「安心しろ。弁慶。顔が変だから変なやつが出すバリアだ。」
「長いよ。源じい。ハゲバリアだよ。」
「普通のバリアだよ!」
弁慶は怒りをあらわにすると、源内に話を進めるようせがんだ。

「では話を続ける。私たち機密組織通称”ヒスト”は”異能力”を利用して警察や探偵との協力、裏の連中を表へ引っ張り出す事が目的だ。」
「裏の連中ですか?」
歴坊が疑問を持つと今度は弁慶が説明し出した。
「要するに犯罪者や”異能力を悪用する”連中だ。」
「それって……偉人なのに……”異能力”を使って悪さしているんですか……」
歴坊はこの世界の悲しい現実に肩を落とした。
「歴坊。お前達の世界と俺達の世界は別物と考えるんだ。お前達の世界の固定概念に囚われるな。」さらに源内は話を続けた。
「”異能力”によっては人を傷付ける。最悪、死に至る事だってある。それは理解して欲しい。」
先程とは違い、源内は真剣な顔で語った。
「あの……僕……まだここで働くって決めてないんですが……」
歴坊は恐る恐る話した。

「えっ?」
歴坊除く三人は目が点になってしまった。
「弁慶さんが強制的に!」
「いや、ここは嘘でも働くって言えよ。イェスマンになれよ。」
どうやら源内とナイチンゲールは歴坊がここで働く事に決めたと弁慶から説明があったようだ。「じゃあ、改めてようこそ歴坊君。今日から僕達の仲間だ。」「ついでにこのモップで床掃除してて。」
「頼んだ、歴坊。ビシバシ働けよ。」
そうして強引に機密機関”ヒスト”で働く事になったのだった。

「最悪死ぬんですよね?!」
「あくまで最悪だよ。つーかここの連中はみんな生きてるし。」「いや弁慶さん……も~お!!」
”異能力”について知り、”ヒスト”の目的について知った歴坊の長いここでの生活が始まった。
「”異能力”じゃなくて”偉能力っていうのはどうでしょう?」
歴坊はホワイトボードにそう書いてみた。
「センスいい~。」
源内とナイチンゲール、弁慶をもがその言葉にそう反応した。
「え……thank you……」
歴坊はちょっぴり嬉しかった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

処理中です...