8 / 15
第二章 赤き花の支配
第8話 石川奈波の使命
しおりを挟む
【数日前】
料理部の部室のドアが久しぶりに開くと、入ってきたのはあたしの顧問、藤野先生だった。
「お久しぶりですわね、石川さん」
「はい、お久しぶりですね。今日はなんのために来たんですか?」
「残念ながら、悲報を知らせるために。料理部は廃部になりかねないわよ」
「本当? まあ、全員が急に幽霊部員になっちゃったから無理もないね」
あたしは俯いた。
「でも、確かに悲しいです。料理の楽しさを、もっと多くの人に伝えたい」
「それなら、新しいメンバーを勧誘する必要がありますね。他に料理に興味を持っている友達がいるかしら?」
顧問の言葉に、あたしは学食での会話をふと思い出し、妙案が閃いた。
――彩夏だ! 彩夏を勧誘してみよう!
「はい、もう一人いるんですよ! 風田彩夏。その名前、聞いたことありますか?」
藤野先生は首を横に振った。
「いえ。でも風田先生の娘なんでしょうね。面白そう」
「じゃあ、彼女を勧誘しようと思います! ありがとうございました!」
「それでは、私は忙しいですから」
言って、藤野先生は部室を辞去した。
「彩夏と一緒に料理する……嬉しいなぁ」
あたしの独り言が部室に寂しく響いた。
何分か後、突然ドアが再びからりと開いた。
顧問が戻ってきたのかと思いきや、そこに立っていたのは息を切らした彩夏だった。
「さ、彩夏?」
あたしは喘ぐ彩夏を見て驚愕する。
まさか、あたしを見つけるために全力疾走でもしたのか?
「どうしてここに?」
答える前に、彩夏は片手で汗を拭った。
「探していたよ。今までは帰宅部だったけど、今日同じ部活に入ろうと思った」
彩夏は料理に興味があるとはいえ、正直自分から入部するとは思わなかった。
「そう? 実はね、メンバーが少ないんでここは廃部になりかねないと顧問に言われたんだけど」
あたしの言葉に、彩夏はなぜか目を輝かせる。
「廃部? それなら、私はなおさら入りたい」
「えー、嬉しい!」
今回、目を輝かせていたのはあたしだったかもしれない。
彩夏と一緒に料理をして、彼女に色々なことを教えて、あたしは本当に嬉しい。
それでも、悔しくてたまらないのは、こんな幽霊部員だらけの料理部を彩夏に見せたくなかったから。
我ながら料理が得意なはずなのに、みんな逃げてしまった。
――やはり、あたしは部長に向いていなかったのか?
そう思って、あたしも彼女たちのように逃げた。
入部希望の彩夏から逃げたのだ。
なぜなら、嬉しかったのに、その嬉しさが悔しさに書き換えられてしまったから。
そして、彩夏はあたしを追いかけてくれて、もう一度あたしを喜ばせてくれた。
あの時、あたしは彩夏と友達になってよかったな、と実感した。
いつもあたしを支えてくれる彩夏に感謝しても感謝しきれない。
だから、あたしは恩返しをすると決めた。
今度こそ君に料理を教えてあげる、と。
「じゃあ、まずはエプロンから。好きな色を選べばいいよ」
そう言ってから、あたしは彩夏に微笑みかけた。
新しい料理部が始まろうとしている。あたしにとって、それは何よりも楽しみだ。
⯁ ⯁ ⯁
彩夏が唐突に部室を飛び出したとき、あたしはかなり狼狽えた。
彩夏は母に連絡するのを忘れたと言っていたのだが、あたしはどうすればいいのかわからない。
――追いかけるべきか? ほっとくべきか?
あたしを追いかけてくれたとき、彩夏も同じことを考えたのだろうか? いや、彼女なら咄嗟に判断できたに違いない。
それでも、あたしは未だにためらっている。友達が困っているときは助けてあげるのが常識だというのに。
あたしは立ち上がり、部室のドアに向かった。
エプロンで走るのは危ないので、念のため外しておいた。
そして、部室を後にして、彩夏を追いかけ始めた。彼女があたしにしてくれたように。
通学路の果て、彩夏の背中が目に入ってきた。
彼女は家の玄関前で必死に鍵をいじっている。
そうか、ここら辺に住んでいるのか。どうりで遅刻したことがないわけだ。こんなに学校の近くに住めば、寝坊しても遅刻はしないだろう。
あたしは立ち止まり、彩夏を呼び止める。
「待って、彩夏!」
あたしの声かけに呼応して、彩夏はこちらを向いた。すると、彼女はなぜか唐突に謝った。
「こちらこそごめん! エプロンを盗んじゃって! どうか、許してください!!」
その言葉の意味は咄嗟にはわからなかった。しかし、彩夏を頭のてっぺんから足の爪先まで見ると、未だに緋色のエプロンを着けていることに気づいた。
彩夏は、あたしを怒らせたと思ったのか? あたしが怖いと依然として思っているのか?
あたしは、一生懸命に彼女の友達でいようとしているのに……。
いや、考えすぎているだろう。
あたしは部長だから、エプロンを盗まれたら怒ると考えるのは一応理にかなっている。
「彩夏はエプロンを盗んでなどいないよ。彩夏が選んだエプロンだからね」
ちなみに、それは彩夏を慰めるための真っ赤な嘘ではなく、あたしの本心だったのだ。
「ありがとう! でも時間がない!」
そう言って、彩夏はまた走り出しそうになった。
そういえば、彼女はお母さんに謝るために家に帰ったのだろうが、そうするにはまだ早いのではないか?
なぜなら、彩夏のお母さん――風田先生はまだ学校で仕事に勤しんでいるはずだから。
「母は……こんな時間だと家にいるはずなのに、母を見つけられなかったんだ! 今すぐ捜しにいかないと!」
そうか、残業しないタイプなのだ。それでも、彩夏の焦燥は腑に落ちない。お母さんが教諭だから、たまに帰るのが遅くなって当然だろう。
とにかく、あたしは彩夏の言葉を肯定して、彼女が躓かないようにその緋色のエプロンを外してあげた。
そして、あたしたちは一緒に風田先生を捜し始めた。
「あのね奈波、どこに行っているの?」
「彩夏のお母さんがいる場所に、でしょ?」
あたしは風田先生の教室の場所を知っているのに、彩夏はなぜかお母さんを行方不明だと勘違いしているようだ。
もちろん、あたしはそれを不思議に思ったが、詮索しないことにした。なぜなら、彩夏は今まで帰宅部だったらしいので、慣れていない部活をして頭が疲れているのかもしれないと思ったから。
「学校? 私の母は学校にいるの?」
「あはは、ついにおかしくなったね彩夏。本当に忘れたのか? 君のお母さんはこの学校の先生だよ?」
最初は彩夏が冗談めかして言っているだろうと思ったが、その時あたしはさらに心配した。
彩夏はなぜ自分のお母さんの仕事を覚えていないのだろうか?
⯁ ⯁ ⯁
授業中、廊下のほうから二人の女性の声がかすかに聞こえた。
この教室を通り過ぎているのか、彼女たちの声が徐々に大きくなってきた。
『恵梨華……そろそろ保健室に着くよね……』
その声の持ち主は紛れもなく彩夏だ。
自分を傷つけたのか?
あたしが反射的に立ち上がると、みんなの視線がこちらに集まった。
「石川さん? 大丈夫ですか?」
普通に考えたら、友達が――彩夏が保健室に行っているからって、あたしが授業をサボっていいわけがない。
しかし、風田先生が教壇に立っている授業なら話は別だ。
「彩夏の声が聞こえました。彼女は保健室に行っているみたいですよ」
『うん……もう少し頑張ってね』
『ありがとう、恵梨華』
静寂に包まれた教室に、二人の声がよく聞こえる。
「わかりました。石川さんは彩夏の友達だったんですね」
あたしはこくりと頷く。
「石川さん。どうか、私の娘を助けてください」
その意味深そうな言葉に、あたしはすかさず教室を出た。
見慣れた廊下が目の前に広がっていく。
視線を落とすと、なぜか床には血痕が点在している。それを見て、あたしは鳥肌が立った。
すでに保健室にたどり着いていたのか、彩夏と恵梨華の姿はどこにも見当たらない。
「どうか、私の娘を助けてください」
あたしはさっき風田先生に言われた言葉を復唱して、ふと気づいた。
――まさか、風田先生はあたしの秘密を知っているのか?
料理部の部室のドアが久しぶりに開くと、入ってきたのはあたしの顧問、藤野先生だった。
「お久しぶりですわね、石川さん」
「はい、お久しぶりですね。今日はなんのために来たんですか?」
「残念ながら、悲報を知らせるために。料理部は廃部になりかねないわよ」
「本当? まあ、全員が急に幽霊部員になっちゃったから無理もないね」
あたしは俯いた。
「でも、確かに悲しいです。料理の楽しさを、もっと多くの人に伝えたい」
「それなら、新しいメンバーを勧誘する必要がありますね。他に料理に興味を持っている友達がいるかしら?」
顧問の言葉に、あたしは学食での会話をふと思い出し、妙案が閃いた。
――彩夏だ! 彩夏を勧誘してみよう!
「はい、もう一人いるんですよ! 風田彩夏。その名前、聞いたことありますか?」
藤野先生は首を横に振った。
「いえ。でも風田先生の娘なんでしょうね。面白そう」
「じゃあ、彼女を勧誘しようと思います! ありがとうございました!」
「それでは、私は忙しいですから」
言って、藤野先生は部室を辞去した。
「彩夏と一緒に料理する……嬉しいなぁ」
あたしの独り言が部室に寂しく響いた。
何分か後、突然ドアが再びからりと開いた。
顧問が戻ってきたのかと思いきや、そこに立っていたのは息を切らした彩夏だった。
「さ、彩夏?」
あたしは喘ぐ彩夏を見て驚愕する。
まさか、あたしを見つけるために全力疾走でもしたのか?
「どうしてここに?」
答える前に、彩夏は片手で汗を拭った。
「探していたよ。今までは帰宅部だったけど、今日同じ部活に入ろうと思った」
彩夏は料理に興味があるとはいえ、正直自分から入部するとは思わなかった。
「そう? 実はね、メンバーが少ないんでここは廃部になりかねないと顧問に言われたんだけど」
あたしの言葉に、彩夏はなぜか目を輝かせる。
「廃部? それなら、私はなおさら入りたい」
「えー、嬉しい!」
今回、目を輝かせていたのはあたしだったかもしれない。
彩夏と一緒に料理をして、彼女に色々なことを教えて、あたしは本当に嬉しい。
それでも、悔しくてたまらないのは、こんな幽霊部員だらけの料理部を彩夏に見せたくなかったから。
我ながら料理が得意なはずなのに、みんな逃げてしまった。
――やはり、あたしは部長に向いていなかったのか?
そう思って、あたしも彼女たちのように逃げた。
入部希望の彩夏から逃げたのだ。
なぜなら、嬉しかったのに、その嬉しさが悔しさに書き換えられてしまったから。
そして、彩夏はあたしを追いかけてくれて、もう一度あたしを喜ばせてくれた。
あの時、あたしは彩夏と友達になってよかったな、と実感した。
いつもあたしを支えてくれる彩夏に感謝しても感謝しきれない。
だから、あたしは恩返しをすると決めた。
今度こそ君に料理を教えてあげる、と。
「じゃあ、まずはエプロンから。好きな色を選べばいいよ」
そう言ってから、あたしは彩夏に微笑みかけた。
新しい料理部が始まろうとしている。あたしにとって、それは何よりも楽しみだ。
⯁ ⯁ ⯁
彩夏が唐突に部室を飛び出したとき、あたしはかなり狼狽えた。
彩夏は母に連絡するのを忘れたと言っていたのだが、あたしはどうすればいいのかわからない。
――追いかけるべきか? ほっとくべきか?
あたしを追いかけてくれたとき、彩夏も同じことを考えたのだろうか? いや、彼女なら咄嗟に判断できたに違いない。
それでも、あたしは未だにためらっている。友達が困っているときは助けてあげるのが常識だというのに。
あたしは立ち上がり、部室のドアに向かった。
エプロンで走るのは危ないので、念のため外しておいた。
そして、部室を後にして、彩夏を追いかけ始めた。彼女があたしにしてくれたように。
通学路の果て、彩夏の背中が目に入ってきた。
彼女は家の玄関前で必死に鍵をいじっている。
そうか、ここら辺に住んでいるのか。どうりで遅刻したことがないわけだ。こんなに学校の近くに住めば、寝坊しても遅刻はしないだろう。
あたしは立ち止まり、彩夏を呼び止める。
「待って、彩夏!」
あたしの声かけに呼応して、彩夏はこちらを向いた。すると、彼女はなぜか唐突に謝った。
「こちらこそごめん! エプロンを盗んじゃって! どうか、許してください!!」
その言葉の意味は咄嗟にはわからなかった。しかし、彩夏を頭のてっぺんから足の爪先まで見ると、未だに緋色のエプロンを着けていることに気づいた。
彩夏は、あたしを怒らせたと思ったのか? あたしが怖いと依然として思っているのか?
あたしは、一生懸命に彼女の友達でいようとしているのに……。
いや、考えすぎているだろう。
あたしは部長だから、エプロンを盗まれたら怒ると考えるのは一応理にかなっている。
「彩夏はエプロンを盗んでなどいないよ。彩夏が選んだエプロンだからね」
ちなみに、それは彩夏を慰めるための真っ赤な嘘ではなく、あたしの本心だったのだ。
「ありがとう! でも時間がない!」
そう言って、彩夏はまた走り出しそうになった。
そういえば、彼女はお母さんに謝るために家に帰ったのだろうが、そうするにはまだ早いのではないか?
なぜなら、彩夏のお母さん――風田先生はまだ学校で仕事に勤しんでいるはずだから。
「母は……こんな時間だと家にいるはずなのに、母を見つけられなかったんだ! 今すぐ捜しにいかないと!」
そうか、残業しないタイプなのだ。それでも、彩夏の焦燥は腑に落ちない。お母さんが教諭だから、たまに帰るのが遅くなって当然だろう。
とにかく、あたしは彩夏の言葉を肯定して、彼女が躓かないようにその緋色のエプロンを外してあげた。
そして、あたしたちは一緒に風田先生を捜し始めた。
「あのね奈波、どこに行っているの?」
「彩夏のお母さんがいる場所に、でしょ?」
あたしは風田先生の教室の場所を知っているのに、彩夏はなぜかお母さんを行方不明だと勘違いしているようだ。
もちろん、あたしはそれを不思議に思ったが、詮索しないことにした。なぜなら、彩夏は今まで帰宅部だったらしいので、慣れていない部活をして頭が疲れているのかもしれないと思ったから。
「学校? 私の母は学校にいるの?」
「あはは、ついにおかしくなったね彩夏。本当に忘れたのか? 君のお母さんはこの学校の先生だよ?」
最初は彩夏が冗談めかして言っているだろうと思ったが、その時あたしはさらに心配した。
彩夏はなぜ自分のお母さんの仕事を覚えていないのだろうか?
⯁ ⯁ ⯁
授業中、廊下のほうから二人の女性の声がかすかに聞こえた。
この教室を通り過ぎているのか、彼女たちの声が徐々に大きくなってきた。
『恵梨華……そろそろ保健室に着くよね……』
その声の持ち主は紛れもなく彩夏だ。
自分を傷つけたのか?
あたしが反射的に立ち上がると、みんなの視線がこちらに集まった。
「石川さん? 大丈夫ですか?」
普通に考えたら、友達が――彩夏が保健室に行っているからって、あたしが授業をサボっていいわけがない。
しかし、風田先生が教壇に立っている授業なら話は別だ。
「彩夏の声が聞こえました。彼女は保健室に行っているみたいですよ」
『うん……もう少し頑張ってね』
『ありがとう、恵梨華』
静寂に包まれた教室に、二人の声がよく聞こえる。
「わかりました。石川さんは彩夏の友達だったんですね」
あたしはこくりと頷く。
「石川さん。どうか、私の娘を助けてください」
その意味深そうな言葉に、あたしはすかさず教室を出た。
見慣れた廊下が目の前に広がっていく。
視線を落とすと、なぜか床には血痕が点在している。それを見て、あたしは鳥肌が立った。
すでに保健室にたどり着いていたのか、彩夏と恵梨華の姿はどこにも見当たらない。
「どうか、私の娘を助けてください」
あたしはさっき風田先生に言われた言葉を復唱して、ふと気づいた。
――まさか、風田先生はあたしの秘密を知っているのか?
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
【取り下げ予定】愛されない妃ですので。
ごろごろみかん。
恋愛
王妃になんて、望んでなったわけではない。
国王夫妻のリュシアンとミレーゼの関係は冷えきっていた。
「僕はきみを愛していない」
はっきりそう告げた彼は、ミレーゼ以外の女性を抱き、愛を囁いた。
『お飾り王妃』の名を戴くミレーゼだが、ある日彼女は側妃たちの諍いに巻き込まれ、命を落としてしまう。
(ああ、私の人生ってなんだったんだろう──?)
そう思って人生に終止符を打ったミレーゼだったが、気がつくと結婚前に戻っていた。
しかも、別の人間になっている?
なぜか見知らぬ伯爵令嬢になってしまったミレーゼだが、彼女は決意する。新たな人生、今度はリュシアンに関わることなく、平凡で優しい幸せを掴もう、と。
*年齢制限を18→15に変更しました。
蝶々結びの片紐
桜樹璃音
ライト文芸
抱きしめたい。触りたい。口づけたい。
俺だって、俺だって、俺だって……。
なぁ、どうしたらお前のことを、
忘れられる――?
新選組、藤堂平助の片恋の行方は。
▷ただ儚く君を想うシリーズ Short Story
Since 2022.03.24~2022.07.22
王妃そっちのけの王様は二人目の側室を娶る
家紋武範
恋愛
王妃は自分の人生を憂いていた。国王が王子の時代、彼が六歳、自分は五歳で婚約したものの、顔合わせする度に喧嘩。
しかし王妃はひそかに彼を愛していたのだ。
仲が最悪のまま二人は結婚し、結婚生活が始まるが当然国王は王妃の部屋に来ることはない。
そればかりか国王は側室を持ち、さらに二人目の側室を王宮に迎え入れたのだった。
絶対に間違えないから
mahiro
恋愛
あれは事故だった。
けれど、その場には彼女と仲の悪かった私がおり、日頃の行いの悪さのせいで彼女を階段から突き落とした犯人は私だと誰もが思ったーーー私の初恋であった貴方さえも。
だから、貴方は彼女を失うことになった私を許さず、私を死へ追いやった………はずだった。
何故か私はあのときの記憶を持ったまま6歳の頃の私に戻ってきたのだ。
どうして戻ってこれたのか分からないが、このチャンスを逃すわけにはいかない。
私はもう彼らとは出会わず、日頃の行いの悪さを見直し、平穏な生活を目指す!そう決めたはずなのに...……。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
大嫌いであり愛しい君の死を望む
黒詠詩音
恋愛
高二の夏、篠宮真昼は不治の病、奇病とも言われている。
天花症候群。
所謂、持病が急激に悪化し、医師から余命宣告を受ける。
真昼の彼氏である、黒羽音羽もその事実を飲み込む。
音羽は彼女の要望に答え、最後の思い出作りの旅へと出かける。
彼らは制限付きの旅を自負する。
音羽は真昼には隠しているが、病気を持っていた。
真昼の病気、天花症候群、治療方以前に発見もされていなかった。
音羽も似た状況の病気、蛙殺病。
二人は治療方も、一切ない病気を前に必死に抗い、生きてきた。
だが、彼らの日常にも終わりが見えて来た。
そんな中、彼らは旅の中で、懐かしい者、または、新しい出会いと別れを経験する。
真昼の病気がどんどんと進行する中、音羽も進行が進み始める。
音羽は自分の病気を真昼に隠し、旅を続ける。
真昼は音羽の可笑しな言動、行動に勘付き始めていた。
音羽は真昼の様子が可笑しいのを理解し、自分の事に勘づいてると理解する。
制限時間の旅に変化が訪れ——。
彼らの旅に終わりは見えて来る!
少年少女の行く末は!?
彼ら少年少女は残酷な使命を受け。
そんな彼らの旅に終幕が着く……
古屋さんバイト辞めるって
四宮 あか
ライト文芸
ライト文芸大賞で奨励賞いただきました~。
読んでくださりありがとうございました。
「古屋さんバイト辞めるって」
おしゃれで、明るくて、話しも面白くて、仕事もすぐに覚えた。これからバイトの中心人物にだんだんなっていくのかな? と思った古屋さんはバイトをやめるらしい。
学部は違うけれど同じ大学に通っているからって理由で、石井ミクは古屋さんにバイトを辞めないように説得してと店長に頼まれてしまった。
バイト先でちょろっとしか話したことがないのに、辞めないように説得を頼まれたことで困ってしまった私は……
こういう嫌なタイプが貴方の職場にもいることがあるのではないでしょうか?
表紙の画像はフリー素材サイトの
https://activephotostyle.biz/さまからお借りしました。
誰の代わりに愛されているのか知った私は優しい嘘に溺れていく
矢野りと
恋愛
彼がかつて愛した人は私の知っている人だった。
髪色、瞳の色、そして後ろ姿は私にとても似ている。
いいえ違う…、似ているのは彼女ではなく私だ。望まれて嫁いだから愛されているのかと思っていたけれども、それは間違いだと知ってしまった。
『私はただの身代わりだったのね…』
彼は変わらない。
いつも優しい言葉を紡いでくれる。
でも真実を知ってしまった私にはそれが嘘だと分かっているから…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる