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4 悪夢の辺境伯領地観光
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しおりを挟む「決闘、ですか……」
曇りなき眼?で大人たちを見上げるレリアとコリアに、大人たちは聞き間違えかと、耳を疑いました。
「今、決闘、おっしゃいましたか……?」
「「うん」」
ややあって、シャロック団長がやれやれと頭をかきながらため息を吐きました。
「ーーあのな、お嬢ちゃんお坊ちゃん、決闘は命を懸けて誇りと名誉を守るために行うもんだ。子供の遊びでやるもんじゃねえぞ?」
呆れたように言う言葉に対して、レリアとコリアは「「もちろん!!」」と頷きました。
「はー、ジェスさん、何とか言ってくださいよ。さすがの私も、子供がここで死ぬのは見たくないんですが?」
ジェスはレリアとコリアの前に膝をつき、視線を合わせました。
「……レリア様、コリア様、何か、考えがあるんですね?」
真っすぐに向けられるジェスの視線に答えるように二人は満面の笑みで答えました。
「「もちろん!!」」
「で?なんで俺はいきなり牢屋から出されたんだ?罰則が決まったとか?」
だるそうに牢屋から出てきたルーズベルトの様子は、牢屋に入ってからクールダウンしたのか、落ち着いていました。
「たとえ罰を受けたとしても、俺は自分の言ったことを覆さねぇぞ」
双子に軽蔑の視線を向けるルーズベルトの前に、レリアとコリアは堂々と立ちます。
「ジェス、ロナルド、貸して」
「はい」
二人はジェスとロナルドからそれぞれナイフを借りると、自らの指に走らせ、傷を作りました。
「なっ!?」
ルーズベルトは何かに気が付いたように瞳を見開き、二人を凝視します。
そのルーズベルトを前に、二人は幼い高い声で高らかに告げました。
「「我ら、次期辺境伯レリア・コリアは、ルーズベルトに対して己の誇りと名誉をかけて決闘を申し込む。この決闘はこの地に己の血と魔力を刻み、神に誓うものなり」」
二人が告げた瞬間、地面に落ちた血痕から大きな魔法陣が広がり、地面が隆起しました。
「まじか!!」「これは……」「……!!!」
隆起した地面は円形の闘技場の呈をなし、あたりには土くれでできた観客席までできました。
「わー、高い……」「すごいね……」
レリアとコリアが下を覗き込むと、高さだけで三メートルほどあります。落ちたらただではすまなそうです。
正面に向き直ると、すーずベルトは先ほどまでのふてぶてしい態度はなりを潜め、真っ青な顔でガタガタと小刻みに震えていました。
「「???」」
どうしたんだろうと二人は首を傾げますが、その時、観客席にジェスとロナルドとシャロック団長が着席しました。ーー野次馬の騎士たちがかなり増えているのはご愛敬です。
全てが整った時、ジェスたちが座っている対面にできたVIP席っぽいが階段などなく、簡単に登れない高い位置にポツンとある席を何やら白い靄のようなものが覆いました。
【誓いを聞き届けた、立ち合いは我、戦神の眷属が一柱ドラコーンが見届ける】
瞬間朧の一部が晴れ、黄金の瞳と白い鱗、巨大なとぐろがあらわになった。
その場にいた全員が騒然とする中、ドラコーンはゆったりと告げた。
【では、そこのもの、審判を】
「!!わ、私ですか!?」
ドラコーンから直々に指名されたのはシャロック団長だった。
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