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4 悪夢の辺境伯領地観光
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しおりを挟むチェーロとテラが来てから暫くが経った。
誕生日の翌日はジェスとロナルドがささやかだが、誕生日をお祝いしてくれた。
本当は当日に祝う予定だったらしいのだが、あの日は色々あったので、仕切り直したようだ。
その日の夜にちょっとしたお裾分けで窓辺にお菓子を置いていたら、次の日にはなくなっていて不思議な植物が根っこ付きで置いてあった。
ロナルドに見せたら超貴重な薬草らしくて狂喜乱舞していた。妖精達もきっとお返しを奮発してくれたに違いない。……ただの気まぐれかもしれないが。
それから、ジェスとロナルドは毎日少しずつ一般常識や基礎的な勉強、マナーなどを見てくれるようになった。
そうして過ごしていた、とある日ーー。
「レリア様、コリア様、本日は少しお出かけいたしましょうか?」
「おでかけ?……なんか胡散臭いんだけど」
「ジェス、いい笑顔だね……」
ロナルドはそっと視線をそらしている。何かあまりいい予感はしない。
「ああ、やめと「本日のお出かけが終わりましたら、魔法の使い方をお教えいたします」ーー行く!!」
レリアとコリアの声が揃ったのを見て、ロナルドは笑い出した。二人はきらきらした目でジェスを見つめている。
ロナルドも、昨日の診察でレリアの損傷した魔力回路が完治したと判断していたので異論はなかった。
「ロナルドも来るの?」
「ええまあ、レリア様とコリア様の護衛も兼ねてお供しますよ」
「そっか、よろしく」
「はい」
無邪気な笑顔を向けられて、ロナルドは眩しくて目を細めた。
もこもこの服に着られた二人は精巧な人形みたいで、ロナルドは「こりゃ守るのが大変だ」と気を引き締めた。
当の二人は久しぶりのお出かけでテンションが上がってはしゃいでいたが。
のそっとチェーロとテラも付いてきたが、その大きさでは今回は連れていけません、とジェスに言われてシュルシュルと小さく縮んで二人の肩に乗った。
神獣たちとは、ほんと謎生体をしている。まあ、付いてきてくれるなら、二人の安全が確保されたも同然なので一安心だったが。
レリアとコリアは小さくなった神獣たちと戯れていた。
「では、出発しますよ」
ジェスとレリアとコリアは古びた馬車に乗り込み、ロナルドは御者台に登った。
はいよ!!と掛け声をかけて、馬車は進みだした。
屋敷から一番近い町は、かつて辺境伯領で一番栄えていたと言われた町だった。
しかし、前辺境伯が死亡した時のスタンピードで町は一度飲み込まれ、復興はしたものの、領都が移ったからか元の賑わいには戻らなかった。
それどころか……
「「な、な、なにこれ!!!」」
その町にたどり着き、馬車から降りたレリアとコリアは叫び声をあげた。
街の大通りはまだ昼前だというのに人っ子一人見当たらない。
横道にちょっとそれると、蓑みたいなぼろぼろの着物を身にまとった青白い顔の餓死寸前の浮浪者が横たわっている。
街道は長い間整備されていないからか、砂埃が舞い、異様な匂いに満ちていた。
「行きましょう」
ジェスとロナルドに挟まれて、レリアとコリアはそろそろと街道を歩き出した。
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