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3 天からの贈り物
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女王様、女王様!!
妖精達が一斉に女性の元の向かってゆく。レリアの掌にいた妖精も、まだぐずりながらもふよふよと女王の元へと飛んで行った。
「あらあら、こんなに泣いてしまっては目が零れ落ちてしまうわ」
ぐずりながらも小さな体ですり寄る妖精に慈愛の目を向けて、女王様と呼ばれた女の人はぐずるその子をそっとあやした。
「だからいたずらのし過ぎは駄目よって言ったでしょ。……レリアさん、うちの子たちがうるさかったでしょ。ごめんなさいね」
明らかに人外のその存在に謝られてしまい、レリアは戸惑いながらも、大丈夫だ、と軽く会釈した。
「ふふふ、許してくれてありがとう。この子たちはいたずら好きだけど、根は気がいい子達だから、嫌わないでくれると助かるんだけど……」
レリアはそっと目をそらした。なんせ頭が割れるかと思うほどうるさかったのだ。そう簡単に仲良くなれるとは思えない。
しかし、美しい女性に「だめかしら?」とじっと見つめられ続けると、何だか自分が可哀そうな事をしている気がしてきて罪悪感が募ってきた。
暫くの沈黙の後、レリアは渋々「努力します」と頷いた。隣でその様子を見ていたコリアはついため息をついた。なんせレリアは年下のかわいい子と美しい人の頼みに弱いのだ。
ここは自分がしっかりしなければ、とコリアは真っすぐ女王と呼ばれたその人を見つめた。本当に惑わされそうな美しさをしている。
「ーー妖精女王様でいいんでしょうか?失礼ですが、僕たちをここに呼んだ理由をお聞かせ願えますか?」
「あら、コリアさんね。ええ、妖精女王と呼ばれているわ。……あら、いけない、すっかり忘れてたわ」
どうやら、妖精女王は少し天然なようだ。
「少し待っててね」と言い残して妖精女王は森の奥へと消えて行った。
その間、また妖精たちが四人を取り囲み、物珍しそうにくるくると周りをまわっている。件の泣いていた妖精は泣き止み、仲直りのしるしにかレリアに小さな花をプレゼントしていた。
レリアも満更でもない様子で受け取り、お返しに自身の服の袖の装飾ボタンちぎって渡していた。小さな妖精は嬉しそうにボタンを受け取り、くるりとレリアの頭の周りをまわってキラキラ光る粉を振りかけて森の方に去っていった。
その様子を見ていた水色の妖精がおずおずとコリアの裾を引いた。レリアによると、その子もボタンが欲しいと言っているみたいだった。コリアもレリアと同じように花を受け取って自分の装飾ボタンを渡すと、その子もはにかみながらコリアの周りをまわってから森に去っていった。
暫くして、妖精達が去ると、今まで一言もしゃべらなかったジェスとロナルドが口を開いた。
「レリア様、コリア様、館にもどりましたら、ご確認したいことがございます、よろしいですか?」
「レリア様、コリア様、俺も少々確認したいことがあるので、お付き合い願えますか?」
あまりにも真剣なので茶化すこともできず、二人はコクコクと頷いた。なおも言い募ろうとジェスたちが口を開いた時、「お待たせしました」とのほほんとした声が響いた。
そちらを見ると、妖精女王の両脇には見たこともないこれまた美しい獣が二頭寄り添っていた。
妖精達が一斉に女性の元の向かってゆく。レリアの掌にいた妖精も、まだぐずりながらもふよふよと女王の元へと飛んで行った。
「あらあら、こんなに泣いてしまっては目が零れ落ちてしまうわ」
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「だからいたずらのし過ぎは駄目よって言ったでしょ。……レリアさん、うちの子たちがうるさかったでしょ。ごめんなさいね」
明らかに人外のその存在に謝られてしまい、レリアは戸惑いながらも、大丈夫だ、と軽く会釈した。
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暫くの沈黙の後、レリアは渋々「努力します」と頷いた。隣でその様子を見ていたコリアはついため息をついた。なんせレリアは年下のかわいい子と美しい人の頼みに弱いのだ。
ここは自分がしっかりしなければ、とコリアは真っすぐ女王と呼ばれたその人を見つめた。本当に惑わされそうな美しさをしている。
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どうやら、妖精女王は少し天然なようだ。
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その間、また妖精たちが四人を取り囲み、物珍しそうにくるくると周りをまわっている。件の泣いていた妖精は泣き止み、仲直りのしるしにかレリアに小さな花をプレゼントしていた。
レリアも満更でもない様子で受け取り、お返しに自身の服の袖の装飾ボタンちぎって渡していた。小さな妖精は嬉しそうにボタンを受け取り、くるりとレリアの頭の周りをまわってキラキラ光る粉を振りかけて森の方に去っていった。
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暫くして、妖精達が去ると、今まで一言もしゃべらなかったジェスとロナルドが口を開いた。
「レリア様、コリア様、館にもどりましたら、ご確認したいことがございます、よろしいですか?」
「レリア様、コリア様、俺も少々確認したいことがあるので、お付き合い願えますか?」
あまりにも真剣なので茶化すこともできず、二人はコクコクと頷いた。なおも言い募ろうとジェスたちが口を開いた時、「お待たせしました」とのほほんとした声が響いた。
そちらを見ると、妖精女王の両脇には見たこともないこれまた美しい獣が二頭寄り添っていた。
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