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第六話 『夜の海』
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登場人物
カツイ(15・男)
トバ(15・男)
ゲッカ(13・男)
ハナ(13・女)
ソウマ(17・男)
ヒカル(18・男)
ミナリ(2・男)
ユエ(11・女)
医者L(男性)
父親(男性)ソウマの父親
男M(男性)ヒカル宅のボディーガード
〇ヒカル宅(屋外)
トバ「あっちゃ~始まっちゃった」
カツイ「謝るなら今の内だぜ! もうおせーけどな!」
SE(駆け出す)
カツイ(M)「手を取られっ……」
ソウマ「誰が謝ると言うんです?」
SE(トン、と首を手で叩く音)
ソウマ「遅い」
SE(カツイの腹に蹴りを入れる鈍い音)
カツイ「かはっ……」
SE(地面に倒れ込む)
ソウマ「二十二秒。三十秒もかかりませんでしたね」
SE(駆け寄る)
トバ「カツイくん!」
SE(拍手)
ヒカル「相変わらず強いねソウマくん。惚れちゃうな」
ソウマ「恐れ入ります」
SE(上着の汚れを叩く音)
トバ「カツイくん、カツイくん大丈夫?」
カツイ「けほっ……んのヤロ……」
カツイ「待てよっ!」
SE(走り出す)
SE(カツイの蹴りを腕で防ぐ)
ソウマ「会長、危ないので下がっていてください」
SE(上着を再び投げる)
ヒカル「あ、ああ……」
SE(後ずさる)
カツイ「よそ見してんじゃ……ねぇよっ!!」
ソウマ(M)「手がっ……」
トバ(M)「ソウマさんの目にっ!!」
ソウマ「っ!」
トバ「あっ!」
カツイ(M)「とった!!」
〇(回想)五年前
SE(波の音)
ソウマ「やめなさい! 彼はもうっ……」
医者L「残念ですが息子さんの目はもう……」
SE(泣いている女性の声)
父親「なんということだ……」
(回想終わり)
トバ「カツイくんだめだよっ!」
カツイ「っ、トバ!?」
ソウマ(M)「怯んで隙が出来た。今だ」
SE(平手でカツイを叩く パシンッ)
トバ「カツイくん!!」
SE(膝を付く ドサッ)
カツイ「ちく、しょ……」
トバ「カツイくん、ねえ、もう帰ろう……?」
カツイ「っ…まだまだ」
トバ「やめてカツイくん! ちゃんと周り見て! 『あの時』みたいに一人で突っ走らないで!」
ソウマ「!」
カツイ「な……に言ってんだよトバお前……『あの時』って?」
トバ「ねえ、帰ろう……」
トバ「(震え声)帰ろう、カツイくん帰ろう」
カツイ「トバ……」
SE(拍手)
ヒカル「お疲れ様。どう、僕の部屋でお茶でも飲んでゆっくりしない?」
ソウマ「いえ……仕事がまだ残っていますので」
SE(服を払う音)
ヒカル「ちぇっなあんだ残念」
〇地下牢
SE(ピチャン 水音)
ハナ「ねぇ……何が起こったの? ここからじゃ何も見えないよ」
ゲッカ「分かんない……カツイ先輩がソウマさんと戦ってたらしいのは分かったんだけど……」
SE(カツ……カツ……)
ゲッカ「また…誰か来たみたい」
ハナ「ソウマさん? そんなにふらついてどうしたんですか」
ソウマ「はあっ……」
SE(シュッと物を投げる)
ゲッカ「何か投げ……」
SE(チャリンと受け取る)
ゲッカ「おっとと……危なかった。これは……鍵?」
ソウマ「その牢の鍵です。早く開けて出なさい」
SE(鍵を開ける ガチャン)
ソウマ「着いてきてください」
SE(三人の足音)
ハナ「ソウマさん一体どこへ行くんですか……」
ソウマ「静かに。決してミナリくんは起こさないで下さいよ」
ゲッカ(M)「ミナリ……『くん』?」
男M「ガキ共が逃げたぞ!!」
ゲッカ「バレた!?」
ハナ「しっ」
ソウマ「急いで! こっちです」
SE(バタバタッ)
ミナリ「んっ。んー……」
ミナリ「ふ……ふえっ……」
ゲッカ「ミナリくんが起きちゃった!」
ハナ「きゃーミナリくん泣いちゃだめっ!!」
ミナリ「ふぎゃあああああ!!」
男M「こっちから赤ん坊の声が聞こえたぞ!!」
ハナ「泣き止んで、泣きやんでミナリくんお願いだからっ」
ソウマ「貸して下さい」
SE(ぽん、と背中を叩く)
ミナリ「ふぇっ……ふ、あ……」
大人しくなりすやすや眠りだすミナリ
ゲッカ「うそぉ……」
ハナ「泣きやんだあ」
〇路上
SE(足音パタパタパタ)
ソウマ「ここまでくればもう追ってこないでしょう」
ゲッカ「本当に……ありがとうございます」
ソウマ「この道を真っ直ぐ行けば貴方たちの家なので、見付からないように帰りなさい」
ハナ「ソウマさん、是非休んで行ってください。具合も悪そうですし……」
ソウマ「いえ、私は結構です。月を見ているだけで癒されますので」
ゲッカ「本当にありがとうございました」
〇アパート(夜)
SE(ガチャ)
トバ「ゲッカくん! ハナちゃん!」
カツイ「無事だったんだな!」
ハナ「せっ……先輩! だ、抱き締っ、めっ……」
カツイ「あ、ごめんな……心配したんだぜ」
トバ「……ゲッカくんのことも抱き締めようか?」
ゲッカ「いえ、お気遣いなく」
〇アパート前(夜)
SE(ライターに火を付ける音 カチャ)
SE(ライターで煙草に火を付ける音 ジッ……)
SE(煙草の煙をゆっくり吐き出す音)
ソウマ「どうして……今頃あんな事を思い出すんでしょうねぇ……」
SE(波の音)
〇アパート(翌朝)
トバ「ゲッカくん、ハナちゃん。ちょっといいかな?」
ハナ「どうしたんですか?」
トバ「カツイくん、二人とも連れてきたよー」
カツイ「おお。ゲッカ、ハナちゃん。紹介するぜ。ほら、出ておいで」
ユエ「あ……」
ゲッカ「女の子……」
ハナ「小学生くらい……かな?」
カツイ「彼女はユエちゃん。今日から俺たち『家出人』の仲間になるんだ」
カツイ(15・男)
トバ(15・男)
ゲッカ(13・男)
ハナ(13・女)
ソウマ(17・男)
ヒカル(18・男)
ミナリ(2・男)
ユエ(11・女)
医者L(男性)
父親(男性)ソウマの父親
男M(男性)ヒカル宅のボディーガード
〇ヒカル宅(屋外)
トバ「あっちゃ~始まっちゃった」
カツイ「謝るなら今の内だぜ! もうおせーけどな!」
SE(駆け出す)
カツイ(M)「手を取られっ……」
ソウマ「誰が謝ると言うんです?」
SE(トン、と首を手で叩く音)
ソウマ「遅い」
SE(カツイの腹に蹴りを入れる鈍い音)
カツイ「かはっ……」
SE(地面に倒れ込む)
ソウマ「二十二秒。三十秒もかかりませんでしたね」
SE(駆け寄る)
トバ「カツイくん!」
SE(拍手)
ヒカル「相変わらず強いねソウマくん。惚れちゃうな」
ソウマ「恐れ入ります」
SE(上着の汚れを叩く音)
トバ「カツイくん、カツイくん大丈夫?」
カツイ「けほっ……んのヤロ……」
カツイ「待てよっ!」
SE(走り出す)
SE(カツイの蹴りを腕で防ぐ)
ソウマ「会長、危ないので下がっていてください」
SE(上着を再び投げる)
ヒカル「あ、ああ……」
SE(後ずさる)
カツイ「よそ見してんじゃ……ねぇよっ!!」
ソウマ(M)「手がっ……」
トバ(M)「ソウマさんの目にっ!!」
ソウマ「っ!」
トバ「あっ!」
カツイ(M)「とった!!」
〇(回想)五年前
SE(波の音)
ソウマ「やめなさい! 彼はもうっ……」
医者L「残念ですが息子さんの目はもう……」
SE(泣いている女性の声)
父親「なんということだ……」
(回想終わり)
トバ「カツイくんだめだよっ!」
カツイ「っ、トバ!?」
ソウマ(M)「怯んで隙が出来た。今だ」
SE(平手でカツイを叩く パシンッ)
トバ「カツイくん!!」
SE(膝を付く ドサッ)
カツイ「ちく、しょ……」
トバ「カツイくん、ねえ、もう帰ろう……?」
カツイ「っ…まだまだ」
トバ「やめてカツイくん! ちゃんと周り見て! 『あの時』みたいに一人で突っ走らないで!」
ソウマ「!」
カツイ「な……に言ってんだよトバお前……『あの時』って?」
トバ「ねえ、帰ろう……」
トバ「(震え声)帰ろう、カツイくん帰ろう」
カツイ「トバ……」
SE(拍手)
ヒカル「お疲れ様。どう、僕の部屋でお茶でも飲んでゆっくりしない?」
ソウマ「いえ……仕事がまだ残っていますので」
SE(服を払う音)
ヒカル「ちぇっなあんだ残念」
〇地下牢
SE(ピチャン 水音)
ハナ「ねぇ……何が起こったの? ここからじゃ何も見えないよ」
ゲッカ「分かんない……カツイ先輩がソウマさんと戦ってたらしいのは分かったんだけど……」
SE(カツ……カツ……)
ゲッカ「また…誰か来たみたい」
ハナ「ソウマさん? そんなにふらついてどうしたんですか」
ソウマ「はあっ……」
SE(シュッと物を投げる)
ゲッカ「何か投げ……」
SE(チャリンと受け取る)
ゲッカ「おっとと……危なかった。これは……鍵?」
ソウマ「その牢の鍵です。早く開けて出なさい」
SE(鍵を開ける ガチャン)
ソウマ「着いてきてください」
SE(三人の足音)
ハナ「ソウマさん一体どこへ行くんですか……」
ソウマ「静かに。決してミナリくんは起こさないで下さいよ」
ゲッカ(M)「ミナリ……『くん』?」
男M「ガキ共が逃げたぞ!!」
ゲッカ「バレた!?」
ハナ「しっ」
ソウマ「急いで! こっちです」
SE(バタバタッ)
ミナリ「んっ。んー……」
ミナリ「ふ……ふえっ……」
ゲッカ「ミナリくんが起きちゃった!」
ハナ「きゃーミナリくん泣いちゃだめっ!!」
ミナリ「ふぎゃあああああ!!」
男M「こっちから赤ん坊の声が聞こえたぞ!!」
ハナ「泣き止んで、泣きやんでミナリくんお願いだからっ」
ソウマ「貸して下さい」
SE(ぽん、と背中を叩く)
ミナリ「ふぇっ……ふ、あ……」
大人しくなりすやすや眠りだすミナリ
ゲッカ「うそぉ……」
ハナ「泣きやんだあ」
〇路上
SE(足音パタパタパタ)
ソウマ「ここまでくればもう追ってこないでしょう」
ゲッカ「本当に……ありがとうございます」
ソウマ「この道を真っ直ぐ行けば貴方たちの家なので、見付からないように帰りなさい」
ハナ「ソウマさん、是非休んで行ってください。具合も悪そうですし……」
ソウマ「いえ、私は結構です。月を見ているだけで癒されますので」
ゲッカ「本当にありがとうございました」
〇アパート(夜)
SE(ガチャ)
トバ「ゲッカくん! ハナちゃん!」
カツイ「無事だったんだな!」
ハナ「せっ……先輩! だ、抱き締っ、めっ……」
カツイ「あ、ごめんな……心配したんだぜ」
トバ「……ゲッカくんのことも抱き締めようか?」
ゲッカ「いえ、お気遣いなく」
〇アパート前(夜)
SE(ライターに火を付ける音 カチャ)
SE(ライターで煙草に火を付ける音 ジッ……)
SE(煙草の煙をゆっくり吐き出す音)
ソウマ「どうして……今頃あんな事を思い出すんでしょうねぇ……」
SE(波の音)
〇アパート(翌朝)
トバ「ゲッカくん、ハナちゃん。ちょっといいかな?」
ハナ「どうしたんですか?」
トバ「カツイくん、二人とも連れてきたよー」
カツイ「おお。ゲッカ、ハナちゃん。紹介するぜ。ほら、出ておいで」
ユエ「あ……」
ゲッカ「女の子……」
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