彼氏彼女の大冒険

紅美

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歓迎〜ボーイミーツガール

いざ、太平洋の向こうヘ

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 「ひょうたんからコマ、って言うらしい、日本語では」

「ひょうたん? 何それ?」  
「昔ながらの水筒代わりにした植物の実らしい。豊臣秀吉軍の旗印にもなってたとかいう」
「戦いの場に持って行く、命の水の入れ物か。日本語は雅な表現に溢れてるんだな、どういう意味があるのか知ってる?」
「そうだね、ワイフも彼女も、そういう表現を教えてくれたから、暮らし易いのかも知れないな。
 意味は思いがけない展開になることらしい。君が来日して彼女と縁が出来たり、彼女と僕との出会いもそうだった」

「子供もいるんだろう、女の子? 俺も親戚の子のベイビーガールがいたときは可愛いくて仕方なかったな……」
「息子だよ。生まれたときから、ワイフと一緒にオムツ換えたり、ミルクやってるから、可愛いいよ。 
    僕の血だとみんな言うけど、平均的な日本人の子どもより、体が大きいらしいよ。今は丁度、ミルクをやめて普通の食事をする準備をする為の離乳食を食べ始めたところだよ」
「オートミールとか食べさせてる?」
「ワイフにオートミールを食べる習慣がないから、お米の粥だよ。あとはベビーフードとして売られてるポタージュとか野菜のすりつぶしたのらしい、トロッとしたものとか」
「そこに、食のこだわりは特にないの?  元ムスリムだから、ポークは避けてるとかいう……」
「僕にはね。日本の主婦の中では、離乳食を手作りするか、市販品を利用するか、意見が分かれるところらしいけど、僕はワイフの復職を願う面から、積極的に市販のものを活用して欲しいな。ポタージュの出汁がチキンじゃないとダメとか言わないから。
   日本の妻は家庭で働きすぎだと問題になったらしいよ。母乳神話があったり、離乳食を断固手作りする母親が威張ってたりで。彼女がいないと息子に何を食べさせていいかわからないのは困る。できるだけ、連れて歩きたいと考えているから、いつものベビーフードを食べさせてるスプーンを持ち歩いて世話すれば良いようになってるのが、助かるんだ」
「なら、連れて来たら良かったのに」
「飛行機に乗ることに不安があったのと、旅程が変動するのが予想できたからね。帰りがわからないと言っても、大人2人なら、なんとかなる、英語が話せる者ばかりだしね。そう考えて、来ることにしたんだ。帰りのチケットに縛られてない旅行も面白いと思ってね」
「羨ましい話だよ。旅行に行くことはないからね、出張で海外や国内の長距離の移動するくらいで。
   それで、#アメリカ__こっち_#のビジネスの事情もわからないのに、訪ねて来たんだ。恩人だから、放っておけないのを承知の上で。」
「そう言われると、返す言葉がない。」「仕方ないから、ロスの目的の相手には会えるように、こちらのスタッフに動いてもらうよ。同じ業界だし、きっとなんとかしてくれるだろ。」
「ありがとう、助かるよ」

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