1 / 12
俺TUEEE ざまあああWWWW
しおりを挟む
「やあ、底辺の諸君。僕は転生者の祐輔だよ。勇者だよ。気がついたらトラックに跳ねられて死んでいたんだ。そして気が付いたら、中世みたいな街並が広がっていて、魔法も使えるから驚いたよ!かなりでかいモンスターも本気出さずに倒せたから、俺TUEEEみたい!だから、この村の女の子とお金は全部俺のものね」
僕がちょうど遊びから帰ってきた時、知らない男が、村の入口に立っていた。
変な事を言っている。
それを、騎士団のお父さん達と、村長が相手をしている。
夕方の門限ぎりぎりの時間。僕はそっと、物陰に隠れてその様子を観察する事にした。
「すみません。祐輔さん。ここは、老人が多い村です。精一杯おもてなしさせていただきますので、どうぞこの村でくつろいでくださいな」
そう言って村長が、笑顔を作っている。
村長の優しい笑顔は、今日も村を暖かく包んでいる気がする。
「いや、NPCのあんたの意見は関係ないから」
「そうですか……残念です。私達の村はいつでも歓迎する準備ができているのですが……お気分を害されたようでしたら、今日は申し訳ないですがお引き取りしていただけませんか?郊外に高級宿がありますので、こんな村よりいいのではないかと……」
村長がそう言って、また微笑む。
その顔を見て転生者が、表情を濁らせたのが分かった。
「分かんないの?俺勇者だよ?」
そう言って、その転生者が村長の頭を指でピンとはじいた――村長の頭が後ろに飛び、首が不自然な方向に曲がった。
「おい、貴様!!!!」騎士達が、一斉に剣を抜き臨戦態勢を取る。
「おお、1%の力でも、すぐ死んじゃうんだ。ステータスは確認してたのにごめんね」
勇者が楽しそうに笑う。
「何を言っている?取り押さえろ」騎士達が勇者に剣を向け突っ込む。
「分からないの?一回死んでラノベでも読んで勉強したら?俺TUEEE系だからさああああ!!エンパイア・マジック」
そう転生者が詠唱した後、勇者と騎士の間に、巨大な魔法を生成され、それが村めがけて炸裂した。
耳をつんざくような巨大な爆音が、辺りを包む。
その瞬間、王立最強と呼ばれていた騎士団は全員あちこちへ吹き飛んだ。バラバラになって、肉片や、鎧が辺りに散らばる。そして炎が村のあちこちに広がる。
「ざまああああああwwwwwwwwwあwやっべ全員死んじゃった。たった5%の力なのに。ざっこWWWそれにドロップアイテム糞じゃん」
その転生者が声高らかに叫んでいる。そして辺りを十分に見回した後に、満足したように手を後ろで組み「テレポート」
そう言って、視界から消えた。
――何もかもが一瞬だった。
僕は、目の前で突然起きた状況を理解できずにいた。
村が燃えている。そして、叫び声がいろんな場所で聞こえる。
「お父さん!」
唯一理解できたのは、地面に大好きなお父さんが、倒れているという事だった。だが右手と、下半身がなかった。
父に駆け寄る。虫の息で、呼吸が荒い。
「お父さん!起きて!村が燃えている」
「……ロイス……ごめんな……お父さんは、この村を守る事ができなかった」
お父さんが、今にも目を瞑りそうになりながら必死に声を出す。
「お父さん!お母さんとジョッシュを助けないと」必死でお父さんにお願いする。
「……ロイス。強く生きてくれ」
お父さんは、そう言い残し、煙のような魂が空へ浮かび上がって行くのが分かった。
いろんな場所から魂が煙のように空へ舞い上がっていく。
この世界では、死んだ人間は空に吸い込まれていくと信じられていた。
――直感で、死んでしまったのだと思った。
――思考が全て麻痺して動かなくなった。
この時の僕は、お父さんの前で泣く事しかできなかった。
……暖かい。
気がついたら涙が枯れて、朝になっていた。
冷たいお父さんをその場に残して家に戻ると、黒い焼け跡に二つの黒い死体があった。
お母さんと、弟のジョッシュだった。
変わり果てた二人の姿を見ていると、心が死んでいくのが分かった。
「なんでも言う事を聞きます。だから全部戻してください」
僕は、必死で祈った。
尊敬していた憧れのお父さんは、騎士団に所属していた。そして、転生者に一撃で殺された。
いつも、はいはいと言ってわがままを聞いてくれていた、大好きなお母さんは、焼け焦げた死体になっていた。
喧嘩もするけど、仲良しだった弟は、お母さんに抱かれるように苦しそうな顔で死んでいた。
誰か……助けて……
いくら祈っても誰も戻ってきてくれなかった。
目の前でみんな死んだ。
日常が殺された。
勝手にこの世界に来た奴の手によって……
ここ、エルドアド王国は、5000年の歴史を持つ王国である。
魔王を滅ぼすために冒険者達が幾度となく転生してきた。
軍も強く、この世界は、決して平和とは言えないが、平和だった。
大きな争いも無く統治された国は、一人の転生者によって転換期を迎えようとしていた。
僕がちょうど遊びから帰ってきた時、知らない男が、村の入口に立っていた。
変な事を言っている。
それを、騎士団のお父さん達と、村長が相手をしている。
夕方の門限ぎりぎりの時間。僕はそっと、物陰に隠れてその様子を観察する事にした。
「すみません。祐輔さん。ここは、老人が多い村です。精一杯おもてなしさせていただきますので、どうぞこの村でくつろいでくださいな」
そう言って村長が、笑顔を作っている。
村長の優しい笑顔は、今日も村を暖かく包んでいる気がする。
「いや、NPCのあんたの意見は関係ないから」
「そうですか……残念です。私達の村はいつでも歓迎する準備ができているのですが……お気分を害されたようでしたら、今日は申し訳ないですがお引き取りしていただけませんか?郊外に高級宿がありますので、こんな村よりいいのではないかと……」
村長がそう言って、また微笑む。
その顔を見て転生者が、表情を濁らせたのが分かった。
「分かんないの?俺勇者だよ?」
そう言って、その転生者が村長の頭を指でピンとはじいた――村長の頭が後ろに飛び、首が不自然な方向に曲がった。
「おい、貴様!!!!」騎士達が、一斉に剣を抜き臨戦態勢を取る。
「おお、1%の力でも、すぐ死んじゃうんだ。ステータスは確認してたのにごめんね」
勇者が楽しそうに笑う。
「何を言っている?取り押さえろ」騎士達が勇者に剣を向け突っ込む。
「分からないの?一回死んでラノベでも読んで勉強したら?俺TUEEE系だからさああああ!!エンパイア・マジック」
そう転生者が詠唱した後、勇者と騎士の間に、巨大な魔法を生成され、それが村めがけて炸裂した。
耳をつんざくような巨大な爆音が、辺りを包む。
その瞬間、王立最強と呼ばれていた騎士団は全員あちこちへ吹き飛んだ。バラバラになって、肉片や、鎧が辺りに散らばる。そして炎が村のあちこちに広がる。
「ざまああああああwwwwwwwwwあwやっべ全員死んじゃった。たった5%の力なのに。ざっこWWWそれにドロップアイテム糞じゃん」
その転生者が声高らかに叫んでいる。そして辺りを十分に見回した後に、満足したように手を後ろで組み「テレポート」
そう言って、視界から消えた。
――何もかもが一瞬だった。
僕は、目の前で突然起きた状況を理解できずにいた。
村が燃えている。そして、叫び声がいろんな場所で聞こえる。
「お父さん!」
唯一理解できたのは、地面に大好きなお父さんが、倒れているという事だった。だが右手と、下半身がなかった。
父に駆け寄る。虫の息で、呼吸が荒い。
「お父さん!起きて!村が燃えている」
「……ロイス……ごめんな……お父さんは、この村を守る事ができなかった」
お父さんが、今にも目を瞑りそうになりながら必死に声を出す。
「お父さん!お母さんとジョッシュを助けないと」必死でお父さんにお願いする。
「……ロイス。強く生きてくれ」
お父さんは、そう言い残し、煙のような魂が空へ浮かび上がって行くのが分かった。
いろんな場所から魂が煙のように空へ舞い上がっていく。
この世界では、死んだ人間は空に吸い込まれていくと信じられていた。
――直感で、死んでしまったのだと思った。
――思考が全て麻痺して動かなくなった。
この時の僕は、お父さんの前で泣く事しかできなかった。
……暖かい。
気がついたら涙が枯れて、朝になっていた。
冷たいお父さんをその場に残して家に戻ると、黒い焼け跡に二つの黒い死体があった。
お母さんと、弟のジョッシュだった。
変わり果てた二人の姿を見ていると、心が死んでいくのが分かった。
「なんでも言う事を聞きます。だから全部戻してください」
僕は、必死で祈った。
尊敬していた憧れのお父さんは、騎士団に所属していた。そして、転生者に一撃で殺された。
いつも、はいはいと言ってわがままを聞いてくれていた、大好きなお母さんは、焼け焦げた死体になっていた。
喧嘩もするけど、仲良しだった弟は、お母さんに抱かれるように苦しそうな顔で死んでいた。
誰か……助けて……
いくら祈っても誰も戻ってきてくれなかった。
目の前でみんな死んだ。
日常が殺された。
勝手にこの世界に来た奴の手によって……
ここ、エルドアド王国は、5000年の歴史を持つ王国である。
魔王を滅ぼすために冒険者達が幾度となく転生してきた。
軍も強く、この世界は、決して平和とは言えないが、平和だった。
大きな争いも無く統治された国は、一人の転生者によって転換期を迎えようとしていた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。
そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。
だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。
そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。
ユーリカの栞
ナナシマイ
ファンタジー
――さて、どちらがより素晴らしい祝祭を紡げるのでしょう。
純情な森の魔女がひとりと、残忍な夜の魔術師がひとり。
ともに過ごす祝祭へ向けて準備をしよう。
◇
『ユーリカの栞』本編とその番外編による、森の魔女と夜の魔術師の物語集。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる