異世界転生者はぶっ殺せ

UZI SMG

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俺TUEEE ざまあああWWWW

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「やあ、底辺の諸君。僕は転生者の祐輔ユースケだよ。勇者だよ。気がついたらトラックに跳ねられて死んでいたんだ。そして気が付いたら、中世みたいな街並が広がっていて、魔法も使えるから驚いたよ!かなりでかいモンスターも本気出さずに倒せたから、俺TUEEEみたい!だから、この村の女の子とお金は全部俺のものね」


 僕がちょうど遊びから帰ってきた時、知らない男が、村の入口に立っていた。
 変な事を言っている。
 それを、騎士団のお父さん達と、村長が相手をしている。
 夕方の門限ぎりぎりの時間。僕はそっと、物陰に隠れてその様子を観察する事にした。

「すみません。祐輔さん。ここは、老人が多い村です。精一杯おもてなしさせていただきますので、どうぞこの村でくつろいでくださいな」
 そう言って村長が、笑顔を作っている。
 村長の優しい笑顔は、今日も村を暖かく包んでいる気がする。

「いや、NPCのあんたの意見は関係ないから」
「そうですか……残念です。私達の村はいつでも歓迎する準備ができているのですが……お気分を害されたようでしたら、今日は申し訳ないですがお引き取りしていただけませんか?郊外に高級宿がありますので、こんな村よりいいのではないかと……」

 村長がそう言って、また微笑む。
その顔を見て転生者が、表情をにごらせたのが分かった。

「分かんないの?俺勇者だよ?」

 そう言って、その転生者が村長の頭を指でピンとはじいた――村長の頭が後ろに飛び、首が不自然な方向に曲がった。


「おい、貴様!!!!」騎士達が、一斉に剣を抜き臨戦態勢を取る。
「おお、1%の力でも、すぐ死んじゃうんだ。ステータスは確認してたのにごめんね」

 勇者が楽しそうに笑う。

「何を言っている?取り押さえろ」騎士達が勇者に剣を向け突っ込む。
「分からないの?一回死んでラノベでも読んで勉強したら?俺TUEEE系だからさああああ!!エンパイア・マジック」

 そう転生者が詠唱した後、勇者と騎士の間に、巨大な魔法を生成され、それが村めがけて炸裂した。
 耳をつんざくような巨大な爆音が、辺りを包む。
 その瞬間、王立最強と呼ばれていた騎士団は全員あちこちへ吹き飛んだ。バラバラになって、肉片や、鎧が辺りに散らばる。そして炎が村のあちこちに広がる。

「ざまああああああwwwwwwwwwあwやっべ全員死んじゃった。たった5%の力なのに。ざっこWWWそれにドロップアイテム糞じゃん」

 その転生者が声高らかに叫んでいる。そして辺りを十分に見回した後に、満足したように手を後ろで組み「テレポート」
 そう言って、視界から消えた。


――何もかもが一瞬だった。


 僕は、目の前で突然起きた状況を理解できずにいた。
 村が燃えている。そして、叫び声がいろんな場所で聞こえる。
「お父さん!」

 唯一理解できたのは、地面に大好きなお父さんが、倒れているという事だった。だが右手と、下半身がなかった。
 父に駆け寄る。虫の息で、呼吸が荒い。

「お父さん!起きて!村が燃えている」
「……ロイス……ごめんな……お父さんは、この村を守る事ができなかった」
 お父さんが、今にも目を瞑りそうになりながら必死に声を出す。

「お父さん!お母さんとジョッシュを助けないと」必死でお父さんにお願いする。

「……ロイス。強く生きてくれ」

 お父さんは、そう言い残し、煙のような魂が空へ浮かび上がって行くのが分かった。
いろんな場所から魂が煙のように空へ舞い上がっていく。

 この世界では、死んだ人間は空に吸い込まれていくと信じられていた。

――直感で、死んでしまったのだと思った。
――思考が全て麻痺して動かなくなった。

 この時の僕は、お父さんの前で泣く事しかできなかった。


……暖かい。

 気がついたら涙が枯れて、朝になっていた。
 冷たいお父さんをその場に残して家に戻ると、黒い焼け跡に二つの黒い死体があった。
 お母さんと、弟のジョッシュだった。
 変わり果てた二人の姿を見ていると、心が死んでいくのが分かった。

「なんでも言う事を聞きます。だから全部戻してください」

 僕は、必死で祈った。
 尊敬していた憧れのお父さんは、騎士団に所属していた。そして、転生者に一撃で殺された。
 いつも、はいはいと言ってわがままを聞いてくれていた、大好きなお母さんは、焼け焦げた死体になっていた。
 喧嘩もするけど、仲良しだった弟は、お母さんに抱かれるように苦しそうな顔で死んでいた。


 誰か……助けて……


 いくら祈っても誰も戻ってきてくれなかった。


 目の前でみんな死んだ。
 日常が殺された。
 勝手にこの世界に来た奴の手によって……




 ここ、エルドアド王国は、5000年の歴史を持つ王国である。
 魔王を滅ぼすために冒険者達が幾度となく転生してきた。
 軍も強く、この世界は、決して平和とは言えないが、平和だった。
 大きな争いも無く統治された国は、一人の転生者によって転換期を迎えようとしていた。

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