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一話
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終業のチャイムが鳴ると私は隣のクラスの双子の姉の元へ向かう。
私は白鳥晴花。今年の春から高校生になったばかりだ。
「雨音!帰ろう!」
「あ、春花ちゃん」
私が呼ぶと双子の姉、白鳥雨音は嬉しそうに振り返る。
それを雨音のクラスの男子が頬を赤らめながら見惚れている。人気者だ。
雨音と私は似ているはずなのに何故か雨音だけがモテる。私はどうしたのだ。私も同じ顔をしているのにと昔男子に問いかけたが鼻で笑われた。
「お前と雨音ちゃんは雰囲気が違うんだよ。雨音ちゃんには女の子らしさもあって…」
雰囲気の問題らしい。だが私にだって女の子らしさもあると思うんだけど…。
試しに私も雨音のように振舞ってみたがキモいと言われた。何故?
「晴花!雨音!帰るぞ」
過去に思いはせてると私たちを呼ぶ声が聞こえてきた。
「晴花、何間抜け面してるんだよ」
がははと笑うのは私たち双子の幼馴染の明日見歩夢だ。家が隣同士で昔から仲が良い。親同士も仲が良いため家族ぐるみでの付き合いだ。
「明日見、雨音ちゃんを独り占めするなよ」
「私はいいの?」
近くにいた男子が歩夢に向かって言うので私はどうなんだと問う。
「…いや、晴花はね。別に羨ましくないって言うか」
「なんでよー!!」
失礼な言葉に私はポカポカと軽く叩きながら抗議する。
「ふふっ。は、晴花ちゃんは元気ね…で、でももっとお淑やかにした方がいいかも」
「はい」
雨音に叱られ少ししょんぼりする。
だって仕方ないじゃないか。私が魅力のかけらもないみたいな言い方をされれば怒るのも当然だと思うの。
そんな私をみて男子は雨音ちゃん可愛いと褒める。
「でも、晴花の元気なところはいいところでもあるぞ」
「歩夢、ありがとう!」
歩夢が私を慰めてくれたのでさっきまでの怒りと悲しみが消えた。
私は歩夢が大好きだ。そして生まれた時からずっと一緒にいる雨音も大好きだ。ずっと雨音と歩夢と三人で一緒にいられたらと思う。
「晴花ちゃん、歩夢くんそろそろ帰ろう?」
雨音が帰ろうと言うので私たちはみんなにまたねと挨拶をして帰ることにする。
私たちが通う学校は徒歩圏内にあるので三人で並んで帰る。
そこに同じ高校の生徒が横切る。
「ゲーセン寄ってこー!」
「いいね!」
それをみて私は、いいな…私もそういうところ行ってみたい…。
そう思った。
雨音が騒がしい場所や人の多いところが苦手なのでそういう場所には行ったことがない。
私たちはいつも一緒に行動しているので行く機会がないのだ。
でも行きたいと言っても雨音が怖がるだろうから諦めている。
いいんだ、三人で一緒にいるのが一番楽しいんだ。
私はそう言い聞かせて二人の会話に入る。
「聞いて!今日の小テストがあったんだけど…なんと!」
「何?」
「満点、だったの?」
「1点でした!」
「ダメじゃねーか」
カバンから小テストを取り出し二人に見せると雨音は苦笑いし歩夢は爆笑した。
「お前解答欄ずれてる!」
「こ、答えは合ってるのに…」
そう、2問目が分からず後回しにしたらそのまま詰めて書いてしまったのだ。最後に解答欄があまっておかしい!と思った時には時すでに遅し。見事1点を取り宿題が増えた。
「お前はミスが多いよなー」
「晴花ちゃん、落ち着いてやらなきゃ…」
二人に注意されて拗ねたように唇を尖らせてブーブーとそっぽを向いたその時、小石を踏んで躓いた。転ぶ!と思ったが私が地面に激突することはなかった。
「もう、お前はどんくさいな!」
「歩夢、ありがとう」
歩夢がどうやら私を支えてくれたようだ。そのおかげで私は怪我をすることはなかった。
有難い。
「気をつけろよな」
そう言って私にニコッと笑いかけた。その笑顔に心が温かくなるような気がした。
私は白鳥晴花。今年の春から高校生になったばかりだ。
「雨音!帰ろう!」
「あ、春花ちゃん」
私が呼ぶと双子の姉、白鳥雨音は嬉しそうに振り返る。
それを雨音のクラスの男子が頬を赤らめながら見惚れている。人気者だ。
雨音と私は似ているはずなのに何故か雨音だけがモテる。私はどうしたのだ。私も同じ顔をしているのにと昔男子に問いかけたが鼻で笑われた。
「お前と雨音ちゃんは雰囲気が違うんだよ。雨音ちゃんには女の子らしさもあって…」
雰囲気の問題らしい。だが私にだって女の子らしさもあると思うんだけど…。
試しに私も雨音のように振舞ってみたがキモいと言われた。何故?
「晴花!雨音!帰るぞ」
過去に思いはせてると私たちを呼ぶ声が聞こえてきた。
「晴花、何間抜け面してるんだよ」
がははと笑うのは私たち双子の幼馴染の明日見歩夢だ。家が隣同士で昔から仲が良い。親同士も仲が良いため家族ぐるみでの付き合いだ。
「明日見、雨音ちゃんを独り占めするなよ」
「私はいいの?」
近くにいた男子が歩夢に向かって言うので私はどうなんだと問う。
「…いや、晴花はね。別に羨ましくないって言うか」
「なんでよー!!」
失礼な言葉に私はポカポカと軽く叩きながら抗議する。
「ふふっ。は、晴花ちゃんは元気ね…で、でももっとお淑やかにした方がいいかも」
「はい」
雨音に叱られ少ししょんぼりする。
だって仕方ないじゃないか。私が魅力のかけらもないみたいな言い方をされれば怒るのも当然だと思うの。
そんな私をみて男子は雨音ちゃん可愛いと褒める。
「でも、晴花の元気なところはいいところでもあるぞ」
「歩夢、ありがとう!」
歩夢が私を慰めてくれたのでさっきまでの怒りと悲しみが消えた。
私は歩夢が大好きだ。そして生まれた時からずっと一緒にいる雨音も大好きだ。ずっと雨音と歩夢と三人で一緒にいられたらと思う。
「晴花ちゃん、歩夢くんそろそろ帰ろう?」
雨音が帰ろうと言うので私たちはみんなにまたねと挨拶をして帰ることにする。
私たちが通う学校は徒歩圏内にあるので三人で並んで帰る。
そこに同じ高校の生徒が横切る。
「ゲーセン寄ってこー!」
「いいね!」
それをみて私は、いいな…私もそういうところ行ってみたい…。
そう思った。
雨音が騒がしい場所や人の多いところが苦手なのでそういう場所には行ったことがない。
私たちはいつも一緒に行動しているので行く機会がないのだ。
でも行きたいと言っても雨音が怖がるだろうから諦めている。
いいんだ、三人で一緒にいるのが一番楽しいんだ。
私はそう言い聞かせて二人の会話に入る。
「聞いて!今日の小テストがあったんだけど…なんと!」
「何?」
「満点、だったの?」
「1点でした!」
「ダメじゃねーか」
カバンから小テストを取り出し二人に見せると雨音は苦笑いし歩夢は爆笑した。
「お前解答欄ずれてる!」
「こ、答えは合ってるのに…」
そう、2問目が分からず後回しにしたらそのまま詰めて書いてしまったのだ。最後に解答欄があまっておかしい!と思った時には時すでに遅し。見事1点を取り宿題が増えた。
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「晴花ちゃん、落ち着いてやらなきゃ…」
二人に注意されて拗ねたように唇を尖らせてブーブーとそっぽを向いたその時、小石を踏んで躓いた。転ぶ!と思ったが私が地面に激突することはなかった。
「もう、お前はどんくさいな!」
「歩夢、ありがとう」
歩夢がどうやら私を支えてくれたようだ。そのおかげで私は怪我をすることはなかった。
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