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第2章 波乱
第22話 貧血
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「つまり、夜私のスマホに届いた琢磨君からのLINEもあなたの仕業ってことなのね?!」
「もう言い訳はしないわ......結衣の言う通りよ。多分琢磨君は、結衣のスマホから送った『お別れ』メールだけだったら100パーセントは信じなかったと思う。でも結衣の親友の私からも二重に罠を掛けとけば、きっと琢磨君は信じてくれると思ったの」
「そうだ......確か、結衣から別れようってメールが届いた直後に美也子から電話が掛かって来たんだ。結衣には男が居る......だから今日そのことについて、話しておきたいことが有るから家に行っていいか? って......そんな内容だったと記憶してるぞ。
結衣からメールが届いた直後に、結衣の親友からそんな電話が来れば誰だって信じるだろう! おい、おい、おい......それ全部ウソだったってことなのか?! お前、それでも人間か?!」
「ええ、全部ウソよ。琢磨君のネクタイがセンス無いとか言ってることも全部真っ赤なウソ! この家で隙見て結衣に『お別れ』LINEを送ったのも私だわ。
二人に忠告しとくけど、スマホのパスワードを互いの誕生日に設定するの止めた方がいいと思うよ。直ぐに分かっちゃうから。でもこれって......私だけが悪いのかしら? 隙だらけのあなた達にだって、責任が有るんじゃ無いの?」
完璧な開き直りを見せる美也子だった。確かに少し耳が痛い部分も有るけど、これだけの混乱を招いてる訳なんだから、多少は自重して欲しい気がする。
「正直、さっきは何で『Paul Smith』見て、琢磨君氏があんなに怒ってたのか全然分からなかったんだ。ネクタイのセンスが無いって文句を言ってた元恋人から、ネクタイが届きようものなら、誰でも当て付けだって思うわな。なるほど、そう言う訳だったのか」
喜太郎さんは一つ謎が解けて、なんだか満足してるみたいだけど......誰が悪くて、誰が良くて、誰が得して、誰が損して......更に言っちゃうと、悲しいのか、嬉しいのか? 私はそれすらも分からなくなっていた。
振られたと思ってたのは誤解で、実はそうじゃ無かったから、これで一件落着! って、そう簡単に三本締めを行う気にはなれない。今日一日を振り返って見れば、とにかく始終ズタズタに心を切り刻まれ続けてたと思う。
雪降る並木道で1時間も不安な気持ちで待ち続けたのも辛かったし、琢磨君から届いたお別れLINEも破壊力抜群だった。『LA・BAR・SOUL』で喜太郎さんと繰り広げたトークバトルも何気にボディブローを喰らってたし、ミネラルウォーター4杯も意外とキツかった。ここへやって来た後も、正にショックの連続。今も少し貧血が襲って来てフラフラしてるくらいだ。
この全てが、誤解だった?! そうなの? きっと......そうなんだろう。ダメダメ、まだ全然頭が付いてってないわ......
「警察呼びたきゃ呼べばいいでしょう! あたしは逃げも隠れもしないわ!」 By ヤケクソの美也子
あれ、ちょっと不味い......目がクルクル回り始めてるわ。
「マドモアゼル、良かった。苦労した甲斐が有ったな」 By 安堵の喜太郎
な、なんか、宙を舞ってる......あれ? 床が見えて、天井が見えて、壁が見えて......
「結衣、俺は今、地獄から天国へ戻って来た気がしてる。俺達の未来はこれからだ。また二人でやり直そうぜ!」 By 起死回生の琢磨君
「あっ?!」
バタンッ! 気付けば私は、床に倒れ落ちていた。下がり始めてた血圧が遂に限界を超えてしまったのだろう。
「たっ、大変だ! 結衣が倒れたぞ!」
その声は琢磨君......なんか耳の中に水が入ったような聞こえ方だ。
「取り敢えずは、寝かせた方が良さそうだな。琢磨氏、ここからは、君の仕事だぞ」
その声は喜太郎さん......もうミネラルウォーターはいらないよ。
「そうだな......分かった。おい美也子、何突っ立ってんだ! 結衣をソファーに寝かせるから手伝ってくれ」
もう誰の声だかも分からない......
「あ。わ、わ、分かった!」
「もう言い訳はしないわ......結衣の言う通りよ。多分琢磨君は、結衣のスマホから送った『お別れ』メールだけだったら100パーセントは信じなかったと思う。でも結衣の親友の私からも二重に罠を掛けとけば、きっと琢磨君は信じてくれると思ったの」
「そうだ......確か、結衣から別れようってメールが届いた直後に美也子から電話が掛かって来たんだ。結衣には男が居る......だから今日そのことについて、話しておきたいことが有るから家に行っていいか? って......そんな内容だったと記憶してるぞ。
結衣からメールが届いた直後に、結衣の親友からそんな電話が来れば誰だって信じるだろう! おい、おい、おい......それ全部ウソだったってことなのか?! お前、それでも人間か?!」
「ええ、全部ウソよ。琢磨君のネクタイがセンス無いとか言ってることも全部真っ赤なウソ! この家で隙見て結衣に『お別れ』LINEを送ったのも私だわ。
二人に忠告しとくけど、スマホのパスワードを互いの誕生日に設定するの止めた方がいいと思うよ。直ぐに分かっちゃうから。でもこれって......私だけが悪いのかしら? 隙だらけのあなた達にだって、責任が有るんじゃ無いの?」
完璧な開き直りを見せる美也子だった。確かに少し耳が痛い部分も有るけど、これだけの混乱を招いてる訳なんだから、多少は自重して欲しい気がする。
「正直、さっきは何で『Paul Smith』見て、琢磨君氏があんなに怒ってたのか全然分からなかったんだ。ネクタイのセンスが無いって文句を言ってた元恋人から、ネクタイが届きようものなら、誰でも当て付けだって思うわな。なるほど、そう言う訳だったのか」
喜太郎さんは一つ謎が解けて、なんだか満足してるみたいだけど......誰が悪くて、誰が良くて、誰が得して、誰が損して......更に言っちゃうと、悲しいのか、嬉しいのか? 私はそれすらも分からなくなっていた。
振られたと思ってたのは誤解で、実はそうじゃ無かったから、これで一件落着! って、そう簡単に三本締めを行う気にはなれない。今日一日を振り返って見れば、とにかく始終ズタズタに心を切り刻まれ続けてたと思う。
雪降る並木道で1時間も不安な気持ちで待ち続けたのも辛かったし、琢磨君から届いたお別れLINEも破壊力抜群だった。『LA・BAR・SOUL』で喜太郎さんと繰り広げたトークバトルも何気にボディブローを喰らってたし、ミネラルウォーター4杯も意外とキツかった。ここへやって来た後も、正にショックの連続。今も少し貧血が襲って来てフラフラしてるくらいだ。
この全てが、誤解だった?! そうなの? きっと......そうなんだろう。ダメダメ、まだ全然頭が付いてってないわ......
「警察呼びたきゃ呼べばいいでしょう! あたしは逃げも隠れもしないわ!」 By ヤケクソの美也子
あれ、ちょっと不味い......目がクルクル回り始めてるわ。
「マドモアゼル、良かった。苦労した甲斐が有ったな」 By 安堵の喜太郎
な、なんか、宙を舞ってる......あれ? 床が見えて、天井が見えて、壁が見えて......
「結衣、俺は今、地獄から天国へ戻って来た気がしてる。俺達の未来はこれからだ。また二人でやり直そうぜ!」 By 起死回生の琢磨君
「あっ?!」
バタンッ! 気付けば私は、床に倒れ落ちていた。下がり始めてた血圧が遂に限界を超えてしまったのだろう。
「たっ、大変だ! 結衣が倒れたぞ!」
その声は琢磨君......なんか耳の中に水が入ったような聞こえ方だ。
「取り敢えずは、寝かせた方が良さそうだな。琢磨氏、ここからは、君の仕事だぞ」
その声は喜太郎さん......もうミネラルウォーターはいらないよ。
「そうだな......分かった。おい美也子、何突っ立ってんだ! 結衣をソファーに寝かせるから手伝ってくれ」
もう誰の声だかも分からない......
「あ。わ、わ、分かった!」
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