医食武同源 ~お江戸健康生活探求物語~

篁千夏

文字の大きさ
上 下
4 / 8

【コラム】朝の健康

しおりを挟む
本作は、医食同源という言葉に、武を加え、食と健康について考える作品ですが。
今回の健康法、矍鑠とした老人の代名詞だった、林家彦六師匠が実践された方法。
彦六師匠は水道水を一升瓶に前日から入れ、朝に2時間かけ飲み干していたとか。

一升=1.8リットルは驚きですが、一日2リットルの水分摂取が推奨されています。
しかし、身体が一度に吸収できる水分は、200~250ミリリットルとのことです。
これ以上を一気に飲むと、尿として体外に排出されやすくなってしまうのですね。
500ミリリットル入りのペットボトルの、ちょうど半分ぐらいが適量となります。

2リットルなら、200~250ミリリットルを8回から10回飲むと、ちょうどです。
一日16時間起きているなら、1時間半から2時間に一回の水分補充が必要ですね。
江戸時代の一刻は、不定時法で季節によって変化しますが、ほぼ2時間ですから。
昔は時刻を知らせるお寺の鐘が、休憩や喫茶の良い目安になっていたのでしょう。

人間の身体は、ほとんどが水と言われますが。胎児で体重の約90%が水分です。
新生児で約75%、小学生で約70%、成人で約60~65%、老人では50~55%に。
そう、加齢とともに水分が減っていきます。老人の皮膚に、皺ができる理由です。
どうも、年寄りほど日頃から多め・小まめに水分補給する必要が、ありそうです。

ただ、歳を取ると頻尿になるので、それを嫌がって水分を控える人も多いですね。
ですが、体内水分が少なくなると血液がドロドロになり、固まりやすくなります。
そうなると、就寝中の心筋梗塞や脳梗塞のリスクも、グッと高まってしまいます。
その危険性を思えば、むしろ就寝する前に水分を摂取する習慣を、つけたいです。

茶やコーヒーはカフェインを含み、利尿作用があります。むしろ排尿を促します。
これはお酒のアルコールも同じで、ビールで水分補給はかえって水分を失うとか。
常温の水か白湯さゆを推奨ですが、中国人留学生は夏でも温かい茶を飲んでいました。
漢方で身体を冷やすのは良くないという、考えが傷寒論の昔からあるようですね。

夏に冷たい飲料は、確かに美味しいのですが…そのぶん内臓への負担も増えます。
冷たい水が入ったペットボトルで、首筋や耳、脇などを冷やすのも有効でしょう。
で、ヌルくなったところで飲む。むしろこちらの方が、有効な使い方に思います。
そう考えると、夜にご飯を炊き朝は粥か茶漬けの関西方式は、理に適っています。

朝は早めに起きて、水を200~250ミリリットル飲み、軽く町内を散歩する習慣。
余裕を持っての早寝早起きという昔ながらの健康法が、健康にも良いということ。
睡眠時間も、一日八時間は確保したいです。日本人はすぐ、睡眠時間を削りがち。
でも睡眠こそ、健康への基本中の基本。トータル8時間睡眠は、確保したいです。

ちなみに前述した長寿落語家の林家彦六師匠は、よく昼寝もされておられたとか。
スペインでは13時から16時の間、シエスタと呼ばれるお昼寝タイムがあります。
すいと呼んだりもします。日本では難しいですが、なかなか良い習慣に思えます。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

蘭癖高家

八島唯
歴史・時代
 一八世紀末、日本では浅間山が大噴火をおこし天明の大飢饉が発生する。当時の権力者田沼意次は一〇代将軍家治の急死とともに失脚し、その後松平定信が老中首座に就任する。  遠く離れたフランスでは革命の意気が揚がる。ロシアは積極的に蝦夷地への進出を進めており、遠くない未来ヨーロッパの船が日本にやってくることが予想された。  時ここに至り、老中松平定信は消極的であるとはいえ、外国への備えを画策する。  大権現家康公の秘中の秘、後に『蘭癖高家』と呼ばれる旗本を登用することを―― ※挿絵はAI作成です。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

旧式戦艦はつせ

古井論理
歴史・時代
真珠湾攻撃を行う前に機動艦隊が発見されてしまい、結果的に太平洋戦争を回避した日本であったが軍備は軍縮条約によって制限され、日本国に国名を変更し民主政治を取り入れたあとも締め付けが厳しい日々が続いている世界。東南アジアの元列強植民地が独立した大国・マカスネシア連邦と同盟を結んだ日本だが、果たして復権の日は来るのであろうか。ロマンと知略のIF戦記。

不屈の葵

ヌマサン
歴史・時代
戦国乱世、不屈の魂が未来を掴む! これは三河の弱小国主から天下人へ、不屈の精神で戦国を駆け抜けた男の壮大な物語。 幾多の戦乱を生き抜き、不屈の精神で三河の弱小国衆から天下統一を成し遂げた男、徳川家康。 本作は家康の幼少期から晩年までを壮大なスケールで描き、戦国時代の激動と一人の男の成長物語を鮮やかに描く。 家康の苦悩、決断、そして成功と失敗。様々な人間ドラマを通して、人生とは何かを問いかける。 今川義元、織田信長、羽柴秀吉、武田信玄――家康の波乱万丈な人生を彩る個性豊かな名将たちも続々と登場。 家康との関わりを通して、彼らの生き様も鮮やかに描かれる。 笑いあり、涙ありの壮大なスケールで描く、単なる英雄譚ではなく、一人の人間として苦悩し、成長していく家康の姿を描いた壮大な歴史小説。 戦国時代の風雲児たちの活躍、人間ドラマ、そして家康の不屈の精神が、読者を戦国時代に誘う。 愛、友情、そして裏切り…戦国時代に渦巻く人間ドラマにも要注目! 歴史ファン必読の感動と興奮が止まらない歴史小説『不屈の葵』 ぜひ、手に取って、戦国時代の熱き息吹を感じてください!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

狩野岑信 元禄二刀流絵巻

仁獅寺永雪
歴史・時代
 狩野岑信は、江戸中期の幕府御用絵師である。竹川町狩野家の次男に生まれながら、特に分家を許された上、父や兄を差し置いて江戸画壇の頂点となる狩野派総上席の地位を与えられた。さらに、狩野派最初の奥絵師ともなった。  特筆すべき代表作もないことから、従来、時の将軍に気に入られて出世しただけの男と見られてきた。  しかし、彼は、主君が将軍になったその年に死んでいるのである。これはどういうことなのか。  彼の特異な点は、「松本友盛」という主君から賜った別名(むしろ本名)があったことだ。この名前で、土圭之間詰め番士という武官職をも務めていた。  舞台は、赤穂事件のあった元禄時代、生類憐れみの令に支配された江戸の町。主人公は、様々な歴史上の事件や人物とも関りながら成長して行く。  これは、絵師と武士、二つの名前と二つの役職を持ち、張り巡らされた陰謀から主君を守り、遂に六代将軍に押し上げた謎の男・狩野岑信の一生を読み解く物語である。  投稿二作目、最後までお楽しみいただければ幸いです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

旅路ー元特攻隊員の願いと希望ー

ぽんた
歴史・時代
舞台は1940年代の日本。 軍人になる為に、学校に入学した 主人公の田中昴。 厳しい訓練、激しい戦闘、苦しい戦時中の暮らしの中で、色んな人々と出会い、別れ、彼は成長します。 そんな彼の人生を、年表を辿るように物語りにしました。 ※この作品は、残酷な描写があります。 ※直接的な表現は避けていますが、性的な表現があります。 ※「小説家になろう」「ノベルデイズ」でも連載しています。

処理中です...