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第参話/三方一両損・転章
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一
「お楽さん、仙ちゃんは?」
駆け込んできた新八とお葉は、戸を開けるなり大声で叫んだ。
ここはお楽と仙太の住む丸源長屋。
突然の客に、伏せっていたお楽が無理に身体を起こし、咳き込みながら答えた。
「あの子は、何か用があるって出かけましたけれども……」
「チッ、一足遅かったかぁ~」
「仙太が何か? もしや何か変事でも?」
新八の慌てぶりに、何やら不穏なものを感じたお楽は、焦った表情。
「仙太はあるお武家を強請ってるんですよ、お楽さん」
「えっ! まさか仙太が…」
「強請りの根多について、何か心当たりがありやせんか?」
心当たりと言えば、ひとつしかない。
「実は………あの子の父親は徳島藩の殿様、鉢須賀主水様なんです」
今度は新八とお葉が声を揃えて「ええっ!」と驚く番であった。
「あたしの里方は本屋でして、殿様が手すさびに描かれた浮世絵を、売りに出した縁で…」
「仙太ができたと?」
「殿様は御台所にすると、そうおっしゃってくださったんですが…」
「側室ならまだしも、町人の娘が正室になるのを周囲が許さなかったと?」
途切れ途切れのお楽の言葉を、新八が察して補ってやる。
言葉にするのは、お楽にもためらわれるのだから、当然である。
だが、これにお葉が噛み付いてきた。
「お殿様は反対を押し切らなかったの? どこぞの旗本や大名家の養女にいったんしてから、嫁に向かえ入れるって、よく聞く話じゃないのよぉ。三代将軍家光公の生母だって、京かどこかの八百屋の娘だって聞いたわよ?」
「無理言うんじゃねぇよ。殿様には殿様の、立場ってもんがあらぁな」
「そんな、だって好きだったら、何があったって…」
「あたしは殿様の、御正室にしたいとの言葉だけで充分です」
そうやって、お楽は静かに微笑むのである。
根が控えめな人柄なのだろう。
「そんなの…バカよ。お楽さんもお殿様も!」
「おいおい、言い方に気をつけろよ。向こうは分家とはいえ大名だ、子供のお葉にはわからねぇこともあるんだろうよ」
「子供じゃないもん!」
「何を拗ねてんだぁ、おめぇは?」
「拗ねてないもん!」
口をとがらせ、そっぽを向くお葉を持て余し、新八はお楽に話を振った。
「お楽さん、それを仙太に喋りやしたか?」
「もう長くないと思ったものですから、つい…でも鉢須賀家のことは、何も言ってないんですよ。おまえの父親はさる藩のお殿様だとだけ」
「じゃぁ新八さん、仙太坊はどうやって鉢須賀家のことを、突き止めたの?」
お葉の疑問はもっともだが、こればかりは新八にはわからない。
仙太は歳に似合わぬしっかり者だし、頭の回転も早い。
僅かな手掛かりから、自分の父親を探し当てたとしたら、並みの知力ではない。
同心の息子として、一通りの武技や捜査の手練も学んでいる新八としては、舌を巻くしかないが。
「お楽さん、他に何か仙太に喋ったことは?」
「殿様が描いてくだすった絵を、あの子に見せたんです。そこの箪笥に」
お楽が指し示した箪笥の中から、取り出した絵を見る、新八とお葉。
若き日のお楽を描いた錦絵である。
「うわぁ、お楽さん綺麗ぃ~! これ、売れっ子の絵師が描いたみたい」
だが新八は、別のことに気付いた。
「お楽さんは、大事なことを、隠してますね?」
ギクッとした顔のお楽、新八から目線を伏せながら、
「そんな隠し事など…」
「いいや隠してる! 絵を嗜む文人大名は、平戸藩の松浦様や秋田藩の佐竹様など、少なくない。だが、鉢須賀の殿様が十年前に絵を描いていたなんてぇ話は、とんと聞いたことがねぇ」
言葉に詰まるお楽であった。
新八は一気に、お楽の隠しているであろう、核心に迫った。
「お楽さんの実家てぇのは、ひょっとして藤華屋ですかい?」
「ど、どうしてそれを……」
「やっぱりな。これですべて合点承知!」
新八はポンと、柏手を打った。
お葉とお楽は、合点も承知もできず、呆然としていた。
二
その頃、鉢須賀家の江戸屋敷の庭では、当主の主水が庭にたたずんでいた。
ひとくちに武家屋敷と言っても、上屋敷は藩主とその妻子などが暮らす。
中屋敷は隠居した先代藩主や世継ぎなどが暮らす、上屋敷の控え的な役割である。
下屋敷は江戸府中より離れた、別荘的な役割がある。
火事が多い江戸では、藩の上屋敷や下屋敷が罹災したとき、避難所としても使われた。また国元からの米などを揚げるため、水辺につくられた蔵屋敷が下屋敷を兼ねることもあった。
屋敷の大きさは、幕府からの拝領なので、大身の藩は大きく、一万石そこそこの小藩は、下屋敷はない所も多い。鉢須賀家の上屋敷は、大名にしては手狭ではあった。
と、塀の外から石をくるんだ書き付けが投げ込まれた。
拾い、見る主水。
中には、前回とは違う筆跡で、指示が書かれていた。
「今度は不忍の池か……これ、誰かある! 出かける支度をせい」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ここは不忍の池。
蓮の花を浮かべ、上野の寛永寺の麓で、憩いの場になっている。
不忍池は、琵琶湖を模している。
京の内裏の鬼門の位置に、弘法大師空海が比叡山延暦寺を開いたように。
江戸城の鬼門の方角に、東叡山寛永寺がある。東の比叡山の意味である。
不忍池は、琵琶湖で弁天堂は琵琶湖に浮かぶ竹生島に対応する。
そのほとりに、宗十郎頭巾をかぶった主水に酒田、二人の手下が仙太を待っていた。
「何も殿が直々にお出でにならなくとも──」
「その子供の顔を、見てみたいのじゃ」
そこへ割り込むように、子どもの声が混ざった。
「金はもってきたのか?」
「餓鬼の分際で、その口の聞き方はなんだ!」
怒鳴る前に酒田は、右手は刀の柄に、左手は鯉口を切っている。
だが、主水は泰然として尋ねた。
「そちか……」
主水は感慨深げに、仙太を見つめる。
「なに見てんだよぉ。それより早く金を出せ!」
「おうおう、そうであったな。では一両、渡してやろう。刀の届かぬ位置に居るとは、歳に見合わず聡明じゃな」
「と、殿ッ」
主水は「よいのじゃ」と言いつつ、一両を仙太の足下に投げて渡す主水。
仙太、その一両を受け取る。
だが、持ち慣れていないので、本物か偽物か、見分けがつかず、戸惑っている様子である。
「さぁ、金は渡した。今度は我が藩の秘密とやらを、聞かせてはくれぬかな」
「……主楽といえば、わかるだろ?」
「こ、小僧、どうしてそれを!」
「お屋敷に忍びこんだ時に、蔓屋と話しているの、聞いたんだい」
「ううっ、かくなる上はただで帰すわけにはいかん」
酒田の声に呼応して、手下二人も刀を抜く。
「よせ酒田、よすのじゃ!」
「この秘密が洩れますれば、我が藩の存続にかかわりまする。ここは御容赦を」
野太い掛け声とともに、手下が仙太に斬りかかろうと刀を振り下ろした瞬間!
サッと割って入る人影。
「まぁた遭ったな、おい」
新八が手下の刀を、喧嘩煙管でがっちり受け止めていた。
手下を勢いよく押しやると、新八は啖呵を切った。
「やめねぇか! この子はそこにおわす殿様の、御落胤だぜ」
「な…にぃ!?」
突然の言葉に、酒田は戸惑い、仙太の顔と殿様の顔を、交互に見ている。
言われてみれば、利発そうな口元や薄い眉など、二人は似ている。
「やはりそうか……お楽は元気か?」
主水は宗十郎頭巾を取り、仙太に相対する。
笑みを浮かべる主水に対して、仙太の表情は険しい。
「おっかあを捨てたくせに、それ聞いてどうするってんだい!」
そこにお葉が、ようやく新八に追いついて、現われた。
「仙ちゃん、それは違う。二人とも本当に好き合ってたのよ」
「嘘だ! こいつはおっかあを嫌いになったんだ。だから一度も訪ねてこねぇし、おっかあが病で伏せっても、ほったらかしだい」
「仙太が生まれた九年前、おっかさんは姿を隠さなくちゃならねぇ訳が、あったんだよぉ。そいつはまさに、その江戸家老が口にした、藩の存続に関わるんだよな」
「…訳?」
戸惑う仙太に、さらに別の声がかかった。
「そいつは…ハァハァ、あたしが…お話しハァ、ましょうか」
息を切らして現れた初老の男に、今度は仙太が驚く番だった。
「蔓屋のおじさん!」
仙太が世話になってる版元の、蔓屋の主人、九郎平であった。
「お楽さん、仙ちゃんは?」
駆け込んできた新八とお葉は、戸を開けるなり大声で叫んだ。
ここはお楽と仙太の住む丸源長屋。
突然の客に、伏せっていたお楽が無理に身体を起こし、咳き込みながら答えた。
「あの子は、何か用があるって出かけましたけれども……」
「チッ、一足遅かったかぁ~」
「仙太が何か? もしや何か変事でも?」
新八の慌てぶりに、何やら不穏なものを感じたお楽は、焦った表情。
「仙太はあるお武家を強請ってるんですよ、お楽さん」
「えっ! まさか仙太が…」
「強請りの根多について、何か心当たりがありやせんか?」
心当たりと言えば、ひとつしかない。
「実は………あの子の父親は徳島藩の殿様、鉢須賀主水様なんです」
今度は新八とお葉が声を揃えて「ええっ!」と驚く番であった。
「あたしの里方は本屋でして、殿様が手すさびに描かれた浮世絵を、売りに出した縁で…」
「仙太ができたと?」
「殿様は御台所にすると、そうおっしゃってくださったんですが…」
「側室ならまだしも、町人の娘が正室になるのを周囲が許さなかったと?」
途切れ途切れのお楽の言葉を、新八が察して補ってやる。
言葉にするのは、お楽にもためらわれるのだから、当然である。
だが、これにお葉が噛み付いてきた。
「お殿様は反対を押し切らなかったの? どこぞの旗本や大名家の養女にいったんしてから、嫁に向かえ入れるって、よく聞く話じゃないのよぉ。三代将軍家光公の生母だって、京かどこかの八百屋の娘だって聞いたわよ?」
「無理言うんじゃねぇよ。殿様には殿様の、立場ってもんがあらぁな」
「そんな、だって好きだったら、何があったって…」
「あたしは殿様の、御正室にしたいとの言葉だけで充分です」
そうやって、お楽は静かに微笑むのである。
根が控えめな人柄なのだろう。
「そんなの…バカよ。お楽さんもお殿様も!」
「おいおい、言い方に気をつけろよ。向こうは分家とはいえ大名だ、子供のお葉にはわからねぇこともあるんだろうよ」
「子供じゃないもん!」
「何を拗ねてんだぁ、おめぇは?」
「拗ねてないもん!」
口をとがらせ、そっぽを向くお葉を持て余し、新八はお楽に話を振った。
「お楽さん、それを仙太に喋りやしたか?」
「もう長くないと思ったものですから、つい…でも鉢須賀家のことは、何も言ってないんですよ。おまえの父親はさる藩のお殿様だとだけ」
「じゃぁ新八さん、仙太坊はどうやって鉢須賀家のことを、突き止めたの?」
お葉の疑問はもっともだが、こればかりは新八にはわからない。
仙太は歳に似合わぬしっかり者だし、頭の回転も早い。
僅かな手掛かりから、自分の父親を探し当てたとしたら、並みの知力ではない。
同心の息子として、一通りの武技や捜査の手練も学んでいる新八としては、舌を巻くしかないが。
「お楽さん、他に何か仙太に喋ったことは?」
「殿様が描いてくだすった絵を、あの子に見せたんです。そこの箪笥に」
お楽が指し示した箪笥の中から、取り出した絵を見る、新八とお葉。
若き日のお楽を描いた錦絵である。
「うわぁ、お楽さん綺麗ぃ~! これ、売れっ子の絵師が描いたみたい」
だが新八は、別のことに気付いた。
「お楽さんは、大事なことを、隠してますね?」
ギクッとした顔のお楽、新八から目線を伏せながら、
「そんな隠し事など…」
「いいや隠してる! 絵を嗜む文人大名は、平戸藩の松浦様や秋田藩の佐竹様など、少なくない。だが、鉢須賀の殿様が十年前に絵を描いていたなんてぇ話は、とんと聞いたことがねぇ」
言葉に詰まるお楽であった。
新八は一気に、お楽の隠しているであろう、核心に迫った。
「お楽さんの実家てぇのは、ひょっとして藤華屋ですかい?」
「ど、どうしてそれを……」
「やっぱりな。これですべて合点承知!」
新八はポンと、柏手を打った。
お葉とお楽は、合点も承知もできず、呆然としていた。
二
その頃、鉢須賀家の江戸屋敷の庭では、当主の主水が庭にたたずんでいた。
ひとくちに武家屋敷と言っても、上屋敷は藩主とその妻子などが暮らす。
中屋敷は隠居した先代藩主や世継ぎなどが暮らす、上屋敷の控え的な役割である。
下屋敷は江戸府中より離れた、別荘的な役割がある。
火事が多い江戸では、藩の上屋敷や下屋敷が罹災したとき、避難所としても使われた。また国元からの米などを揚げるため、水辺につくられた蔵屋敷が下屋敷を兼ねることもあった。
屋敷の大きさは、幕府からの拝領なので、大身の藩は大きく、一万石そこそこの小藩は、下屋敷はない所も多い。鉢須賀家の上屋敷は、大名にしては手狭ではあった。
と、塀の外から石をくるんだ書き付けが投げ込まれた。
拾い、見る主水。
中には、前回とは違う筆跡で、指示が書かれていた。
「今度は不忍の池か……これ、誰かある! 出かける支度をせい」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ここは不忍の池。
蓮の花を浮かべ、上野の寛永寺の麓で、憩いの場になっている。
不忍池は、琵琶湖を模している。
京の内裏の鬼門の位置に、弘法大師空海が比叡山延暦寺を開いたように。
江戸城の鬼門の方角に、東叡山寛永寺がある。東の比叡山の意味である。
不忍池は、琵琶湖で弁天堂は琵琶湖に浮かぶ竹生島に対応する。
そのほとりに、宗十郎頭巾をかぶった主水に酒田、二人の手下が仙太を待っていた。
「何も殿が直々にお出でにならなくとも──」
「その子供の顔を、見てみたいのじゃ」
そこへ割り込むように、子どもの声が混ざった。
「金はもってきたのか?」
「餓鬼の分際で、その口の聞き方はなんだ!」
怒鳴る前に酒田は、右手は刀の柄に、左手は鯉口を切っている。
だが、主水は泰然として尋ねた。
「そちか……」
主水は感慨深げに、仙太を見つめる。
「なに見てんだよぉ。それより早く金を出せ!」
「おうおう、そうであったな。では一両、渡してやろう。刀の届かぬ位置に居るとは、歳に見合わず聡明じゃな」
「と、殿ッ」
主水は「よいのじゃ」と言いつつ、一両を仙太の足下に投げて渡す主水。
仙太、その一両を受け取る。
だが、持ち慣れていないので、本物か偽物か、見分けがつかず、戸惑っている様子である。
「さぁ、金は渡した。今度は我が藩の秘密とやらを、聞かせてはくれぬかな」
「……主楽といえば、わかるだろ?」
「こ、小僧、どうしてそれを!」
「お屋敷に忍びこんだ時に、蔓屋と話しているの、聞いたんだい」
「ううっ、かくなる上はただで帰すわけにはいかん」
酒田の声に呼応して、手下二人も刀を抜く。
「よせ酒田、よすのじゃ!」
「この秘密が洩れますれば、我が藩の存続にかかわりまする。ここは御容赦を」
野太い掛け声とともに、手下が仙太に斬りかかろうと刀を振り下ろした瞬間!
サッと割って入る人影。
「まぁた遭ったな、おい」
新八が手下の刀を、喧嘩煙管でがっちり受け止めていた。
手下を勢いよく押しやると、新八は啖呵を切った。
「やめねぇか! この子はそこにおわす殿様の、御落胤だぜ」
「な…にぃ!?」
突然の言葉に、酒田は戸惑い、仙太の顔と殿様の顔を、交互に見ている。
言われてみれば、利発そうな口元や薄い眉など、二人は似ている。
「やはりそうか……お楽は元気か?」
主水は宗十郎頭巾を取り、仙太に相対する。
笑みを浮かべる主水に対して、仙太の表情は険しい。
「おっかあを捨てたくせに、それ聞いてどうするってんだい!」
そこにお葉が、ようやく新八に追いついて、現われた。
「仙ちゃん、それは違う。二人とも本当に好き合ってたのよ」
「嘘だ! こいつはおっかあを嫌いになったんだ。だから一度も訪ねてこねぇし、おっかあが病で伏せっても、ほったらかしだい」
「仙太が生まれた九年前、おっかさんは姿を隠さなくちゃならねぇ訳が、あったんだよぉ。そいつはまさに、その江戸家老が口にした、藩の存続に関わるんだよな」
「…訳?」
戸惑う仙太に、さらに別の声がかかった。
「そいつは…ハァハァ、あたしが…お話しハァ、ましょうか」
息を切らして現れた初老の男に、今度は仙太が驚く番だった。
「蔓屋のおじさん!」
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