148 / 151
Trust
22
しおりを挟むちいさんがソファーから立ち上がって。
「夕食の準備しましょ」
言いながらキッチンに向かう。
「ちいさんっ、待ってよっ」
立ち止まっても振り向いてくれないから。
ちいさんの後ろから手回して、ちいさんの両手握る。
「ねえ、どうしたの?」
なんで泣いたの?
「なんでもないわよ」
「なんかあるなら言ってよ。俺、完璧には無理だと思うけどさ、ダメなとこ直す様に頑張るから。だから言って?」
俺はバカでガキだけど、ちいさんが俺に不満があるなら、直すから。
俺はちいさんを泣かせるような事したの?
「ねえ…ちいさん。俺、バカだから言ってくれないとわかんないよ…」
ちいさんが小さく首を振って。
「そんな事じゃない」
「じゃあ、なに?どうしたの?」
「祐輔は…やっぱり同世代の子と一緒にいる方が良いんじゃないかな、と思ったから」
なんで?俺はちいさんと一緒が良いよ。
「私は…祐輔が離れても大丈夫って思ってるから」
「嫌だよ。そんな事思わないでよ。俺ちいさんから離れたりしないもん」
一生離れるつもりねえけど。
「打算的ね、私は。一生懸命になってくれる祐輔に悪いわ」
そんなのわかんない。ちいさんがなにを思ってても。
「俺はちいさんが好きだよ…」
俺が離れても、って。
離れたら大丈夫じゃないくらい俺の事好きでいてよ。
俺があんなとこ見せたから?
だからそんな風に思っちゃったの?
「俺はずっとちいさんしか好きじゃないから…ちいさんじゃないと嫌だから。だから100パーセント俺の事好きでいてよ」
ちいさんを抱き締めると、ちいさんの良い香り。
俺は、なんだろ。
そんな事思わせて、ごめんなさい、って思うけど、そんなちいさんが普通に、女に人に見えて。
可愛く思えて。
俺はかっこいい言葉なんか思い付かねえけど。
「俺の事ちゃんと信じて。お願い。ちいさんが大好きだから、信じて」
一番大好きなひとだから。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説


マッサージ
えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。
背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。
僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。


サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる