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貯金、いつまでもつかなあ。

「高田君、今大丈夫？」

事務のおばさんが会議室のドア開けた。

「はい、なんですか？」

お行儀良く答える俺。しゃかいじんだから。

「高田君バイトの時間が長くなったから、雇用保険に入れるね。お給料からちょっと引かれるけど」

ギリギリの給料を引かれるとか嫌なんですけど。と、思ったら説明聞いて気が変わった。

俺、今まで働いてきて失業保険とか入った事ねえから知らなかった。まあ、会社を辞める気はねえけど。

「それからね、今住んでるお家の家賃がわかるものを持ってきてくれる？口座振替なら通帳でも良いから」

そんなのが会社になんの関係があるんだろって思ってたら。

「普通は社員しか対象じゃないんだけど、住宅扶助があるのよ。家賃の半分までの金額を住宅手当として会社が支給するの。専務が、高田君の住宅手当付ける、って言われたから」

家賃の半分、って。俺は家賃払って光熱費払って、それでギリギリなるからどうしようって考えてたのに。

もの凄く尊さんに感謝して。

尊さんが俺にそこまでしてくれるんだから、俺はホントに頑張らねえといけない。

カタログ見ながら、マジで、ちょっと泣けた。 

俺は真面目に勉強した事もねえし。

世の中の事なんかあんまわかってねえし。

転職を考えた時に、どう言うとこがあるんだろ、ってネットとかで調べてみたんだよな。

二十代が中心の会社です！！

とか、業種や創業年数にもよるけどさ、それって三十代なったらみんな辞めてるんじゃねえの？

二十なん歳、部長、年収一千万になりました！！

確実にアレ、だよな。

俺は学歴もねえし、資格もねえし、まともな職歴もねえし、使えるのはホストで培った口だけだしな。上等とは言えねえけど。

それを活かそうと思えば、営業の仕事かな、と思ったんだけどさ。

営業の仕事なんて、転職サイト見てみりゃいくらでもある。

でも、俺はちゃんと十年後でも二十年後でも働けそうな仕事に就きたかったから。とか言っても、しっかりした企業さんは条件に四大卒、とかあったりしてさ。

正直、尊さんが会社に来て良い、って言ってくれなかったら、ちいさんのためとか言いながら就職先も見つからなくてホストもずるずる続けてたかも。

昔から尊さんには目かけてもらったと思うけど。

俺に対して期待なんかしてねえかも知れねえけど。

俺が働ける環境を用意してもらって、ありがたいと思う。

「まあなあ、お前が使えなさそうだったら容赦無く俺が切るけどなあ」

て、香田さんが言ってたけど。

実は俺は知ってたりする。

「専務、アイツ、ホスト辞めたら生活苦になるみてえなんすけど。大丈夫っすかあ？」

「仕事の実績無いのに時給上げてやったり出来ねえよ」

て、香田さんが尊さんと話してたらしい。事務のおばさんから教えてもらった。

俺は、香田さんにも、尊さんにも手貸してもらってんだから。

ちゃんと仕事覚えて、仕事で返そう。