136 / 151
Trust
10
しおりを挟むプライベートの話と、仕事の話は違うワケで。
俺はいよいよホストから卒業する日が近付いてきて、バタバタ営業かけまくる日々。
嫌な事あったらブッチすればいいじゃん?て、やってきた俺が曲がりなりにもまともに働いた店だから、辞める時もきっちりしねえと。
尊さんのおかげでホストの仕事覚えられて、また尊さんの世話になってるんだから。
おまけに社長は俺の事情呑み込んでくれたんだし。
急に辞める事になったから、ホントはそれだけで迷惑かけてるんだけど。
出来るだけ、ちゃんとした辞め方しねえとな。
ちゃんとした辞め方、って言い方おかしいけど。
俺に金遣ってくれた客に辞める事伝えて、なるべく店に来てもらって、他のキャストに繋げる。
新しいのを気に入るかどうかは客次第だけど、そこまでの事はやらねえと。
昼間も、尊さんに許可もらってメールだけじゃなくて電話の営業もした。
時間がねえから、焦ってばっかで。
「強引に営業すんな。逆効果だろ。店と客繋げとくなら、無理に呼び出すより自分が綺麗に辞める事を客に伝えて、他のキャストに連絡先教えて良いか訊ねろ」
て、さすが龍二さんだな。
龍二さんは計画的に辞めるから、上手く客回しながら他のヤツに客つけてる。
強引に営業かけたら、客が迷惑に思って、来店どころか二度と店来たくねえ、って思われるよな。
ちょっと反省。
それでも毎日、卒業効果で指名は多い。
龍二さんとかは客との相性とか考えてキャストをヘルプに入れたりとかしてるけど、俺はそんな余裕も頭もねえし、マネージャー任せ。
毎日飲む量も増えて、正直、昼起きてバイト行くのもキツイ。
でも、言ってらんねえしな。
辞めるのは香田さんのおかげで急遽、になったけどどっちみち辞める予定だったんだし。
週末は凄かった。
指名六組被りとか、今まで経験無い事になって、パニクった。
「お前今週は売上トップだったな」
「もー龍二さん。皮肉言わないでよお。今日で最後だったのにい」
龍二さんに肩担がれて、明け方の大通り二人で歩く。
まあなあ。俺もそれなりに飲んじゃったからなあ。
まさか送別会なんてあるワケも無く、俺は客が多すぎて酔っ払っちゃったんだけど。
朝方の大通りは、ゴミだらけ。
夜はキラキラのネオンで綺麗な街に見えるけど、太陽が見えてる間は汚くて、どのビルも人の気配が無くて廃墟みてえ。
俺はこの街の住人だったけど、もう、戻って来ねえよ。
いっつも龍二さんと二人で朝方の街歩いて帰ってたけど。
俺のバカ話に龍二さんがツッコんでくれる事も、もうねえんだな。
そこは、香田さんがツッコんでくれるだろうけど。
「何回も言うけどな、くれぐれも尊さんに迷惑かけるんじゃねえぞ」
タクシー停めてくれた龍二さんが言った。
俺は、なんかちょっと泣きそうなって。でも、言わなきゃと思って。
「お世話になりました!ありがとうございましたあっ!!」
龍二さんに頭下げて、こんな風に、真面目に頭下げるとか恥ずかしかったんだけど。
「まあ、頑張れよ」
龍二さんが下げた俺の頭、ヘッドロックしてきて。
髪の毛、ぐしゃぐしゃにされた。
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
保健室の秘密...
とんすけ
大衆娯楽
僕のクラスには、保健室に登校している「吉田さん」という女の子がいた。
吉田さんは目が大きくてとても可愛らしく、いつも艶々な髪をなびかせていた。
吉田さんはクラスにあまりなじめておらず、朝のHRが終わると帰りの時間まで保健室で過ごしていた。
僕は吉田さんと話したことはなかったけれど、大人っぽさと綺麗な容姿を持つ吉田さんに密かに惹かれていた。
そんな吉田さんには、ある噂があった。
「授業中に保健室に行けば、性処理をしてくれる子がいる」
それが吉田さんだと、男子の間で噂になっていた。
王女、騎士と結婚させられイかされまくる
ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。
性描写激しめですが、甘々の溺愛です。
※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。
獣人の里の仕置き小屋
真木
恋愛
ある狼獣人の里には、仕置き小屋というところがある。
獣人は愛情深く、その執着ゆえに伴侶が逃げ出すとき、獣人の夫が伴侶に仕置きをするところだ。
今夜もまた一人、里から出ようとして仕置き小屋に連れられてきた少女がいた。
仕置き小屋にあるものを見て、彼女は……。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン幼馴染に処女喪失お願いしたら実は私にベタ惚れでした
sae
恋愛
彼氏もいたことがない奥手で自信のない未だ処女の環奈(かんな)と、隣に住むヤリチンモテ男子の南朋(なお)の大学生幼馴染が長い間すれ違ってようやくイチャイチャ仲良しこよしになれた話。
※会話文、脳内会話多め
※R-18描写、直接的表現有りなので苦手な方はスルーしてください
お見合い相手はお医者さん!ゆっくり触れる指先は私を狂わせる。
すずなり。
恋愛
母に仕組まれた『お見合い』。非の打ち所がない相手には言えない秘密が私にはあった。「俺なら・・・守れる。」終わらせてくれる気のない相手に・・私は折れるしかない!?
「こんな溢れさせて・・・期待した・・?」
(こんなの・・・初めてっ・・!)
ぐずぐずに溶かされる夜。
焦らされ・・焦らされ・・・早く欲しくてたまらない気持ちにさせられる。
「うぁ・・・気持ちイイっ・・!」
「いぁぁっ!・・あぁっ・・!」
何度登りつめても終わらない。
終わるのは・・・私が気を失う時だった。
ーーーーーーーーーー
「・・・赤ちゃん・・?」
「堕ろすよな?」
「私は産みたい。」
「医者として許可はできない・・!」
食い違う想い。
「でも・・・」
※お話はすべて想像の世界です。出てくる病名、治療法、薬など、現実世界とはなんら関係ありません。
※ただただ楽しんでいただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
それでは、お楽しみください。
【初回完結日2020.05.25】
【修正開始2023.05.08】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる