Play With Me

てらだりょう

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プライベートの話と、仕事の話は違うワケで。

俺はいよいよホストから卒業する日が近付いてきて、バタバタ営業かけまくる日々。

嫌な事あったらブッチすればいいじゃん?て、やってきた俺が曲がりなりにもまともに働いた店だから、辞める時もきっちりしねえと。

尊さんのおかげでホストの仕事覚えられて、また尊さんの世話になってるんだから。

おまけに社長は俺の事情呑み込んでくれたんだし。

急に辞める事になったから、ホントはそれだけで迷惑かけてるんだけど。

出来るだけ、ちゃんとした辞め方しねえとな。

ちゃんとした辞め方、って言い方おかしいけど。

俺に金遣ってくれた客に辞める事伝えて、なるべく店に来てもらって、他のキャストに繋げる。

新しいのを気に入るかどうかは客次第だけど、そこまでの事はやらねえと。

昼間も、尊さんに許可もらってメールだけじゃなくて電話の営業もした。

時間がねえから、焦ってばっかで。

「強引に営業すんな。逆効果だろ。店と客繋げとくなら、無理に呼び出すより自分が綺麗に辞める事を客に伝えて、他のキャストに連絡先教えて良いか訊ねろ」

て、さすが龍二さんだな。

龍二さんは計画的に辞めるから、上手く客回しながら他のヤツに客つけてる。

強引に営業かけたら、客が迷惑に思って、来店どころか二度と店来たくねえ、って思われるよな。

ちょっと反省。

それでも毎日、卒業効果で指名は多い。

龍二さんとかは客との相性とか考えてキャストをヘルプに入れたりとかしてるけど、俺はそんな余裕も頭もねえし、マネージャー任せ。

毎日飲む量も増えて、正直、昼起きてバイト行くのもキツイ。

でも、言ってらんねえしな。

辞めるのは香田さんのおかげで急遽、になったけどどっちみち辞める予定だったんだし。

週末は凄かった。

指名六組被りとか、今まで経験無い事になって、パニクった。

「お前今週は売上トップだったな」

「もー龍二さん。皮肉言わないでよお。今日で最後だったのにい」

龍二さんに肩担がれて、明け方の大通り二人で歩く。

まあなあ。俺もそれなりに飲んじゃったからなあ。

まさか送別会なんてあるワケも無く、俺は客が多すぎて酔っ払っちゃったんだけど。

朝方の大通りは、ゴミだらけ。

夜はキラキラのネオンで綺麗な街に見えるけど、太陽が見えてる間は汚くて、どのビルも人の気配が無くて廃墟みてえ。

俺はこの街の住人だったけど、もう、戻って来ねえよ。

いっつも龍二さんと二人で朝方の街歩いて帰ってたけど。

俺のバカ話に龍二さんがツッコんでくれる事も、もうねえんだな。

そこは、香田さんがツッコんでくれるだろうけど。

「何回も言うけどな、くれぐれも尊さんに迷惑かけるんじゃねえぞ」

タクシー停めてくれた龍二さんが言った。

俺は、なんかちょっと泣きそうなって。でも、言わなきゃと思って。

「お世話になりました!ありがとうございましたあっ!!」

龍二さんに頭下げて、こんな風に、真面目に頭下げるとか恥ずかしかったんだけど。

「まあ、頑張れよ」

龍二さんが下げた俺の頭、ヘッドロックしてきて。

髪の毛、ぐしゃぐしゃにされた。




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