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Trust
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しおりを挟む彼女の。
って、言えば。
ちいさん家、だよな。え?やだ。それって同棲じゃん。
いやいやまあまあ、ちゃんと家賃は払ったとして、えっと。毎日ちいさんと一緒にいられる。
ぶっ!!やばい、鼻血出そうだよ。
て、なに考えてんだ!!俺はっ!!
「それはどうかと思うぜえ?」
香田さんに言われる。
今日は、棚卸しだから午前中に会社に来い、って言われて頑張って早起きした。
月末は棚卸し。
ショップもそうだし、会社の倉庫もそう。
ハンディスキャナー持って、倉庫の中の商品を一枚ずつ、バーコードをスキャンしていく。
んで、後でシステムのデータベースに登録されてる在庫ときちんと合ってるか確認しねえといけねえ。
洋服だけじゃねえんだよな。靴やら帽子やらアクセサリーやらバーコードついてるもんはなんでもスキャン。
一個でも合わねえとやり直し。
俺は今まで電話番だったけど、これも営業の仕事の内だから香田さんと一緒に倉庫の一角で、ピッ、ピッってやってる。
今日は事務以外は全社員、棚卸し作業。
「どう、ってダメっすかね?家賃とかは払うつもりですけど」
ちいさんと同棲。考えただけで顔がにやけるよ。
「そう言う事情がきっかけで同棲に持ち込むのはなあ。彼女がお前の泣き落としに負けて、良い、って言ってくれるかも知れねえけどさ、やっぱなあ」
香田さんとラック一本ずつ手分けして、スキャン。
「彼女は分別があって、自立してて、大人の女なワケだろお?」
「そっすね」
俺は大人の女のちいさんが大好き。
「社会的な立場も持ってる節度のある大人が、自宅に若い男住まわしてちゃマズいだろ」
ん?
「え?それって、世間体とかですか?」
「そうだよ」
「でも、前に彼女は気にしてないって言ってくれましたよ?」
香田さんが。
「バカか、お前」
呆れた顔した。
「そう言ってくれてもな、世間なんて面白がって噂たてやがるんだよ」
俺は、そう言う事でちいさんに嫌な思いとかして欲しくねえのに。
「彼女が気にしない、って、言ってくれてもな。そう言うとこはお前がちゃんと考えねえといけねえんだよ」
同棲できたらラッキーとか思って、ちゃんと考えてなかった。
香田さん、やっぱ経験者だからかな。
「おっし、昼メシにすっかあ」
昼休み、俺は来る時にコンビニで弁当買って来てたから、そのまま一緒に会議室に行った。
事務のおばさん達のとこでも良いけど、今日はちいさんのお弁当じゃねえし、見せびらかすもんねえからどうでも良いや。
「あー、くっそ。やられたわ。もうなあ、やけに重いと思ったんだよなあ。昨夜携帯壊したの注意したからかなあ。いや違うな、俺の愛を試してんだな、これは」
ぶつぶつ言いながら、香田さんが弁当袋から取り出したのは、弁当箱と。
小玉スイカ。
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