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Trust
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しおりを挟む今日限り、っていくらなんでも無理。
ブッチするワケじゃねえし。
俺が辞めても、客は店と切れねえ様にしねえといけねえし。
「一ヶ月」
社長は最初、そう言った。
「いや、一週間で!」
香田さんが言った。
結局、間とって二週間、になった。ばたばた客に営業しねえと。
「ならお前が穴埋めに手伝ってくれよ」
「俺は嫁以外の手とか触りたくねえっすもん」
とか二人でまた笑ってた。ああ、もう。客の事もだけど、俺住むとこも考えねえといけねえのに、二週間って。
店のカウンターでうだうだやってると、客についてた龍二さんが戻ってきた。
「もおー!龍二さん、辞めるなら俺にも教えといてよ!」
「あ?別に黙ってたワケじゃねえがな。その内言おうと思ってた」
俺の隣でタバコふかす。
龍二さんは前々から準備してたからな。転職後の計画も立ててるし。
俺はバイト生活だよ。
いや、俺も朝から会社行って仕事覚えたいよ?一日でも早く社員になりてえよ?
けど、バイトじゃ食えねえ、って現実。尊さんに相談してみるかなあ。いや、それは俺が尊さんに甘えてると思われるからダメだ。
「家賃安いとこに引っ越せば良いだろ」
龍二さんが言うけど。
「そりゃあ、そうなんすけどお。貯金がそんなあるワケじゃねえし、引っ越しで金遣ったら後が不安なんすよ。あ」
良い事思いついた。
「ねえ、龍二さん家、部屋二つあるよね?」
「だからなんだ」
「俺に一部屋貸してよ」
龍二さん家は2LDKだし、それ良くねえ?
「あっても、莉緒が使ってる」
「え?でも寝る時一緒の部屋でしょ?ねえ、お願いしますよお。家賃払うから。あの、龍二さんがセックスしたい時は耳塞いどくから。あ!いや!ゲーセンとかで時間潰してるから!」
拝み倒そうと思ったけど。
「アホか!なんでお前に今からヤる的な報告しないといけねえんだよ!」
ちぇ。まあ、龍二さん家は無理だと思ったけど。
兄ちゃんの留守にフィギュア捨てるかな。兄弟の縁切られそうだな。
「彼女ん家とか、他に行くとこあるだろっ」
龍二さんが呆れながら言った。
彼女の。お家?
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