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てらだりょう

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大脳皮質

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「あの、俺…」

なんか、急展開。

「言ってんだろ?俺、専務にお前の事頼まれてんだよ。お前に仕事教えねえとなんねえのに、肝心のお前が体勢整えてくれねえんじゃ俺も困るんだよ」

奥さんは黙々とサラダ食べる。ドレッシングの瓶持って。

「このドレッシング、まずい」

あ、それ俺も思った。

「あれ?不味かった?お客さんの手作りなんだけど」

「なんでもかんでももらって来ないでくれる?」

「それはさあ、しょうがねえじゃん?断るワケにもいかねえし。手作りで添加物入ってねえからさっちゃんのために良いと思ってさあ」

「この間もらってきたシソジュースもアンタ飲んでないでしょ。あれ、まずいから」

「あれは健康に良いって言われたからさあ?さっちゃんのためと思って」

なんだかなあ、香田さんって、奥さんの事凄い好きなんだろな。

俺は大好きなちいさんのために、頑張らなきゃだよな。

「んじゃあ、明日の昼過ぎ俺時間空いてっから。直樹さんとこ一緒にいってやるよ」

もう、香田さんに押し切られる。

帰りがけ、色々考えて、バイト生活じゃ今のアパートの家賃払って光熱費とか払ったら、後余裕ねえし。

とりあえず、実家に帰って家賃と食費浮かすか。

帰ってみたら。

「え?祐輔戻って来るの?」

母ちゃんが邪魔くさそうに言う。

「もうお兄ちゃんも結婚もしないで出て行く気配も無いし。息子二人なのに、お母さんずうっと面倒みないといけないなんて…」

「俺はちょっとの間だけだって!」

ぶつぶつ言う母ちゃんを無視して元々の俺の部屋に行ったら。

「なんだっ!こりゃあっ!!」

俺の部屋、等身大美少女フィギュアに占領されてた。

「あっ!祐輔!触るなっ!」

仕事から帰ってきた兄ちゃんが、フィギュア引っ掴もうとした俺の腕にぶら下がる。

「触るな、じゃねえっ!なんだよこれ!?」

「置くとこが無いからここに飾ってるんだ!」

「飾るな!ここは俺の部屋だ!今すぐ全部退かせろよっ!」

兄ちゃんの部屋は、ベッドの上以外はフィギュア。兄ちゃんの給料つぎ込んだフィギュア。48体揃えたいらしい。おいっ!!

これじゃ、戻れねえじゃん。

アパートもっと安いとこに引っ越すにしても、また敷金とか引っ越し代かかるし。

どうすっかな、もう。
 
「おう、ハルト。久しぶりじゃねえか。元気そうだな」

「いやいや、直樹さんこそお元気そうでなによりっす」

事務所の応接室。

笑顔交し合う二人。

社長と香田さんが知り合いなのはわかったけどさ。

「さっちゃん、どうしてる?元気なのか?」

「あー、もう、毎日黙々とメシ食って黙々と仕事してますよ。昨日の夜は『生殖本能とフェロモンの効果』てテーマの話を延々としてましたね。俺、途中で寝たけど」

なんかわかんないけど、奥さんの事も社長は知ってるらしい。

「なんだ、それ。面白そうな話だな」

「面白い、っつうか生殖する相手を選ぶのは本来どんな生き物もメスである、ってね。持論を展開してましたよ」

俺は香田さんの隣に座って、いつ辞める話になるのか冷や汗もんだよ。

「コイツ、結婚式嫌がる嫁さんに、土下座して、頼むから結婚式だけは出てくれって、言ったらしいんだよ」

社長が俺見て言う。別に、俺は聞きたくねえんだけど。

「そこら辺は、嫁のウェディングドレスとか見たかったし、一生の思い出なんだから土下座してお願いしましたよ。結局披露宴は拒否られたけど」

ひとしきり二人で笑いながら。

「んで、直樹さん。お願いがあるんすけど」

香田さんが本題切り出す。

「おう、なんだ?」

「コイツ、俺が面倒見る事になったんで店辞めさせて下さい」

香田さんは笑顔で俺の頭がしがししながら。

「なに言ってんだ」

社長は怖い眼で俺睨む。

「うん、まあ、俺も関ってる事なんでえ」

香田さんが、社長に事情話した。

「…龍二も辞めるしな、正直キツイな」

え?龍二さんっ!?聞いてないよ!

「お前、なんで昼間の仕事してえんだ」

社長に睨まれて声が出ねえ。香田さんが俺の肘つつく。

「あっ、その、あの」

俺がしどろもどろになってたら。

「ちい、か?ちいのために水商売上がりてえのか?」

聞かれたから、俺は思い切り首縦に振った。

社長は、しょうがねえなあ、てぶつぶつ言いながら。

「で、いつくらいで辞めてえんだ」

いつ、ってのはよくわかんねえけど、客の事もあるし時間はいるよな。

て、思ったら。

「んじゃ、今日限りでお願いしやっす!」

香田さんが明るく言った。




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