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アイデンティティ
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しおりを挟む「…あのな、ユウ。一つ、言って良いか?」
裏通りの雑居ビル。いや、ビルの入り口の派手な看板が前から気にはなってたんだよ。
「お前の気持ちはわからんでもないがな、なんで」
朝まで開いてるみてえだから、話のタネに一回覗いてみようかなとは思ってたんだよ。
「俺が一緒にアダルトショップに来ねえといけねえんだよ!?」
「だって一人じゃ恥ずかしいもん」
帰り道、無理矢理龍二さん引っ張って。
「普通一人でこっそり来るとこだろうがっ」
「良いから、良いから」
通販でも良いかな、と思ったけどやっぱ実際にどんなのか見てみてえし。入ってみたら。
もう、笑いしか出てこねえ。
「ちょ、もうなんで頭だけなんだよっ!だからビニールに服着せて楽しいのかよ!」
いや、まあちょっとしたグッズは見た事あるよ?けどさあ?
おっと、下着まであるよ。あはは、スケスケの上にスリット入ってるし。
「お前、そんなん拡げてねえでさっさと用済ませろよ」
ずうっと嫌そうな顔してる龍二さんと、眼に入るもん全部で笑ってしまう俺。
生真面目さとお気楽さの見本みてえだな。
で、お悩み解消のコーナーまで来たワケだよ。
真剣なものからお笑いなもんまで、色々あったりする。
クリームとかあるけど、どうなんだろ。でもそんなん塗ってちいさんにまずい事あったらやだしな。
やっぱこの輪っかてとこかな。
よし。これで俺とちいさんの素敵なせいかつがっ!!
レジに行こうとしたら。
「…もう一つ言って良いか?」
龍二さんが口元手で押さえながら言う。また笑いてえんだな、この人は。
「なんですか?」
ちょっとイラつく俺。
「別にお前の個人的な事だから俺はどうでも良いんだが」
「だから、なに?」
「お前、そう言うの使うの彼女に言う派?」
「言うワケないでしょ」
「…バレたら恥ずかしいな」
むっ!?そっ、それは。
「…恥ずかしいすね……」
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「…じゃあ、俺どうすりゃいいの」
「………」
「………」
途方にくれる。
もうどうして良いかわかんなくて家帰ってもうどうにかしてくれっ、て思って。
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彼女とセックスする時に挿れてすぐイッてしまいます。どうしたら良いですか?
て、メールしといたら昼過ぎに電話きて。
『お前、相変わらずバカだな』
て、爆笑された。
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