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てらだりょう

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アイデンティティ

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「なんだ、来たのか」

龍二さんが俺見て意外そうな顔したから。

「あ、えへへ。もうちょっと頑張ってみよかなあ、て」

ホントは金欲しいだけなんだけどさ。

「じゃあ、挨拶くれえまともにしろ。今日尊さん同伴じゃねえから」

て、尊さんとこつれてかれて。挨拶、ってなに言えば良いの?

「おはようございますっ」

龍二さんが尊さんに言う。夜なのにおはようなの?変なの。とか思いながら俺も挨拶して。

尊さんは、ああ、って返事して後は別になにも言われなくて、俺は昨日の事怒られんじゃねえかなって思ってたからちょっとほっとして。

龍二さんの側でにこにこして。だってさあ、にこにこしてりゃたいての事は丸く収まるじゃん?

「…あー、お前、名前は」

急に尊さんが俺に言った。

「あっ、ゆ、ユウですっ」

「お前、なんでへらへらしてんだよ」

へらへら、つうかにこにこしてんだけど。

「え、笑顔は人間関係の潤滑油って言うからあ」

「…ま、そう言うキャラもアリだけどな。慣れたら俺の客つけてやるよ」

なにがなんだかわかんねえけど、どうやら俺は尊さんに優しくしてもらえたらしい。

でも俺としては現金で給料もらいに来てるだけなんだけど。

何日か店に来て、ぼんやりグループみたいなもんがあるのは見えてきてた。

尊さんは一番か二番争ってる人で、尊さん以外の人のグループは上の人間が面白くねえ事あると下のヤツに八つ当たりしてたりとか。

けど尊さんは接客とかが悪いとすんげえ怒るけど、自分がイラつくから下の人間に当たったりする人じゃなくて。

俺はなんとなく場を盛り上げるチャラいキャラになってきて、そう言うのが好きな客が来た時は尊さんがよくテーブルに呼んでくれる。

まあ、合コンとかの盛り上げ役は任せとけ、って感じだったからな。その辺は上手くやれるからな。

そんで、尊さんがドリンクバックとかつけてくれるから給料も多くなるし。

体入期間が終わってもなんとなく店出て。

ホントは体入終わったらたいてい苛められんだけどな。

俺はもうすっかり尊さんの下についてるから嫌がらせもされない。

なんとなく、のつもりが。過去の仕事で最長記録だよ、今の仕事が。

尊さんについてなかったら辞めてた、つうかブッチしてた。

後から龍二さんに聞いた話だと尊さんは、なんかケンカする時に役に立ちそうだから、って理由で俺に目かけてくれたらしい。いや、もういい加減ケンカなんてしねえだろ。

そんな感じで生きてきて。多分俺は、ちいさんに会うまで。

って言うか、ちいさんを好きになるまで。

真面目に自分の事とか考えた事無かった。

真面目に、真剣に考えてるんだよ。

俺は、早漏、なのか!?




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