Play With Me

偏桃体

9

俺はついに耳までバカになっちまったのかなあ。

泣いてるせいでなんか耳、ちょっと詰まってて。

ちいさんの声がガラス隔てた向こう側みたいに聞こえた。

そんでちいさんが言った事、自分の都合良い様に聞こえたのかなあ。

ちいさん、なんて言ったの？

ちいさんの頭からほっぺた離して。

ちいさんの顔見下ろす。

「変な顔」

くすくすちいさんが笑う。

俺の顔そんな変？

だってなんか良くわかんなくて。びっくりすれば良いのか。

嬉しい顔すれば良いのか。

俺の耳が悪いんじゃねえの？

ねえ、ちいさんなんて言ったの？

ちいさんの笑う口元。すんげえキスしたくて。

ちいさんのほっぺたに両手当ててくちづける。

久しぶりのちいさんの唇は柔らかくて、久しぶりのちいさんのキスはやっぱ頭ぐんにゃり。

でも、でも。

しっかり頭働かせろよ、俺。

「ちいさん…俺の事、好き？」

ちゃんと聞かせてよ。もっかい。

「祐輔が好きよ」

ちいさんが笑うから。俺はホントにこのひとが大好きなんだなあ、って抱き締めながら思って。

したい。

とか言ったらまた呆れられるかなあ。お願い、て言っちゃう？いやそうじゃなくて。

抱きたい。

このひとの、ちいさんの全部、俺が。

抱いてあげたい。

あげたい。

て、変だよな。

俺はちいさんよりもずっと年下で頼りなくて。

なによりバカだし。

俺が安心して側に置いとける相手なら俺はちいさんが安心出来る様に。

俺がいてちいさんを安心させてあげられるようになりたい。

あれ？それって。

つまり俺が、ちいさんを癒してあげたい。って事かな。

俺癒し系とかほど遠いんだけどな。

でもいつも頑張ってるちいさんが気い張らなくて良い様に。

俺に心を開いてくれるんなら俺全力で護るから。

頼りねえしバカだしまだ全然お子様かも知れねえけど。

俺がいっぱいちいさん笑わせてあげるから。

いっぱい安心させてあげるから。

「ちいさん…本気で俺のものになって…？」

しまった、つい思ってる事がストレートに出ちまった。

「ホントにもう…口説き方覚えなさい」

ちょっと笑いながら、ちいさんがまだ俺の乾いてないほっぺた触るから。

我慢出来なくて。

もっかいキスした。