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偏桃体
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しおりを挟む「ちいさんの個人の携帯、ローミングになってるから連絡取れるよ?時差はそんな無いから夜は大丈夫だと思うけど」
悟に言われた。
店入って、ほとんど話し声も無い店内。まだ時間が早いから客は来ねえ。
消せなかった。と言うかタイミング良く社長から電話来たせいで忘れてた。
携帯のアドレス帳の。高遠ちづる。
電話して良いのかな。国際電話だから料金高えよな。
違う。
そんなんじゃなくて。
俺は電話してなにを言いたいのかな。
俺の事、好き?嫌い?
嫌い。って言われたら俺また泣くな。好き、ってなんだろう。
一緒にいたくて俺を見て欲しくて俺を好きになって欲しくて。
ああ、俺のバカ。やっぱ出来ねえよ。
諦めるなんて無理だよ。
でも俺のこのウジウジした気持ちもどうにかしねえと。
もう、どうにでもなれっ!
半分勢いで半分やけくそで発信押した。
十回コールしたら止めようと思って数えてたのに何回目か忘れた頃。
『…もしもし?』
聞きたくてたまんなくて、聞くだけでまた泣きそうなる声が。
聞こえた。
「あ…」
ヤバい。
何を言いたかったのか、声聞いただけで頭ぶっとんじゃった。
『電話なんて久しぶりね。なにかあったの?』
「や…あ…その…」
なんか言えっ!頭ぐるぐるして心臓どきどきなって。
喉の内側がくっついたみてえで。
なに言えば良いんだろ。
なにが言いてえんだろ。
黙ってたら電話の向こうで。
Takato san!
誰かが呼ぶ声。
Sorry!I'll be a little late.
とかなんとか聞こえて、ちいさんて英語しゃべれるんだなあとかぼんやり思ったりして。
やっぱちいさんてかっこよくて綺麗で大人で。
冷たそうにするわりに優しかったり、たまにちょっと声出して笑ったりするの可愛かったり。
どこが好き、とか。何が好き、じゃなくて。
俺はこのひとの事が大好きで、今も大好きで。
どうしたいのか、どうして欲しいのか、どうなりたいのか。
そんなんわかんねえんだけど、俺はちいさんが好きなんだよ。
『…今食事会の途中なの。用事無いなら」
あっ!待ってっ、切っちゃやだよっ!
「あのっあのっ…」
俺はまだあなたの事が好きです。
忘れたくありません。
俺の事好きですか?嫌いですか?
聞きたいのに。
『…ちゃんと彼女を大事にしてあげなさいね』
ん?彼女?
『じゃあ、悪いけどもう戻らないといけないから』
いやいやいやいや!違うって、あれ違うっ!
電話がそのまま切れて。
その後はかけ直しても繋がらなかった。
俺なにがしたかったんだ?
電話して、ちいさんの声聞いて舞い上がって。
ちいさんの気持ち聞きたかったはずなのに。
彼女。って。
待ってくれええええっ!誤解だあああっ!
て。俺が言ったんだっけ。
俺の…バカ。
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