Play With Me

セロトニン

12

小花柄の薄い紫のワンピースにボレロ羽織って。

今日は仕事じゃねえのかな。

スカートがふんわりしてて。

俺の記憶の中にあるちいさんのイメージはいつも黒い服とかスーツで。

こんな女らしいかっこのちいさん初めて見る。

髪伸びてるせいか前よりもっと綺麗。

「ユウ、どうしたのよ」

女の声ではっとする。

椅子に座りなおしてもちいさん見てしまう。

一緒の男なんだろな。悟以外の男と一緒にいるちいさん見るのも初めて。

ねえ、ソイツ誰？

そんな風に笑って、楽しそうにワイン飲んで。

ちいさんと歳同じくれえかな。

そんな風に楽しそうにしゃべって。

俺はちいさんとはあんまりしゃべったりは無かったな。

ちいさんが楽しくなるほどソイツ面白いの？

なんでかな。諦めたはずなのに。

どうしてもちいさんばかり見てしまう。

俺なんかじゃ無理な相手だって思ったのに。

俺なんかじゃ振り向いてくれない相手だって思ったのに。

そんな女っぽいかっこよりシンプルな方がちいさんらしいよ。

なんでそんな綺麗なんだよ。なんでソイツに綺麗なとこ見せてんだよ。

見せんなよ。

「ユウ、なんか変」

女が俺見て言う。

ああ、変だよな。おかしいよな。

ちゃんと自分で考えたのに。自分がバカだったって嫌ってほど思ったのに。

「ちょっとトイレ」

俺が席立ったら殆ど同時に。

「ちょっとお手洗い」

ちいさんが席立った。