76 / 126
セロトニン
11
しおりを挟む久しぶりに会う女に、いきなり顔見て。
「ヤらせて」
はねえだろ、って思ってとりあえずメシ食う事にした。
前カノとかじゃなくてヤり友な女。
前カノとか面倒だもん。
俺そんな派手な喧嘩別れとかはないし、会おうと思えばできるけど。
でも、なんかさあ?ヨリ戻そう的な話になったりしたら嫌だし、俺のこと好きとか思ってる女も付き合うのどうのって話になると鬱陶しいし。
だから感情抜きの相手。
ヤり友だから適当に居酒屋とかでも良いだろ、て思ったけど。
俺の見た目も変わった事だし。
「えー?なにユウ、かっこよくなったじゃん」
ほらな。
「えー?ちょとやだ!フレンチとか行くのお?」
俺もヤり友相手にも少しは気と金遣える様になったって事だよ。
だからってさあ。
「あ、惚れんなよ。俺がかっこいいからって」
「惚れるか、バカ」
ま、コイツは本命がいるからな。その点は気楽。
「俺のことバカって言うなよ」
「バカじゃなかったの?」
「もうバカはやめたんだよ」
メニュー見ながら今日のコースが子羊のなんたらだからワインは赤だな。
肉に合うのが赤で魚に合うのが白。
そのくれえわかる様になった。
銘柄とかまではわかんねえけどさ。
メシ食ってホテル行くか俺ん家行くか。考えながらなんとなくフロアに眼遣った。
「どしたの?ユウ?」
弾かれたみてえに立ち上がる。
店の人に案内されて歩いてくる男と。
その後ろに忘れられない綺麗な顔。
立ち上がったまま眼離せなくて。
俺に気付いて。でも気付いてほしくねえ気もする。
少し髪が長くなってる。伸ばしてんのかな。
心臓がどくん、どくん、てはっきり音立てる。
「こちらのお席で…」
俺達のすぐ近くのテーブルに案内されて。
ちょっとだけびっくりした顔で俺の事見る。
気が付いてくれたんだ。
眼が合って。俺はなんだか嬉しいのか悲しいのか女連れてんの見られたのがシマッタとか。
ぐるぐる考えて。
でも勝手に口が開いて。
「ちいさ…」
「千鶴、どうかした?」
男が声かけた。
「…なんでもないわ」
ちいさんは俺から眼離して。
男の向い側に座った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる