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オキシトシン
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しおりを挟む退院の日、ちいさんが迎え来てくれるから。
ダメだ、にやける。
「うへへ」
口から笑いが漏れる。
退院つっても入院費は全部警察が払ってくれるから俺はなんもしなくて良いんだけどさあ。
医者が最後の診察来て。
「まだ完全に塞がってるワケじゃないから、あまり動き回らない様にね。外来の診察もちゃんと受けに来てね」
って。よし、セックスする時は下になろ。
うん?でもどうやって下になるかな。ちいさんがその気にならねえと出来ねえな。
どうしたもんかな。
「なに難しい顔してるの」
「うわあ!」
眼の前にいきなりちいさんがいたからびっくりした。
ちいさんはリネンのニットとレギパンで完全オフモードだな。
仕事はどうしたんだろう。と、思ったら。
「民間人を巻き込んだからね。責任取ってしばらくは謹慎」
民間人。て俺の事か。俺のせいでちいさん謹慎なの?
「まあ、ずっとまともな休みとか無かったからちょうど良い休暇みたいなもんよ」
そうなのか。仕事無いのか、って。
じゃあホントにずっと一緒にいられるじゃんっ!
ちいさん家ついて。
「着替えはとりあえず適当に用意しといたから」
いくつか紙袋渡された。
「あ、ありがと」
あらま。全部ポールスミスだよ。
「男の子の服はわからないから適当に選んだ」
て言いながら俺が普段着ねえ様なシャツとか。
手触りとかでも俺の持ってるような服と違う。
なんか上品だよな。俺もこれ着てたらお上品になれるかな。
ソファー座ってがさがさ服拡げてたらちいさんがカフェオレ作ってくれた。
甘くて美味しい。
隣に座るちいさんの膝に頭乗っけたら。ほら、撫でてくれるよ。
ちいさん、俺はちいさんがすげえ好きなんだよ。
だから俺の事好きになってよ。俺がここにいる間に俺の事好きになってくれるかなあ?
俺の事、好き、って言ってくれるかなあ?
ちいさんがくすくす笑う。
「どしたの?」
「犬飼ってる気分」
「ん?」
犬?俺はちいさんが好きになってくれるならわんこでも良いかなあ。
「実家にいるボルゾイの毛並みと似てるから撫でちゃうわ」
え?俺の事可愛くて撫でてくれてんじゃねえのっ?ボルゾイっ!?て、どんな犬だ。
「祐輔?今度お散歩行こうか」
「え?うん」
「じゃあ、首輪とリード買って来ないとね」
え?え?え?え?
ちょ、ちいさん?マジで?
さっきわんこでも良いかもって思ったけど、ウソウソっ!
「ぷっ…」
俺の顔見て爆笑するちいさん。
俺は相当焦った顔してんだろな。
「…ウソに決まってるでしょ」
なんだ。ウソか、やっぱそうだよな。
安心して俺も一緒なって笑った。
ちいさんがこんな風に笑ってくれるのが嬉しくて。
やっぱわんこでもいいかも。
とか思ったりした。
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