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てらだりょう

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オキシトシン

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「祐輔え、おはぎ食え。母ちゃんが作ってくれたぞ」

兄ちゃんがおはぎ持って見舞い来た。

久しぶりの糖分が脳に染みる。

「しかし祐輔も凄いよなあ、犯罪に巻き込まれるとか滅多にない体験だよなあ」

兄ちゃんに事件の事あれこれ聞かれた。兄ちゃんは表向きは普通にITのリーマンしてるけど、部屋の中は美少女フィギュアだらけでベッド以外は座る場所ねえ。

毎月の給料の殆どフィギュアやらDVDやらのグッズに使うからいまだに実家から出れねえ。時々。

「なんとかたんは俺の嫁っ!」

とか部屋から聞こえるから母ちゃんが気味悪がってる。

「拳銃で撃たれるとかなあ。身内にしかも実の弟がそんな体験するなんて貴重だよなあ」

「なにが貴重だ。俺、血がいっぱい出て死ぬかと思ったのに」

「なあなあ、撃たれた時ってどんなだった?痛い?痛いの?本物の発砲音ってどんな?」

興味津々の兄ちゃん。少しは実の弟の心配くれえしやがれっ。

病院かつぎ込まれて。いや救急車乗ったけどさ。

足の手術してる間にちいさんいなくなって。その後麻酔から醒めたら刑事が入れ替わりで何人も来てあれこれ聞かれた。

一度だけ悟が来て。

「ちいさんはっ!?」

聞いたけど。

「彼女は今凄く忙しいから」

そう言ってもう何回も聞かれた事をまた悟に聞かれた。

凄く忙しい。多分そうなんだろな。

ちいさんは警察の中でも内部調査?よくわかんねえけどそんな仕事してるらしくて。同じ職場の人達とは仲良く出来ねえから。

誰かと特別に仲良くなったらなにか問題があった時に、相手に対して冷静な判断が出来なくなるから。

だから普段からあんまり他人を寄せ付けない。って社長が教えてくれた。

ちいさんは俺が膝に頭乗っけても怒らねえよ?

俺は寄せ付けても大丈夫なのかな。

俺はちいさんと仲良いよ。俺思うけど。

ちいさんは他人に冷たそうにするけどホントは優しくて。

きっとホントは他人と仲良くしたいんじゃねえかな。

「祐輔、退院したらどうするんだ?家帰ってくる?しばらく松葉杖だろ」

「うーん…いいや。アパート帰る」

なんとかなるだろ。実家帰って母ちゃんに煩く言われんのも面倒だしな。

退屈だろうから。って兄ちゃんが何枚かDVD置いてった。

パッケージみて観る気失くす。

なんつうかな、萌え絵ってヤツ?兄ちゃんは実写に興味ねえからな。

仕方なく観ながら。

「つか、こんな巨乳でこんな腰細えのとかいるワケねえだろっ!肋骨どうなってんだよっ」

とか。

「ちょ、待てっ。そのデカサでその乳首はありえんっ」

とかツッコミ入れてたら。

実写よりすごいぞお。

兄ちゃんの悪魔の囁きがする。

そして。

悪魔に魅入られる、俺。




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