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ドーパミン
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しおりを挟む「…んごっ」
「起きてくれないかな?」
「ふごっ」
なんで男の声がするんだよ。
「どこに行ったのかな、ちいさん。電話くらい出てくれても良いだろうに」
ん?ちいさん?
「ちいさんっ!?」
飛び起きたら目の前に悟。
裸の俺見てちょっと嫌そうな顔。ふん、ちいさんと俺は裸で寝る関係なんだよ。ざまみろ。
じゃなくて。ちいさんは!?
俺の狭い部屋の中にちいさんは見あたらねえ。
「ちいさんはっ」
「彼女が出かけたのも気付かないで寝てたのかな、君は」
俺爆睡してたからな。俺が寝てる間にどこ行っちゃったんだろ。
「全く、困ったな…あ、君にじゃなくてちいさんにね」
悟が言いながらカバンからなんか出した。ん?タブレットか。
なんか指で動かしてるの覗き込んだら。
「良いんだけど。足の間のモノはしまってくれないかな?俺他人の見て喜ぶ性癖は持ってないから」
むうっ。俺だって見られて喜ぶ性癖は持ってねえっ。
慌ててパンツ探したら布団の端っこの方にあった。
「ああ、なんだ。もう戻ってくるな」
「なんでわかんだよ」
「ん?GPSがあるからね。ちいさんこっちに向かってる」
なんかよくわかんねえんだけど。帰ってきてるなら良いか。
にしても、どこ行ったんだろ。
あっ!もしかして、もしかするとっ!
買い物とか行ってて俺が起きたらちいさんがメシ作ってくれてて、とか!?そう言う展開!?
「ご飯出来てるわよ」
とか眼が覚めた俺にちいさんがっ。
「君、大丈夫?ヘンな薬持ってるんじゃないだろうね?」
悟が俺の妄想打ち破る。
「そんなモンやるかよっ」
しばらくして戻ってきたちいさんは。
別に買い物してきた様子も無くて。俺の妄想は妄想で終わったか。
「どこに行ってたんですか。動く時は連絡して下さい」
悟がちょっと怖い顔した。
「……」
黙ってるちいさんの腕を。
「ちいさん!」
悟が掴む。
「あなたの主義はわかります。仕事の性質上仕方が無い。でも俺はあなたの部下であってパートナーだ」
「……」
「俺まで信用出来ないですか?それとも彼みたいに無邪気なら身体許すくらい信用するんですか!?」
え?俺がなに?
「…彼は関係無いでしょ。私は悟を信用してるし信頼してるよ」
ちいさんが悟の手を静かに解く。
「じゃあ、なぜ…俺に黙って行動するんですか。どうして重要な事を俺に話してくれないんですか」
「話してるし、指示もしてる」
悟がちいさんの肩掴む。
「やめろよっ!」
思わず俺も悟の腕掴む。
「悟…私達の仕事は同じ仕事をする仲間を疑う事だ。人間は疑い始めればキリが無い。私達の方針が間違う事だってある。もし間違っていれば私がその相手の人生まで奪いかねない。私の一言でシロがクロになってしまうんだよ。だから私は最後の最後まで人に委ねることは」
「…もう良いです。わかりました」
悟が手離した。二人とも難しい顔してるし。
なに、このシリアスさ。
「…明日本部長に報告する」
「わかりました。明日迎えに来ますから、それまでは大人しくしてて下さいよ」
そう言って悟が帰って。
ちいさんはため息ばっかだし。
「ちいさん…?」
ちいさんの膝に擦り寄ったら俺の頭撫でてくれるから、そのまま膝に頭乗っけて。
悟と言い合いになったからそんな悲しそうな顔するの?
「ちいさん…大丈夫?」
俺が言ったらちいさんがちょっと笑って。
「…そうだ、キミにコレ預けて良い?」
チェーンがついたなんか小さい四角いもの。
四角いのはロケットでちいさんが中見せてくれたら、あ、SDカードだ。
「良いよ。ちいさんの大事なものなら俺がちゃんと持ってるから」
「明日の朝、悟が迎えに来るまでね」
ちいさんが笑いながら俺の首にかける。
「俺がちゃんと守るから」
四角いロケット握って。コイツもちいさんも。
俺が守るから。
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