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エンドルフィン
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しおりを挟む「そろそろ起きて」
ちいさんの声。
もう朝か。ちいさん仕事だもんな。
なんか今日暑いなあ。
だりい。
俺の服畳んでベッドに置いてある。
ちょっと変な匂いする。雨で濡れたせいだな。
キッチンに俺の分の朝メシ。
トーストとオムレツとサラダとスープ。
それとホットミルク。俺お子様?
でもミルクは甘い。
「…食べないの?」
「ん…」
食欲ねえ。なんか。
「喉痛い…」
俺のおでこ触る手が気持ち良い。
「熱あるわね」
そうなの?俺風邪ひいたかな。
「一人で帰れる?」
「うん…」
それくれえは子供じゃねえし。タクシー乗るし。
「おはよう。今日寄り道するから少し早く来れる?」
悟のヤツに電話してんだな。
「送るから乗んなさい」
車乗せられて。悟に住所聞かれたから家の場所言ったらもう、眠いんだかなんだかふわふわして。
「着いたよ」
頭ぼーっとする。目のまわり熱い。
「しょうがないな」
悟が俺の肩担いで。お前の手なんか借りなくてもっ。
ふらふらする。
部屋まで連れてかれて。ああ、ヤバい。
ちいさんは着いて来ないで、ヤバいから。
鍵開けて中入ったら。
「…汚いわね」
だから来てほしくなかったのにい。
「若い男の独り暮しだからこんなもんじゃないの。俺は綺麗好きだけどね」
むきっ、うっせえんだよ。
「ま、とりあえず寝て。起きたら病院行く事だね」
布団に転がされた。
掛け布団ちいさんがかけてくれて。
「無理しない様にね」
そんな風に優しく笑ってくれたの初めてだよ。
悟がいなかったらキスしたい。
いても良いか。
「ちいさん…」
「ん?」
俺の声が小さいからちいさんが口元に耳寄せる。
「キス、して?」
ちいさんがちょっと笑っておでこにキスしてくれた。
二人いなくなってから。着替えねえとなあ。
でも動きたくねえ。
風邪とかすんげ久しぶりじゃね?
鼻水出るくれえのはあるけど熱出すとかかなり久々。
俺このこのまま高熱出して死んじゃったらどうしよう。
んなワケねえだろ。
あー、龍二さんに電話して来てもらおかな。
誰かいねえかな。
寂しい。
『なにしてんだ、お前』
龍二さんからの電話で起きたらもう夜。
『しょうがねえな、マネージャーに言っとく』
「すいません…お願いします」
起き上がったらまだふらふらする。
けど喉乾いた。けど冷蔵庫開けてもなんもねえよ。
水道の水しかねえよ。
コンビニ、行くのめんどいな。
インターホン鳴るからだるい身体でフラフラしながら歩いて。
玄関開けてびっくりした。
だって。
ちいさんが立ってたから。
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