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PEA
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しおりを挟む「はあー…」
ため息しか出ない。
「鬱陶しいな、お前は」
「龍二さんにはわかんないっすよ。切ない…」
ちゃんとした彼女がいる人にこの気持ちわかんないよ。
あー、片想いとかどのくらいぶりだろ。
中学?いや、その頃はもう女とか適当にヤってたしな。
俺童貞棄てたの中1だしな。
て事は小学生以来か。
その頃より今の方が絶対ツラい。
身体の関係はあっても気持ちは俺の一方通行。
だいたい俺がちいさんイカせらんないのがなあ。
でも我慢出来ねえんだもんなあ。
ああ、もう。なんか全部切ない。
また電話出てくんねえし。
メッセージも何回もしてるのに返事ねえし。
あんまするとウザいと思われたりしたらやだし。
「はー…」
時間あったら電話して?お願い。
お願い、て入れたらしてくれっかな。と思ってメールしてみた。
携帯眺めてても鳴らない。
「ユウさーん、指名!」
客来た。
カウンターに携帯預けて行こうとしたら。
俺の着信音。
「ユウさん、お客さんってば!」
ボーイが言うのシカト。
だって。ディスプレイには。
ちいさんの名前。
客なんか後回しだっ。
ディスプレイには。
高遠ちづる。
最初ちいさん、て入れてたけど。
名前の漢字わかんねえから平仮名。
ちいさんが電話くれるなんて超嬉しい!
やっぱメールでもお願いが効いたのかな。
あ、早く出なきゃ!切れちゃうっ!
心臓がどきどきして。
あ、俺息してねえぞ。さっきから。
深呼吸して。
「もっ、もしもしっ」
なんか変な声なっちゃった。
『……』
あれ?
「もしもしっ、ちいさん!?」
『…なんだ。元気そうじゃないの』
「うっうん?元気だよ?」
『電話して、なんてなにかあったのかと思ったら…』
「いや俺、全然元気!」
『…そう。良かったわね、じゃ』
って!ちょ、待って!
「なんで切ろうとするのっ」
『…用事はなに』
なにってか、ちいさんとしゃべりたかったっつか。
声が聞きたかった、つか。
「今なにしてるの?」
『仕事。用事が無いなら切るわよ』
「やっ、ちょ、待って!用事は、その」
『なに』
なに、って言われても。
『悟が呼んでるからもう仕事戻る』
なにっ!?悟っ!?
「あのっ、休みっ」
『休み?』
「でっ、デートしよ!」
口から勝手に出た。
「そう!デートしよ!ね、お願いっ」
なんでかちいさんは。
お願い。
に、弱い。
応援ありがとうございます!
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