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伝達信号

7

ちいさんのマンションはカードキー。

こないだは気がつかなかったけどエレベーターのとこガラスになってて、中庭が見える。

こんな高級そうなマンションで一人暮らしなんて市役所の人って給料良いんだなあ。

マンションの場所も覚えたし。

部屋の番号も覚えた。

今度から一人で来れるぞ、と。

「コーヒーでも飲む？」

ソファーにバッグ投げ捨てて。

そんな面倒くさそうに言わなくてもいいじゃん。

「うん！飲む！」

ちいさんがコーヒー淹れてくれたのは良いけど。

俺、ホントは苦手なんだよなあ。

砂糖とミルク無いのかな。

ちいさんはブラックで飲む。

砂糖とミルクとかガキっぽいな。

「お砂糖いるんならキッチンにあるわよ」

「んっ！大丈夫だよっ」

ブラックて苦いっ。

て、ゆかちいさんの隣に座りたい。

「なに」

「こっち座りたい」

ちいさんがなにも言わなかったから、俺も黙って隣に座った。

よし、なんかしゃべろ。

えっと。

「仕事忙しいの？」

「忙しい」

テレビのニュース見ながら。

「ちいさんてテレビどんなの観るの？」

「ニュース」

今観てるしね。

あー、ニュースばっか観て俺見てくんねえし。

会話続かねえし。

ちいさんのシャツから見える鎖骨が綺麗。

キスしたい。

「…なんなの」

ほっぺたにキスしたらやっと俺見た。

「好き」

「なにが」

「ちいさんが好き」

「…は？」

「俺、ちいさんが好きなの！」

ちいさんが俺見ながら。

ため息ついた。