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恋愛脳
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しおりを挟む珍しく今日の朝礼はみんな緊張してる。
なんでかってえと。
社長が来てっから。
なんの用で来てんのか知らねえけど。
マネージャーの売上報告の声がさあ。
いつもよりでかくてウザ。
「ユウ」
朝礼終わったら社長に呼ばれた。
「お疲れっすう!」
「お前近頃上がる様になってきたな」
「頑張ってまあす!」
社長と俺のやり取りをみんな遠巻きに見る。
みんな、この人の事怖いっつうからな。
品の良いスーツの顔立ちも上品で。
俺、別に怖いと思った事ねえけどさ。
俺としゃべる時はいつもにこにこしてるし。
まあ、みんなが言うからホントは怖いんだろうけど。
「今日、俺の大事な客が来るんだがな」
「はい?」
「お前、つけ。指名で入れてやるから」
「ホントっすかあ?ありがとうございますう!」
指名一本確保だあ。
て、浮かれてちゃダメだな。社長の大事な客なんだから。
そ、そそ?ん?なんだっけ?
ま、いっか。失敗しねえ様に。
気い付けよ。
早い時間は客いねえから。
電話で営業かけたりして。
さすがに社長が指名つけてくれても営業かけねえのはまずいしな。
「ご案内でーす」
ボーイの声がしたから慌ててフロアに行く。
社長が女連れて来て。
階段降りてきながら社長の後ろにいる女。
あれが大事な客かあ。
思ってたよりも。
かなり美人。歳は俺よりだいぶ上かなあ。
短めの黒髪、きっちりしたパンツスーツでちょっとクール系。
俺、あんな頭良さそうなの苦手。
話し出来ねえもん。
どうしよ。
「初めまして、ユウでえす!童貞じゃないでえす!」
いつも通り挨拶したら。
「…あ、そう」
うわあ、やっぱ苦手だ。
「ちい、何飲む?お前ブランデーは嫌いだったな」
「ボトルとかいらないわよ。どうせ来る事ないんだし」
「そう言うな。俺の驕りなんだし、好きなの飲んでくれ」
「…じゃあ、ローゼス」
「よし、ローゼスの12年持って来い」
なんだかわかんねいえけど。
社長の女か?社長、結婚してっけど。
愛人の相手とか。
面倒くさっ。
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