Think about you

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裏通りのボロいマンション。

こないだクソ兄貴を見かけた場所。

ここに間違いねえんだが。

部屋番号がわからねえ。

「くそっ、出ねえ！」

莉緒は電話に出ねえし。連れ込まれてなにされっか簡単に想像出来る。

あのバカ。

世間知らずでスレて無くてそう言うとこが可愛いんだがな。

だからこう言う世界だとかクソ兄貴のバカさ加減だとか。

そんな事で泣かせたくねえんだよ。

ちきしょう、一つずつドア叩いてまわるか！？

「あっ、彼女っ！ちょっと待ってえっ」

エレベーター降りて来た女にユウが声かける。

「ね、聞きたいんだけどお」

にこにこしながら。なにしてんだと思ったが。

ユウが女の耳元でなんか言ったら女の顔色か変わった。

「なによ、アンタ達」

「あ、やだなあ。警戒してるう？俺ら石倉さんの知り合いなんだけどさあ？用事あんだけど部屋番号聞くの忘れててえ。電話もつながんないのお」

「…ホントに？」

女がほっとした顔した。

「ホントだってえ。ね、何号室？」

ユウはこれでも客の警戒心解くのは上手えから。

「503よ」

「そっ、サンキューっ」

コイツがいてくれて良かった。

ユウに感謝とか。

あり得ねえな。

部屋番号503。ネームプレートはねえ。

エレベーター降りた時。何人か立ってるヤツらがいて。

どうにもソイツらが気になる。

ドアには鍵。ぶち壊すか。

「まあ、龍二さん。正攻法で」

ユウが呼鈴鳴らしたら。

『はい？』

男の声。クソ兄貴。

「あ、すんませーん。宅配便でーす」

て、そんなんで開けるか。と思ったら。

「はいはい」

素直に顔出すクソ兄貴。

「てめえっ！！」

「あっ、わっ！」

胸ぐら掴んだらびびりやがる。

「莉緒どこだっ！？」

「あっ、な、中に」

「龍二？」

顔見てほっとした。まだなんも無いみてえで。

「てめえっ、クソ兄貴っ！莉緒に仕事させる気だったのかっ」

「いやっ、お、オーナーに女揃えろって言われてっ！」

「それでてめえの妹にかっ！？」

莉緒がつっ立ったまま。俺ら見て蒼くなる。

「どしたの？」

ずっとお前が知ったらかわいそうだからと思ってたが。

まだお前はよくわかってねえだろうが。

俺はもう勘弁ならねえんだよ。

「俺の女になにしてくれやがんだっ！」

拳降り下ろしたらクソ兄貴がふっとんだ。

莉緒が小さく悲鳴あげる、

「帰るぞ」

手首掴んだら。

「やっ！なにっ、なんでっ！？」

クソ兄貴の方に行こうとする。

「莉緒っ！そんなヤツほっとけ！」

「やだっ！お兄ちゃんっ！」

嫌な予感すんだよ。早くここから出ねえと。

「莉緒っ！」

「はい、全員そのまま！無許可営業、風営法違反ね。全員署まで来てちょうだい」

やっぱな。そうだと思ったんだ。

エレベーターんとこのヤツら。

「お…兄ちゃん…？」

なんも知らねえままでいさせてやりたかったが。

やっぱ簡単にはいかねえか。