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しおりを挟む晩メシはホテルの中の和食屋。
「わ!すごおい!」
テーブルの上には懐石料理。
「凄いね!美味しいっ!」
コイツのこんな風に。
心底嬉しそうにするとこは。
子供っぽいが素直で可愛いと思う。
女が喜ぶポイントなんか仕事で分かってんのにな。
こいつの喜ぶ顔に自分もほっとするのは、やっぱ俺自身の中で莉緒の存在はほかの女とは違うんだろうな。
「これ美味しいなあ、味付けなんだろ?あたし、作れるかな」
料理に箸つけては言う。
作れるか、バカ。板前が作ってんだぞ。
「うーん、再現出来たら龍二に食べさせてあげるね」
「…出来たらな」
出来ねえって。
「お前酒あんま飲むなよ」
「ん?なんで?」
なんでって。お前飲むと寝るだろうが。
俺の事も少しは考えろ。
風呂で我慢してんだからな。バカ。
俺はそんな性欲強いワケじゃねえが。
それでも抱きたくなる時はある。
せっかくいつもと違うんだし、お前の事だって違って見えるんだよ。
キスすると。
場所が違っても照れ笑いは変わらねえ。
「なんで笑ってるの?」
「お前が可愛いから」
普段そんな事言わねえのに。
場所が変わって違ってるのは俺の方か。
もしかして俺、案外シチュエーションに弱えのかな。
俺の腕で眠るあどけない顔が可愛い。
左手にはめた指輪見ながら。
もうちょっとちゃんとした女に人気あるブランドのやつとか。
買ってやるか。
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