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しおりを挟む昼メシ食ってホテル着いて。
ここは敷地ん中に七つくれえ家族風呂が点在してる。
まあ、どれでもいいから夕方の晩メシ前の時間に予約した。
部屋で荷物置いて。
結構する事ねえな。
莉緒はさっき買ってやった指輪、左手にはめて手かざして眺めてる。
ここは山沿いで少し行くと湖があるが。
二十分くれえは歩かないねえといけない。
それはだりい。
それの為だけにタクシー使うのもな。
面倒だしな。
二人部屋でなにするワケでもなく。
もう夕方だし風呂行くか。
「お前、指輪外しといた方が良いぞ」
「え?なんで?」
「バカ。温泉なんか浸けたら酸化するだろ、そんな」
安物。言おうとして。
安物でもコイツにとっちゃ嬉しいんだろうな。
指輪は外して。
風呂に行った。
家族風呂は屋外。
鍵閉めときゃ使用中ってわかるから誰も来ねえ。
俺が服脱ごうとしたら。
背中向けて固まる莉緒。
なにしてんだ、コイツは。
「お前なにしてんだ」
「いっ、いや…あの先に…どうぞ」
別に良いけど。
小さい露天風呂はなんの湯だかよくわかんねえけど。
透明でまあ、気持ち良い。
今更、俺の前で脱ぐの恥ずかしがるとか。
そんなん、俺の方が照れるじゃねえかよ。
何回も裸見てんだぞ。
バカじゃねえのか。
だいぶ時間経ってからやっと来やがった。
タオルで身体隠しながら。
「あっ、あっち向いててよ」
「…おう」
なんでそんな恥ずかしがるんだ。
あんまり恥じらうから俺まで恥ずかしくなる。
二人無言で別々の方見ながら。
なにしてんだ。
ああ、もう。面倒くせえ。
「ひゃっ」
腰抱き寄せて膝に乗せる。
「ん…」
キスしたらやっと俺の顔見た。
照れ臭そうに笑う顔が可愛いから。
抱きたくなっちまう。
「やだよ…恥ずかしいよ…」
「バカ。誰もいねえだろ」
そう言うお前が俺は。
可愛いんだよ。
「あ…ん…やっぱやだよ…こんなとこで」
まあ、こんなゴツゴツしたとこじゃな。
俺も疲れたくはねえし。
「なんか変なの。抱っこされてお風呂」
俺の膝の上で笑う。
「もう…見ないでよ」
「見えるもんはしょうがねえだろ」
湯が透明だから膝に抱いた身体が見える。
「やだなあ…」
恥ずかしそうにして手で隠す。
「なんで隠すんだ」
「や、だって…」
だから今更だろうが。
「やっ、もうっ」
俺から逃げる。
「てめっ、なんで逃げんだよ」
「ばかあっ」
「バカはお前だっ」
なぜか露天風呂で追いかけっこが始まる。
莉緒が逃げるからだ。
俺はこんな子供じみた事したくねえ。
逃げるから追いかけて。
気が付くと二人とも笑って。
「お前そっち行くな!」
掛け流しの出口は熱めの湯。
「えっ、なに?あつうっ!」
ほらな、言ったのに。
「うわん。びっくりしたよう」
「バカ。そこらへんは熱いんだよ」
半べそで戻って来るのを捕まえて。
「大人しくしてろ」
もっかい膝に抱いた。
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