Think about you

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「わあ！田んぼばっかりだよ！」

窓の外に広がる景色はほぼ山と田んぼ。

それでも嬉しそうにはしゃぐ。

朝早くて俺はほとんど寝なかったから少し眠い。

移動中少し寝ようかと思ったが。

莉緒がなんだかんだしゃべりかけてくるから寝れねえ。

「お腹すいてない？」

「ない。お前、腹減ったんなら車内販売でなんか買え」

もったいないよ、とかぶつぶつ言いながらサンドイッチ買った。

弁当とかにすりゃ良いのに。

着いたらどうせ昼メシ食うけどな。

「あたし、指定席とか初めてだよ」

指定じゃねえと他のヤツ来てウゼえだろ。

「お父さん達死んでからあんまり旅行とか出来なかったんだあ。そんな余裕無かったし」

笑いながら。

「あ、でも短大の時は友達と旅行した事あるよ！バイトしてお金貯めてさ、海外とかさすがに無理だったけど」

お前のそう言うとこ。俺はなんでか。

抱き締めて頭撫でてやりたくなってしまう。

「か、彼氏とかとは旅行なんてした事無いけど…」

別に聞いてねえけど。

彼氏と初めて旅行。

ってのが嬉しくてはしゃいでんなら。

俺ももう少し。

眠いの我慢してやるか。

 二時間くれえ電車乗って。

「わあ！なんか駅可愛い！」

降りたら降りたでまたはしゃぐ。

メルヘンチックな駅舎。

なるほど。女に人気がある温泉地だけあるな。

「あ、オルゴール館だって！」

んなもん見たところで。

俺は面白くもねえんだが。

「オルゴールの音って癒されるよねえ」

俺は眠くなる。

女ってなんで。

あれ可愛いだのこれ綺麗だの。ちょこまかしやがって。

そのくせ見るだけで買うワケでもねえんだよな。

レジんとこ通りかかったら莉緒が立ち止まる。

銀細工の指輪。

女ってどうして。

そんなもん見たがるかな。

「買うのか？」

「うーん、どうしよかなあ。可愛いけど」

悩むほどのもんでもねえだろうに。

「どれが良いんだ」

「これかなあ」

小さい天使の羽の細工。

「お姉さん、これ下さい」

レジの人に言ったら。

「えっ！？買ってくれるの！？」

そんなびっくりするほどの事か？

「ほら」

紙袋に入ったのやったら。

「ありがと…」

嬉しそうに握り締める。

こんなケースにも入ってねえ様なヤツで。

あんまり嬉しそうにするから。

ちゃんとケースに入ったヤツ、買ってやるか。

思った。