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しおりを挟む「…好きだぜ…莉緒…」
身体反転させて。
「…好き…龍二……いてっ!」
一人芝居するユウのケツに蹴り。
「もお、いったいなあ」
「なにしてんだ、お前は」
「龍二あんど莉緒、愛の再現シーン」
「殺されてえのかっ」
「きゃああっ、暴力はんたあい」
ユウが俺ネタにふざけやがる。
狭いロッカールーム一回りして捕まえて。
「次やったら殴る」
「もお、わかりましたよお」
じたばたするユウを解放してやった。
今日はアフター無し。
明日休みだから、ユウと一緒にウチでメシ食う。
ユウが。
「いいなあ。俺も莉緒ちゃんが作ったメシ食いてえよお。食わせてよお」
とか、煩せえから。
俺より早く帰るバカが、今日はメシ作って待ってる。
「いいなあ。俺も、おかえりなさい、とか言われてえなあ」
バカがユウの前でそう言うから、ユウのヤツが鬱陶しい事言い出す。
俺はいつも通りなんだけどな。
「あ、これ旨い!莉緒ちゃん、料理上手だねえ」
「あはは、ありがとう!ユウくん、いっぱい食べてね!兵藤くんも食べて」
さすがに仕事終わりだし、普段はアフターしてる時間だから少しは腹も減ってたが。
「石倉、俺そんな食えねえから」
俺が言い返したら。
ユウが箸落として。
「ぶっ…」
「煩せえな。なに笑ってんだよ」
肩震わすユウ。
「…い、いやっ…なんでも無いっす…」
なにがツボったんだか。ユウの笑いが止まらねえ。
バカじゃねえのか。
「…ふ。二人とも可愛いっすね」
意味わかんねえ。
適当に飲んで。キッチンで洗い物するバカ。
起きてからやれば良いのに。
「汚れ物残ってるの嫌だから」
そう言って。
「いいなあ、莉緒ちゃん。料理上手で家庭的で可愛くて」
「煩せえな。お前泊まってくのか?」
「帰りますよお。俺いたら出来ねえっしょ?」
余計な事ばっか言いやがって。
「ねえ、龍二さん?」
「なんだ」
ユウが声落としてにやけながら。
「まさか、してる時も名字言ってんの?」
一瞬なんのことか、思考停止した。
「そう言うの、可愛いっすけどねえ。まさかねえ」
って、俺も意外と子供か。
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