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しおりを挟む尊さんが出掛けた後。
バカの荷物まとめて俺ん家に帰る用意。
みのりさんにお礼言って。
「ホントにお世話になってすみませんでした。ほら、お前もちゃんとお礼言え」
俺が言ったら慌ててみのりさんに頭下げる。
「あっ、ありがとうございました!」
みのりさんがニコニコしながら。
「可愛い彼女出来て良かったね」
って。
彼女、なのか?
バカが照れ笑いする。
へらへらすんじゃねえ、バカ。恥ずかしいだろ。
帰る途中思い出してバカの携帯代払いに行った。
ショップでカウンターに声かけようとしたら。
「やっ、あのっ、今お金が」
抵抗しようとする。
「貸しといてやる。後で返せよ」
もうなんも無いとは思うが。
なんかあった時に連絡取れねえと困るしな。
あんな事めったにないだろうが何にしろ。
連絡取れねえとまたいらねえ心配するだろが。
何日かぶりに一緒にウチ帰って。
俺はとりあえず営業。
ごたごたしたから今日は気合い入れねえと。
まあ、同伴は予定あるんだが。
営業はしとかねえとな。
「俺仕事行くけど、お前どうすんだ」
バカにはあのまま店休ませてた。
「あ、あたしも仕事行く。お金無いし」
「じゃあ、鍵ちゃんとかけて出ろよ」
玄関でもじもじするバカ。
なんだ。顔、ちょっと赤くしやがって。
まさか、尊さんとみのりさんみてえな事考えてんじゃねえだろな。
しねえぞ、バカ。
「あの…兵藤くん…」
「なんだ」
「仕事終わったら…あたしここに帰って来ても良い?」
なに言ってんだ。
「…他に行きたいとこでもあんのか」
「なっ、無いっ」
「じゃあ、ウチに帰って来れば良いだろ」
「うんっ」
そんな嬉しそうにすんなよ。
そんな風にされたら。
可愛く見えるだろが。
ほっぺたに手当てると眼閉じるから。
尊さんみてえな事。
俺は絶対しねえと思ってたんだが。
唇離して。
「ちゃんと帰って来いよ」
頭撫でて。
俺も案外甘えよな。
自分で笑えた。
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