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しおりを挟むタクシーで尊さん家乗り付けたら。
電気ついて開けっぱなのドア。
表に趣味悪いセンチュリー。
誰も乗ってねえ。何人で来やがったんだ。
車一台分の人数なら。尊さんなら大丈夫だろうが。
みのりさんがいる。
それにバカも。
あの三代目、無理矢理アイツ連れてこうなんて。
ふざけんじゃねえぞ。
ムカつく。
「ありゃりゃ、遅かったすかね」
リビングに白目剥いて転がってる男が二人。
「ざけんじゃねえぞ!」
客間から尊さんの声。
襖が外れてボロボロ。
みのりさんとバカが抱き合う様にして、部屋の隅で固まってる。
「みのりさんに触ろうとしやがって!死ね」
男殴る尊さん。
キレてるな。久々見る。
とりあえず。
バカが無事で。ほっとした。
「尊さん、もいいっすから!落ち着いて下さい」
後ろから尊さんを抑える。
キレてる時に前に回るとこっちまでやられっからな。
尊さんを抑えるのは後ろから。
昔っからそうだ。
しばらくして落ち着いた尊さんが、俺の手振りほどいてみのりさんに抱きつく。
「…大丈夫か?」
バカが涙眼で頷く。
「ごめんなさい…」
「どうした」
「あたしがなんにも考えずに玄関開けちゃったから…」
セキュリティ意味無し。
「なんで開けんだよ」
「…兵藤くんかと思って」
ホント。なんでそんなバカなんだ、お前は。
普通なら仕事してる時間だぞ。
「ごめんなさい…」
泣くな。頭撫でてやったのに。
「あたし…アイツのとこ行きます…ご迷惑おかけしました」
泣きながら。
バカが言った。
なに言ってんだ。このバカ。
「あたし、みんなに迷惑かけてばっかで…」
俺はお前が危なっかしくて。
「アイツのとこ行けばもう兵藤くんにも迷惑かけなくて済むし」
だから眼が離せなくて。
放っとけないから。
泣くな、バカ。
バカを思わず抱き締める。
お前はあんなヤツにヤられたいのかよ。
好きでもねえ男に。
お前は。
「俺の事好きなんじゃねえのかよ?」
「兵藤くん…?」
「だったら行くな。俺んとこにいろ」
俺のシャツ両手で握り締めて。
バカが泣きながら頷いた。
「あ、なんか俺ひとりぼっちい?」
ユウが笑いながら肩すくめた。
ひとしきり抱き締めてたみのりさんのそばから立ち上がって。
「お前ら行くぞ」
尊さんが言った。
まだ怒りがおさまってねえからな。
事務所にカチコミする気だ。
俺もバカの事、話つけねえとな。
「いいんすけどお。服着て下さいよ、尊さん」
ユウがパンツ一丁の尊さんに。
言った。
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