Think about you

てらだりょう

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結局俺は。

バカを背負いこむ事になって。

ただし、少しずつでも金貯めて一日でも早く俺ん家から出るのを条件に。

ただ。

「で、家帰れなくなったのはなんでだ。普通の借金なら取り立てまで来ねえだろ」

「いや、それは…言えない」

「なんだと。こら」

こめかみグリグリ。

「いだっ!だだっ!それは言えないっ!!」

強情張る。

「兵藤くんに迷惑かかるから」

もう充分、迷惑も面倒もかけられてんだがな。

それだけは言おうとしねえ。

バカの考えてる事なんかどうでもいいがな。

休みの日。

バカの家の処分しなきゃなんねえから。

ユウの兄貴に車借りて。

「んじゃ俺も手伝いますよお」

ユウと三人でバカのアパート行った。

「ちょっと待って!変な人いない!?」

周り警戒するバカ。

「誰もいねえし。さっさとしろ!」

部屋入ったら。

まあ、普通に女の部屋で。ぬいぐるみやら花やらあって。

花はもう枯れてたが。

「いるもんだけまとめろよ。家具やらは業者が引き取り来るからな」

なるべく俺ん家に余計なもんを持ち込ませねえ様にしねえとな。

「莉緒ちゃあん、これどうすんのお?」

「あ、それ捨てる。ごめんね、ユウくん。お休みなのに手伝ってもらってごめんね」

「いいよお、気にしないで。莉緒ちゃん」

なにノリノリなってんだ。ユウのヤツ。

「ねえねえ、龍二さん」

「なんだ」

「莉緒ちゃんて、やっぱ可愛くないすか?」

なに言ってんだ。コイツは。

「俺、化粧で可愛いより素っぴんで可愛い方が好きなんすよねえ。莉緒ちゃん、ヤらしてくんねえかなあ」

煩せえな。

さっきから。

莉緒ちゃん、莉緒ちゃんて。

慣れ慣れしいな、てめえは。

いくらバカでもヤらせねえし。

「ヤるだけなら他にいるだろが」

「うーん、なんだけどお。莉緒ちゃんなら付き合ってもいいかなあって」

マジで付き合う気もねえくせに。

「余計な事言ってねえで荷物運べよ」

「はいはい」

そんなやり取りの最中。

突然ドアが開いた。

バカが慌てて壁の陰に隠れた。

「なに、引っ越し?」

ドア開けたのは。

堅気には見えねえ、男。

「ここに住んでたヤツは?女なんだけど」

ユウと顔見合わせて。

「さあ?俺らただのバイトだしい?」

「部屋の処分頼まれただけなんで、わかんないすね」

男は。

「どこ行きやがったかな。またボンにどやされんな」

ぶつぶつ言いながらどっか行った。

バカは。

「なんだよ、あれ」

俺が聞いても首横に振るだけで。

俺はやっぱ。

面倒な事背負いこんだかな。

これ以上バカが。

俺に面倒かけねえ事を。

祈った。




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