Think about you

03

3

「龍二さあん」

「なんだ」

「まだヤってないの？」

ユウのヤツが思い出した様に聞いてくる。

「ヤらねえし。ヤる気なんねえし」

「なんでおんなじ部屋にいてヤる気なんねえかなあ？俺だったらソッコーだけど」

なんでと言われても。なんでだろな。

色気ねえし。バカだし。

素っぴんは昔と変わってなくて。

高校ん時の石倉にしか見えねえし。

俺から見りゃ十幾つのガキの頃と変わんねえ。

第一。

そんな関係になったら。

面倒くせえだけだ。

「龍二さんがヤらねえんなら俺にちょうだいよ」

「なに言ってんだ、お前は」

「だってさあ？掃除とか洗濯してくれてメシも作ってくれてって。それもう、彼女じゃないすか。俺彼女が欲しいんすよ」

「アイツが掃除とかすんのは家賃代わりだ。正当な労働だ」

「だからあ。俺がプラス恋愛してあげるから、俺ん家来てって言っといてよ」

コイツ。尊さんの結婚式以来恋愛脳になってやがるからな。

「俺、恋したいのお」

とか言って客喜ばせてやがる。

別にユウは悪いヤツじゃねえし。

チャラいしそれなりにバカでも根は悪い奴じゃねえ。

ねえんだが。

バカの方はどうかな。

俺がユウんとこ行けっつったら。

行くかな。

バカだから俺の言う通りにすんだろな。

アフター終わって帰ると。

バカは先に帰ってる。

バカは滅多にアフター行かねえ。

まあ、女だし。

ヘタに一人で客についてって変な目に合ってもなんだし。

アフターしねえで良いならそれに越した事はねえだろう。

ドア開けて。

薄暗い部屋ん中。

ソファーでクマの布団くるまって寝るバカ。

寝顔見て。

今日も何事も無く帰って来てる。

バカが一日無事だった事に。

なぜだか最近の俺は。

ほっとしてしまう。