12 / 86
02
4
しおりを挟む携帯で呼び出そうとして。
そう言や番号もアドレスも知らねえな。
店ん中見て回る。
通路狭くてごちゃごちゃしてる上に。
抱えた布団が邪魔くせえ。
イラつく。
迷子の呼び出しでもしてやるか。
店内一回りして。
出入口の外に薄茶色の髪。
あんなとこにいやがった。
勝手にうろちょろすんな。
ムカつく。
しかも。
ヤンキーに絡まれてやがる。
バカ。
「遊び行こうってえ」
「いや、ツレがいるし」
「うそつくなよお」
布団を。
「うわっ!」
ヤンキーに投げた。
「なんだよっ!てめえっ」
「俺のツレになんか用ですかあ?」
「あっ、いやっ!すいませんっ」
ヤンキーが逃げた。
俺のメンチも衰えてねえな。
「…石倉ぁ…」
手はグー。
「ごっごめんなさいっ!」
「俺に面倒かけんなって言ったよなあ?」
「そのっ、店の中空気悪くて気分悪くなって」
「あ?」
「ちょっと外の空気吸おうかなと思ってっ…わざとじゃないですっ」
そう言やちょっと。
顔色良くねえな。
「帰るぞ」
「あっ、うんっ」
タクシー乗ったら。
「お金もったいないよ」
また言いやがった。
「荷物あんだろが」
「いや、まあ…そうだけど」
ああ。忘れるとこだった。
「石倉、携帯出せ」
「うん?」
石倉の携帯に俺の番号送ろうとしたら。
「なに?」
「俺の番号、登録しとけ」
「え!?教えてくれるの?」
何当たり前の事言ってんだ。
「あっ!兵藤くん、それ仕事用のでしょ!?」
そうですけど?
「あっ、あの…出来たらプライベートので…」
別に良いけど。
プライベートの番号とアドレス送ってやったら。
「…ありがとう」
石倉が赤くなった。
例えば尊さんとかは。
昔は女に関してはすんげえ適当で。
女の方から寄って来るし。
そん中からその日の気分で、みたいな感じで。
それでも女の方は喜んでついて行ってた。
学校の女だけじゃなくてOLとかもいたな。
本気でコクる女がいても。
「犯すぞ。てめえ」
って、鬼畜か。
「誰のものにもなんないとこが良い」
とか女どもが言ってた。
俺はと言えば。
別に付き合った女がいねえワケじゃねえけど。
中学ん時はいた。
初めて寝た女は違うけど。
けどなんつうか。
嫌いじゃねえけど、いつも一緒にいてえとか相手の事ずっと考えてるとか、そんな風にはなれなくて。
俺は独りでいてえのに、そう言う気分邪魔されたりとか。
独占欲とか。
そんなんが面倒で嫌になった。
俺もそこそこ女には不自由しなかったし。
尊さんほどじゃねえけど適当だったな。
あんま女が好きじゃねえってのは逆に言や、今の仕事には向いてんだろな。
客を冷静に見れるしな。
ユウにしたって。アイツチャラいけど本気で女好きになった事ねえっつってたもんな。
だからな。
俺は。
好きだとかなんだとか。
そう言うのは面倒くせえんだよ。
自惚れてるワケじゃねえんだよ。
頼むからそう言う事言うんじゃねえぞ。
俺に面倒かけんなよ。
「俺同伴だから。そろそろ出る」
「あ、うん。行ってらっしゃい」
「お前もだ」
「あたしお店八時からだもん」
「俺が出んだからお前も出ろ」
グリグリ。
「ぎゃあっ!わかったっ!わかりましたっ」
お前に家の鍵なんぞ渡すか、バカ。
「帰りどうしたら良いの?」
「どっかで待ってろ。仕事終わったら連絡する」
石倉が寂しそうな変な顔した。
俺は。
面倒は嫌いだ。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

Play With Me
てらだりょう
恋愛
彼女欲しい。
別に、やれる相手になんかとある不自由してない。恋、してえんだけど、恋ってどうやったら始まるんだ?好きな女ってどうやったら出来るんだ?
適当に生きてきて適当に夜の世界で生きるユウ、生まれて初めて本気で好きになった人は年上のミステリアスな美女。彼女のために成長するとある男の子のお話。
You Could Be Mineのサブキャラ、ユウのお話です。
※本作は10年ほど前が初出の作品です。当時の改訂版となりますが、設定などは初出当時のまま使用しておりますのでご理解、ご容赦のほどお願いいたします。

隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
夫と息子は私が守ります!〜呪いを受けた夫とワケあり義息子を守る転生令嬢の奮闘記〜
梵天丸
恋愛
グリーン侯爵家のシャーレットは、妾の子ということで本妻の子たちとは差別化され、不遇な扱いを受けていた。
そんなシャーレットにある日、いわくつきの公爵との結婚の話が舞い込む。
実はシャーレットはバツイチで元保育士の転生令嬢だった。そしてこの物語の舞台は、彼女が愛読していた小説の世界のものだ。原作の小説には4行ほどしか登場しないシャーレットは、公爵との結婚後すぐに離婚し、出戻っていた。しかしその後、シャーレットは30歳年上のやもめ子爵に嫁がされた挙げ句、愛人に殺されるという不遇な脇役だった。
悲惨な末路を避けるためには、何としても公爵との結婚を長続きさせるしかない。
しかし、嫁いだ先の公爵家は、極寒の北国にある上、夫である公爵は魔女の呪いを受けて目が見えない。さらに公爵を始め、公爵家の人たちはシャーレットに対してよそよそしく、いかにも早く出て行って欲しいという雰囲気だった。原作のシャーレットが耐えきれずに離婚した理由が分かる。しかし、実家に戻れば、悲惨な末路が待っている。シャーレットは図々しく居座る計画を立てる。
そんなある日、シャーレットは城の中で公爵にそっくりな子どもと出会う。その子どもは、公爵のことを「お父さん」と呼んだ。

社長室の蜜月
ゆる
恋愛
内容紹介:
若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。
一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。
仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる