Think about you

てらだりょう

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「俺になんの用すか」

俺が言ったら。

「あ?ケンカ出来るヤツが入ってきたっつうから。どんなんか見てみたかっただけ」

奇麗な顔で唇の端っこだけ上げて、ニヤッと笑う。

なんなんだ。ムカつく。

「…そうすか。帰っていいすか?」

「俺を負かしたら帰っていいよ」

拳を胸の前で軽く持ち上げる。

こいつ、ケンカしてえだけじゃねえかよ。

「そこら辺のヤツ使えよ」

無造作に転がってるバットを顎で指す。

てめえは素手かよ。

なめやがって。

俺より華奢なくせに。一発ぶん殴ってやりゃ懲りて俺にちょっかい出さねえだろ。

そう思って。

「あ、俺が勝ったらお前俺の言う事聞けよ」

思い付いたように軽い口調で言われた。

「…じゃあ俺が勝ったらこう言うのもう止めて下さい」

言いながら飛び掛かったら。

あっさりかわされた。

腕組んで。

ニヤついて俺見るのが。

ムカつく。

「道具使えって」

「いらねえしっ」

そっちが素手なのに使えるかよっ。

あんまりにもかわされるもんだから頭きて。

足払いかけたら向こうがよろけた。

隙ついて顔に一発。

の筈が。

腹に膝喰らった。

ちくしょう。

顔上げたら。さっきまでニヤついてたのが。

背骨の辺りがゾクッとする。

怖え顔。

顔の綺麗さが相まって。

凄味のある怖え、顔。

勝てねえな。

素直に思った。

「んじゃお前、俺の舎弟ね。龍二」

そこから尊さんと一緒いる様になった。

舎弟つっても。

別にパシリとかじゃなくて。

尊さんが自分の周りに自分が認めたヤツを置いときたいだけで。

尊さんの周りはただケンカしてえヤツが集まってるだけで。

女とかはやりっ放しだったけど。

一緒に校内歩いてて、たまにイジメの現場とか見ると。

「下らねえ事してんじゃねえよ。ムカつく」

イジメてるヤツボコボコしたり。

「てめえもな、イジメられんの嫌なら相手殺せ」

無茶苦茶な事言ったり。

ケンカする時はとにかく強えし。

身内が一人でもやられると怒り狂って何倍にしてもやり返す。

そう言うとこに。

惚れた。




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