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I'll make love to you

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ある日、買い物して家に帰ると。

真っ暗な家の中。

「みのりさん?なにしてるの?」

なんか、昔もあったな。俺ん家で、みのりさんが真っ暗なリビングで俺の事待ってて。

リビングの電気つけたら、ソファーに座り込むみのりさんと、関係無しに遊んでるみいくん。

「オレは…灰になっちまったぜ…」

意味不明な事を呟くみのりさん。

「みのりさん?どうしたの?」

ソファーの隣に座って手、握ったら、増えてる絆創膏。

「一生懸命やったんだよ、これでも…。燃え尽きるまでやったんだよ…」

なにが?

「ぱぱー?ごはんよー」

ああ、ご飯作らねえといけねえんだけど、みのりさんが。

みいくんが引っ張るから仕方なくキッチンに行ったら。ん?カレーの匂い?

鍋のふた開けたら、そこにはカレー。

俺はスパイス調合してルーから作るから、カレールーなんて家にはねえのに。

「みーくん、おかいものいったよー」

材料買いに行ったのか。なんで、また。

テーブルの上にリボンがついた紙袋。この不器用な結び方からして、みのりさんだな。

開けたら、白いエプロン。

みいくんが描いたらしい車っぽい絵とか、うさぎさんっぽい絵とか。

ピンクの糸で刺繍された、ハート。

だから、指に絆創膏なのか。

小さなカードには。

いつもありがとう。

って、愛してるとか書いてくれても良いのに。

みのりさんが可愛くて可愛くて。リビングのみのりさんとこまで走って抱き締めた。

「みのりさん…愛してる…すっごい、愛してる」

キスして、もう一回抱き締めて。みいくんがいるから続きは出来ねえけど。

「無理に使わなくても…」

「みのりさんとみいくんが作ってくれたんだから、一生大事にする!」

俺の、世界に一つしかない愛がこもったエプロン。

エプロンは当然、既製品だけど、洗濯しても落ちないクレヨンでみいくんが絵を描いたらしい。それから、不器用なみのりさんが刺繍してくれた、ピンクのハート。

死ぬ時に棺おけに入れてもらおう。

カレーは野菜の大きさは不揃いで、ご飯は水加減間違えてるのか柔らかかったけど。

一生懸命作ってくれたみのりさんを想像すると、可愛くて爆発しそうになるから。

みいくんが寝た後、もっかい一緒に風呂。

入った。




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